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小さいおばけ みんなのレビュー
- オトフリート・プロイスラー (作), フランツ・ヨーゼフ・トリップ (絵), はたさわ ゆうこ (訳)
- 税込価格:1,650円(15pt)
- 出版社:徳間書店
- 発行年月:2003.7
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紙の本
こよなく愛しい物語
2006/01/23 22:01
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツの古城に暮らす小さいおばけのお話です。夜中の12時になると目をさまし、月の光の中で「おばけ時間」をすごす小さいおばけは、見たことのない昼の世界にあこがれます。親友のふくろうの忠告も聞かず、あれこれ試したあげく、ひょんなことから昼の世界に飛び出すと、粉雪よりもまっしろだった体がまっくろに。心ならずあちこちで騒ぎを引起してしまい、町の人には怪物扱いされて、おばけは夜の世界に戻りたいと思うのですが、今度はどうしても戻れない。さあ、どうしよう・・・・・・というお話。
なんと言っても、小さいおばけが可愛い! 純粋で、世間知らずで、心優しくて、一生懸命なおばけ。どこか保護者然とした友だちのふくろうや、町の子どもたちでなくても、手を貸したくなること必至です。
ところで、わたしの本棚には「小さいおばけ」が2冊並んでいます。1冊は、徳間書店版(この書評ページの本ですね)もう1冊は1975年刊の学習研究社版、訳は大塚勇三氏でした。今から20年以上昔、わたしが夢中になって読んだ本です。あの頃、小学生だったわたしは、小さいおばけが持っている「かぎたば」が欲しくてたまりませんでした。小さいおばけが、鍵が13ぶら下がっている鍵束を一ふりすると、どんな錠前も開いてしまうのです。他にも、ほこりだらけの屋根裏だとか、カシワの材木でこしらえた長もちの寝床とか、魅力的な舞台や小道具がいっぱいです。
はたさわ氏の新訳も軽やかで素敵なのですが(小さいおばけの可憐さがアップしています)、「たいそうたいそうむかしから」と始まる大塚氏の訳は、古風でえもいわれぬ趣があって、捨てがたい。後ですね、学習研究社版は表紙カバーは、まっしろな夜おばけで、それを外すとまっくろな昼おばけになっているのです。(だから、表紙カバーがボロボロになっても捨てられない・・・)このコントラストが子ども心にもワクワクしました。
実は、今回、書評をどちらに書くか、とても迷ったのです。わたしが、こよなく愛した1冊は学習研究社版ですが、今、姪っ子にプレゼントするなら徳間書店版。いずれにしても、素晴らしき名作の復活に喝采! 小さいおばけが、これからも沢山の子どもたちに愛されることを願ってやみません。
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