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紙の本

繙く価値は十二分にある「進化心理学」の一般向け解説

2004/06/26 06:27

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者ピンカーはMITの教授でジョン・ホーガンの「続・科学の終焉」にも出て来る「進化心理学」の論客の一人である。同書の1997年に出版されたこの本の原著「How The Mind Works」に言及した部分でホーガンは,このヒトを「あと先を考えずに自分が思いついたことを喋りまくる」と評している。アメリカの学者には(いや,学者に限らないが)その言説の正当性とマスコミ受けの度合いに相関があると思ってんのかこいつ,というようなヒトが少なくないが,ピンカーにもそういうところがあるんだろう。
 しかし逆に言えば,彼が巻き毛でロックスター風のルックスを維持していることと,彼の唱える学説の正当性の間には負の相関もないのであり,ホーガンの見方にもちょっと孔子的帰納法(「巧言令色鮮矣仁」つうのは帰納的推論であり例外はいつもあり得る)のバイアスがかかっているような気がしないでもない。朴訥である方が人を騙すのに有利ならペテン師は簡単に朴訥になる,実例を挙げてみせるまでもないでしょ? ……まぁいいや,本の中身に入らねば。
 この大冊の主題は「我々の『心』をリバース・エンジニアリングする」ことだ。ピンカーら進化心理学の考え方では,我々人間の「心」(およびそれを宿す脳)も,ゾウの鼻やキリンの首,ペリカンの下顎やアイアイの中指と同様な,進化の過程における「適応」の産物であるとする。ピンカーはまず脳が網膜に写った二次元映像を如何に三次元に再構成して認知するかを語り,この臓器(意外かも知れないが脳も「臓器」である)が問題を意味論的に分散処理していることを明らかにする。
 脳の情報処理が分散型であるとすれば,そうした方がより適応的な環境が存在したはずであり,その視点から脳のあれこれを分析して行けば,衝動や夢や強迫観念といった心の働きについても必ず納得の行く説明がつくはずだ,として認知,情動,家族の価値へとその推論を拡げて行く。
 確かにホーガンが指摘する通り,人間心理の最も不可解な部分,哲学や宗教,芸術を好む心理に対する解釈については牽強付会的なところも見える(一応ピンカーだってそこは「仮説だ」と書いてるんだけど)。が,男の子は全て母親と寝たがっている,と言ったフロイドの説よりも首肯できるエディプス・コンプレックスの説明がここにはあるし,バルカン人スポックを引き合いに出して分析する「情動の目的」に関する議論はこれだけで一読の価値があろう。

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紙の本

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2003/11/09 17:28

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:おしょう - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書をすでに手に取り、読み始めている、という立場を笠に着て誇張した発言をするならば、この本を読んでいない人とは話したくない、とまで思います。もちろん、それが著者の意図するところと反対であることは承知の上で。

 本書の「概略」に触れるのは止めましょう。必要以上に本書に対するしきいを高くするか、逆に不自然に本書を身近に見せて、考えなくてはならない問題を隠してしまうかにしかならないと思うからです。この本は、詳しい詳細に分け入っていたならば「読むに耐えないどころか、重すぎて持ち上げることさえままならぬものになっていたであろう(「はじめに」より引用)」内容を、一つの全体像として描写した作品です。

 正直に言って、けっして読みやすい(口当たりのよい)本ではありません。しかしそれは、著者の責任である以上に、読者の責任です。大きな問いかけ(子供のときの素朴な「なぜ?」には必ず出てきたはずなのに、大人になってくる過程のどこかで逃げを打つことに慣れてきた問いかけです)をいかに避けているか、本来複雑で簡単には答の出せないことを、いかに簡単に割り切れることのようにみなしているかという、一言で言うならば、私たちの自分自身に対する都合のよい「先入観」をひっくり返していかなければならないことが、読みにくさの一番大きな原因だからです。

