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うまく言えないけれど、とてもいい短編集だった。
なかでも、
「ハンターの妻」、お姉さんと妹の話(タイトル喪失)、「ムコンド」は特に心に残った。
どれも女性がたくましく、己の道を生きている。
ステキだが、悲しく、強い。
もしこんな女性がいたら、きっと強く惹かれるに違いない。
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たまには海外作家の作品でも読んで自分の知らない世界を見たい。
そんな動機で手にした私にとって、この本は正解だった。
アメリカ国内だけでも色々な土地が描かれるし、ケニア、リベリア、タンザニアなど様々な国を舞台に小説は書かれていた。
自然の厳しさと大きさに気づかされる。
登場人物は自然や運命に翻弄されるけれど、後味の悪くないラスト。
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すばらしい読書体験(トリップ)だった! 珠玉の短編集
静かで控えめではあるが、詩情豊かで透明感のある文章に、呼吸をぴったり合わせていくと、みるみるうちに五感が刺激されて、目の前にその世界が立ち上がってくる。
リアリスティックなのに幻想的な描写。
繊細で静かに展開する、衝撃的でダイナミックなストーリー。
そのバランスにクラクラするも、力を抜いて身をまかせてみる。
まるで体感しているような、鳥肌が立つような、幸せな読書でした。
一篇を読み終えると、じんわりとその余韻に浸っているのが気持ちよく、次のストーリーを読み始めるのがもったいない。
でも、また早く次のストーリーでトリップしたい、早る気持ちもあるのです。
全てのストーリーを読み終えてしまうのがもったいなくて、大事に大事に読みました。
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貝殻を収集するという紀元前からの趣味を持つ私としては、シェル・コレクターという題名だけで本屋に注文してしまった。
そうです。中身は知るよしもありませんでしたね。
この装丁、書棚に並べるだけでもいいもんです。
実はこの本は短編集で表題の小説も割合読みやすいです。
アフリカの小島に暮らす年老いた貝類学者のストーリーです。
マニアックな貝がたくさん出てくるので収集家はそれだけで満足してしまうでしょう。
私もそうでした。
この本は最初のシェル・コレクターだけ読んでも価値があります。
読み進めながら夢想にふけり、主人公になった気分でした。
星は5つ与えます。
でも、貝に興味の無い方なら星は3つくらいかな???
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世界への見方。
美しい自然描写とひとひねりあるストーリーで、デビュー作とは考えられない力作。最新長編の「すべての見えない光」も購入したので楽しみに読みたい。
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貝を収集して暮らす、老いた学者の話。
かつて厳しい自然のなかでともに暮らした妻と再会する話。
生き別れていた姉がサーカス劇団で働いていた話。
登場人物たちの心までは深く踏み込んでは描かれないけれど、その代わり、1冊を通して、自然の豊かさと厳しさ、それに翻弄される人間・家族の姿を、丁寧な筆致で描いています。
筆者への自然への深い尊敬が感じられました。
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「二人とも自分ではどうすることもできない力にとらわれて生きていた・・・11月の風、地球の自転。」
「力は弱さの中心に隠れていること、果てしなく深い穴の底に押し込まれていることを彼女は学びつつあった」
「夢と覚醒、生者と死者は、ごく細い線で隔てられているだけ・・・」
「美と喪失は同じものであり、それが世界を秩序づけていると妻はいった」
「男は何から何まで違っており、謎めいた底なしの魅力があった。彼女は彼の外見の下に深く隠された何かを見抜いたにちがいない。他の僕らには、そこまで鋭く感じられない何かを」
「・・・ささやかでも幸せになれることを探し続けた。なぜなら彼らはアメリカ人であり、そのように教えられて育ったからだ」
「秩序、運、定め。自分が今ここにいる理由など、何の関係があるだろう。星はその星座で燃える。海の中では無数の生命が一刻一刻を生きている」
「母さんの菜園はもっと・・・秩序があった」
「彼の中には、もはや門はなく、もはや仕切りはない。これまでの人生で行ったことすべてが、体内で一つの水たまりになり、鈍く揺れてへりに打ち付けているように感じる」
「あの日、道で目撃した彼女の野性が、どんなに彼を興奮させ、どんなに怖れさせたか、それを言葉にすることはできなかった」
「だが、長く過ごすに連れて、彼女は博物館に苛立ちを感じるようになった。そこには成長しているものも、生きているものもなかった」
「すでに彼は違う人間になっていた・・・発情した雄鹿のよう二、荒い息を吐き、沸き立つ生命に震えていた男ではなかった」
「あの平原を繰り返し疾走し、生きる術を永遠に若い世代に伝えてきた動物にとって、100年など一瞬に過ぎないではないか」
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隠しようもなく哀しみが漂っているけれど、ずっと哀しみに囚われてはいないところに光が見える短編集です。光に照らされる景色で終わるお話も多いです。
