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紙の本
仏像の見方を知って、祈る心を知る☆
2005/10/05 23:44
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りつこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の写真にある如来(室生寺釈迦如来坐像)、菩薩(中宮寺菩薩半跏像)、明王(浄楽寺不動明王像)、天部(新薬師寺十二神将像)・・・教科書などで目にされた方も多いと思います。この本をザ〜っと読んでみて、修学旅行や、観光で目にした数々の仏像について、説明文を読んで「フムフム・・・」と分かったような、分からないような気持ちで通り過ぎてしまったことを後悔しました。
何世紀頃の誰それの作で、歴史的・美術的にどのような評価であるか・・・そんなことも分かれば素晴らしいかも知れませんが、仏像を作った側の心を垣間見た時、その感動は・・・より多くの人と分かち合いたいと感じました。
著者は芸術大学で彫刻を専門に学んだ後、美術院国宝修理所で千数百体に及ぶ仏像修理に携わった仏師であり、三十代半ばを過ぎてから得度し、現在はお寺の住職も務めておられることもあり、仏教や仏像の豊富な知識に基づき、見る人の素朴な疑問に答えつつ、仏教の真髄である「慈悲」、仏教的宇宙観をやさしく説いて下さっています。この慈悲、仏とは何かという問いの答えを読んだ時、命を頂いている自分を知り、心から感謝の気持ちで祈る心が湧き出でるのを感じました。
仏教と言うのはブッダ(釈尊)の教えですが、今日の経典が出来たのはブッダが亡くなってから600年後のことだそうです。その経典の中には沢山のありがたいほとけ(例えば観音さま等)の事が細々と書かれており、名前の由来や、どういう功徳があるのかなどをブッダが大衆に説明をしているだけで、姿かたちのことは何も書かれていないのだそうです。
さてさて、それではどのようにして、沢山の仏様(如来、菩薩など)の像が出来たのでしょうか?(如来、菩薩、明王、って何?)明王や、仁王はなぜあんな怖い顔をしているのでしょうか?仏敵を寄せ付けない為と思われていることも多いと思いますが、実はあの恐ろしい顔は大いなる慈悲の心の表れなのです。母親のような大いなる愛が、あの形相に表される理由を読んで、2児の母である私は自分の至らなさと、有難い仏の教えを感じることが出来た喜びに涙してしまいました。
その他にも、面白かったのが仏様の衣装の着付けや髪型、顔体つき、装飾品や持物の説明。もう「へえ!」と何度も叩きそうになる程。干支別守り本尊や、浄土教での7日毎の法要の意味、生まれた子供の宮参りのように1年毎に13仏に参る「13まいり」の事は特に興味深く拝読致しました。是非ご一読を☆
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