 それに引っかからない部分では(私は「自然科学」には抵抗は少ない方であろうと自認しているのですが)、これほどウィットに富み、思わず吹き出しながらハッとさせられる、要するに「頭がガンガン刺激される」本は少ないでしょう。

 著者スティーブン・ピンカーは、一方で、徹底して物事を冷静に観察し、自分の知らないことであれば謙虚にゼロから学び直して、問題をきちんと追い詰めていく、才能豊かな自然科学者そのものです。しかし同時に、自分の行動に責任を取ろうとし、どこかで一個人の無力さを笑い飛ばしているような、気のいい一アメリカ人でもあります。その著者が、ときに憤激を隠しきれていない様子を見て取るに、この本はいろいろな抵抗の最中で書かれたのであろうと思います。(抵抗者の一人は、おそらく私自身です。)

 本書は、狭義の「自然科学書」ではありません。人間へ、人間知性へ、私が生きそして私たちの子供たちが生きていく未来への、信頼の書です。

 私も実はまだ「上」だけしか読了しておらず、本来書評など書く立場にないのですが、各巻毎にその時々の書評を書こうと腹をくくりました。今一番強いのは、著者スティーブン・ピンカーの「人間」に対する問いかけの姿勢を共有できる人が一人でも多くなれば、という思いです。

 もしこの書評が「褒めすぎ」になっているとするならば、それは「これまで自分の勉強してきたことは何だったのだろう」という気持ちを帳消しにするための、私の防衛反応なのでしょう。

 素晴しい本に出会うと、私たちは生れ直さなくてはならない。読書の醍醐味を、味わっています。

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紙の本

進化論的に心をつきつめることで豊かな人間像が浮かびあがる

2003/10/03 18:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:田口善弘 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ピンカーといえば、『言語を生みだす本能』(NHKブックス 1995年)で一世を風靡した(?)記憶も新しいが、今回ピンカーはそのビジョンを言語を大きく越えて心そのものにまで広げて見せた。基本的な立場は同じだ。とかく文化の視点から語られがちな言語を進化生物学の立場から切って見せた前著の立場そのまま、心を脳という生態器官の機能して捉え、かつ、脳という器官の成り立ちは進化によっているという立場を貫徹するのだ。簡単に言えば、「消化」という機能が「消化器官」の機能であり、消化器官は進化によって生じた、というのと全く同じような立場で脳の機能である心を扱うのだ。一見、極端に見えるこの立場はそれこそ、ロボットから利他行動まで、知能が関係しそうなキーワードをことごとく包含して議論する強い立場を著者に与えた。この様な立場は一見、機械論的で、ヒューマニズムを否定するかの様に感じられるかもしれないが、実際には、それとは逆の立場に到達する。人間の弱い面、悪徳とされる面も、ピンカーにかかれば進化の必然の帰結になる。例えば「肥満」は、人間の脳が進化の淘汰圧にさらされていた、狩猟採集生活でありえない「食べすぎ」に適応しそこなった結果に過ぎず、人間の弱さとかを象徴するものではない。全てを個人の責任に帰する保守は勿論のこと、全てを社会に帰するリベラルも超えて、究極のリベラルに到達したといってもいいだろう。そう、まさに「科学的な」立場なのだ。とかく、倫理や正義とは無縁とは思われがちな科学が、本当の意味で人間的で解放された社会観を提供しうるという一つの実例をこの本は作ったと思う。自然科学と人文・社会科学の双方に深い興味をもつ読者に必読の書であろう、原書にはあったに違いない参考文献を全部削除した点を除けば。

(田口善弘/中央大学理工学部物理学科 助教授 http://www.granular.com/tag/index-j.html)

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2006/04/14 02:13

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2010/06/01 03:17

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2021/01/24 12:45

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2011/01/31 22:53

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2012/03/28 02:13

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2016/01/02 18:59

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2019/10/02 14:46

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2019/12/02 16:26

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