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紙の本

エレガントなミステリ仕立てのフランス小説。読書は上質な暇つぶしだと満足したいならば、安心して身をあずけられる1冊。

2003/10/31 17:35

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 洗練というものは、行き過ぎるとただの嫌味、あるいは滑稽でしかないと思う。それはファッションで考えてみると分かりやすい。
 上から下まで今シーズンの新しいモードでびしっと決めるのは大した意気込みだが、どこか1ヶ所抜けた所を作るのが本当のおしゃれだと私には映る。たとえば、欧州リーグで成功したサッカー選手の帰国風景。一般人では手に入れにくいブランドのアイテムでフル装備している。似合っているし、宣伝に一役買っていることは分かるが、何だかなあと感じる。前からの愛用品で自分にしっくりくるものを1つ取り入れることにより、スキやゆるみを作ればもっとかっこいいのにと思う。
「おやじに譲ってもらったセーター」とか照れ、長い間クリーニングに繰り返し出したものを着ている。とてもよく似合っている。そのひじ部分が擦り切れる寸前になっているのを見つけるようなとき、その人の味や自信、個性を感じる。
 どこか1ヶ所「気を抜いている」というのは、粋のコツなのかもしれない。絵画でも、接客でも、インテリアでも、何にでも言えそうだ。

 モディアノのこの邦訳新作は、どこがその「気を抜いている」箇所なのかは説明しにくいのだが、洗練のされ具合がほどよく粋である。ラフな捉え方をすれば、文学作品としての気負い、気取りを求めず、娯楽小説としての魅力をたたているからだという見方が可能かもしれない。
 読み始めて3分の2ぐらいまでは、輪郭のつかみにくい複数の男女の描写だ。どう生計を立てているのか分からない人物たちが、南仏で過ごす様子がゆっくり静かにスケッチされていく。ゆっくり静かだが決して退屈ではなく、彼らの「人格」と「結んでいる関係」双方の不思議さ、あやしさ、曖昧さに惹きつけられる。
 それが残り3分の1を過ぎたあたりから、かたかた動き始める。事件、謎、謎解きというミステリ味が小説世界を覆い出す。事件と謎の核にあるのは女性の大切な持ち物だが、コミックを彷彿させるような因縁の品である。この小説の雰囲気にはそぐわない素材の投入かと思いきや、そのアイテムはこの小説という身から浮くことなく、しっくりと馴染んでいる。とてもよく似合っている。
 不思議さ、あやしさ、曖昧さといったどこか落ちつかない感じは、人物たちの属性とドラマだけによって醸し出されるものでないことも加えておいた方がいいだろう。時間軸が複雑に解体されているわけではないが、時間の流れに技巧がほどこされていることが、謎解きに新鮮な切り口を与えている。たまたまビュトールの講義集を読んでいて、自著『時間割』について触れていたので思いついたのだが、時間構造上の技巧には、ヌーヴォー・ロマンの影響もあるのだろうか。

 訳者の堀江氏が思い入れあった作品で、ずっと暖めていた訳稿だそうだ。「粋」は翻訳文にもしみわたっており、外国の小説だと感じさせない自然な流れの文章に仕上がっている。訳者あとがきには、ジュール・ヴェルヌやレイモン・ラディゲ作品への「文学的目配せ」について解説があり、興味深い。いつもの堀江作品同様、そのあとがき自体が別の本への案内にもなっている。
 また、堀江氏作『いつか王子駅で』との比較も楽しめた。静かな描写が途中からかたかた動き出すあたり、さりげない日常の描写から浮き彫りにされていく人物たちの属性といったあたりに共通の文学性を感じた。

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2014/10/16 21:59

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2014/10/26 20:29

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