どうやら再読だったようだ…今回も浸りました。
「シェル・コレクター」「ムコンド」が印象的。「ムコンド」、Coccoさんっぽいと思ってたけどこれ“幸わせの小道”だ…天国へは招かれないけど、やっとしっくりきました。
今回は「世話係」の、深い淵から掬い上げられるような世界が残りました。他の作品も読もう。
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この作者を知ったのは『すべての見えない光』でした。新しい著作から年代を遡って読んでいき、この作品に辿り着きました。どの短編もこの先どうなるのだろうという不安と期待が入り混じった状態で結末を迎えるのが私には心地よかったです。特に、「世話係」が素敵でした。
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美しく静かな文章で、読後は少し切ない。
短編で語られた人生の一節は、どれもきらりと光っている。誰の人生も、一部を切取られると輝きを放って見えるのだろうか。それとも、すべての人生はほのかにでもあれ、特殊な鉱石のように光を放っているのだろうか。アンソニードーアに書かれたこれらの物語は、凄惨な内容も含まれるが、静かで美しい文章により、心に染み入ってくる。
裏表紙には『時間が止まる。息を詰め、そっと吐く。』と書かれている。まさに静かに時が流れ、心が揺れる読書体験が得られる。
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ピンク色のわたあめとそのまわりにただよう非日常の高揚感といかがわしさと物悲しさを言葉でで表現できたらなと思ったことが昔あって
縁日と移動遊園地の違いこそあれ、あの感じをうまく文章で掴んでくれてるな、と思う。
孤独感や寂寥感を必ずしもネガティヴな感覚とは思ってはいない人たちのための短編集。
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みずみずしく細かな雪が風に煽られる時、きらきらとまたたくことがある。
人の手や、ましてや科学の力でさえ絶対に及ばないもの。
届かないもの。
自然が生み出す一瞬を、Anthony Doerrは巧みに言葉で捉えている。
ある人間たちの生き方を、時に厳しくそびえる山々から眺め、或いはぎりぎりのユーモアで風刺画さながらに描き、さらには思春期特有の痛みや危うさをもって愛や生命の意味を問う。
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この作者は、自然の摂理や人間の所作だけでなく、原子の構造や光の波長まで読み取れるのではないかと思える位に自然情景や人間の深層心理を的確に読み取り、且つそれを端的な言葉で綺麗に表現している。
そして本作は氏のデビュー作だが、その完成度はとてもそのようには思えない。ましてや本作を上梓した時はまだ20歳代というのは驚いた。
また本作では、農業、釣りや猟、標本採集、など同じテーマを扱っている作品が多いが、それを差し置いてでも私にはすべてがリンクしているように思えてならない。
それはあとがきで訳者が解説しているように、自然への賛美と畏怖が全体を通して貫いているからだと私も思う。
更には、それぞれのテーマや題材は異なっているのに、全体的には一つの中編小説に見えてくるものを、私はこれまで読んだことがない。
自分で言うのの何だが、氏は間違いなく将来のノーベル賞作家になると思う。
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翻訳ものは苦手だと思いつつ、何かの書評で目にして気になったので読んでみました。
8つの短編が収録されています。
盲目の老貝類学者がある出来事をきっかけに、自分の静かな生活が変化していく話。
猟師の妻が不思議な力を持っている話。引越し先で少女が、釣りと恋を覚える話。
などなど色々な物語が描かれていますが、共通して、自然のたくましさというか、荒々しさ、過酷さを感じます。
日本よりもっと寒い地方での冬は、雪に埋もれた家の中で過ごす孤独さや厳しさ。
最低限の家と生活用品しかない場所で、生物と本当に隣り合わせの生活。
東京に住んでいる私が公園に行ったり、山に登りに行ったりするのとは違う、ありのままの自然の中での生活に触れられて、なんだか新鮮でした。
自然の中では、死が身近に感じられるのかもしれません。
この本を読んでいると生きること死ぬことを考えさせられるのですが、自然の中にいると生活と切り離せないのかもなと思いました。
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短編集8編
盲目であったり(シェル・コレクター),耳が聞こえなかったり(世話係)することで,より自然に寄り添っている.また,魚釣り(たくさんのチャンス)やハンター(ハンターの妻)といった形で自然の中に溶け込んでいる,とにかくどの短編もいろいろな表情を見せる自然描写が鮮やかだ.そして一風変わった登場人物たちが,変わった人生を生きていくこと,ストーリーの奇想天外さも面白い.
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作品には孤独な人々が多く登場しますが、絶望につながる孤独ではなく、むしろ希望につながる肯定的な孤独です。 /アンソニードーア 『シェルコレクター』訳者あとがきより