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紙の本
第二次大戦下のイギリス女性の自立した生き方に感動
2004/07/24 22:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピルチャ−フリーク - この投稿者のレビュー一覧を見る
シェルシーカーズ、九月に、冬至までに続く作者の自伝的長編の4冊目。翻訳の出版を首を長くして待ち望み、ようやく手にしたと同時に、分厚い三分冊を夢中になって読んだ。第二次大戦は日本でも様々な悲劇を生んだが、日本の対戦相手であったイギリスの空の下で、どのように人々が戦時下の生活を生きていたかが、この小説の中に切々とかかれている。作者の分身である主人公ジュディスが、赴任でコロンボに去った両親と別れ、イギリスで1人で暮らし始め、そして、日本軍の侵攻とともに両親は死ぬ。コーンワルやスコットランドの風景、ロンドンの町の暮らし、華やかな青年たちも1人また1人と戦争へ狩り出され、死んだり、行方知れずになったり、負傷したり。あの戦争は地球上のあちこちで、こういう悲しみをたくさん生み出し、そしてまた、その喪失から力強く立ち上がる人々がたくさんいたのだと、あらためて思う。美しい花や植物の描写、若者たちの愛と別離、大人になるほろ苦い経験の数々など、いつもながらのストーリーテラーぶりを示す作者も、もう78歳。翻訳の中村妙子さんの文章も美しい。作者と同年代の訳者だからこそ、哀惜を持って第二次大戦の時代を描出できるのだろうと、翻訳の力の大きさも感じる一編。
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