紙の本
これはもう趣味としか言いようがないのである。
2003/11/10 21:59
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投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
かの有名なさとなお氏には「おもしろかったのだが、これが代表作? という感じは残る」と書かれてしまったが、僕は恩田陸の作品の中ではやっぱり「黒と茶の幻想」が一番好きなのである(さとなお氏にメールを送って「黒と茶の幻想」を薦めたのは他ならぬ僕である)。で、この「まひるの月を追いかけて」も、どちらかと言うと「黒と茶の幻想」の線なのである。もっとも、こちらのほうがもう少しはっきりとミステリ仕立てである。つまり、謎があってそれが解けるという形を採っている。
結末についてはあまり多くを語らないほうが良いだろう。不用意に僕がヒントを与えてしまうと、勘の良い読者ならすぐに結末を読み切ってしまう恐れがある。ただ一言で書いてしまうと、この結末は僕にとっては、やや茶番。
それでも僕はこの作品が好きなのである。それはやはり彼女特有の、このどんよりと重く淀んだ空気感。「淀んだ水」じゃなくてあくまで「淀んだ空気」である。その違い、解ってもらえるだろうか? 水ほど重くなく、水ほど冷たくもなく、水ほど明確に実体を感じることもできない──でも、「淀んだ空気」としか言えないものを感じることがあるでしょう? 恩田陸はそういう感じを非常に巧く書ける作家だと思う。世の中にはすきっと爽快な小説が好きな人もいるだろうし、どんよりと重く淀んだ小説が好きな人もいる。これはもう趣味としか言いようがない。
人物の描き方にやや甘さも残っていて、小説の完成度は「黒と茶の幻想」よりかなり劣るし、ミステリとしては「木曜組曲」なんかのほうが遥かに出来が良いだろう。でも、この小説は殺人事件なんか起きなくてもミステリは書けるということの証左のような気もする。無理に殺人事件を起こさなかった恩田陸は偉いとさえ思ってしまう。
この小説、けなす人いっぱいいるだろうなあ。でも、やっぱり僕はこういうの好き。このどんよりと重く淀んだ空気感。これはもう趣味としか言いようがないのである。
by yama-a 賢い言葉のWeb
紙の本
トラベルミステリー
2021/01/01 13:38
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
明日香村の民宿から奈良公園の日本庭園までと、古都をバックに異母きょうだいの謎が浮かび上がっていきます。旅の終わりに明かされる真実と、そこから始まる恋が感動的です。
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え、これがあの恩田さんの作品?という感じ。
今までの作品に比べると、中身が薄すぎる。
今までの作品が濃すぎるという話もあるけれど
もうすこし煮詰めて、他の展開に持っていけばよかったのに。
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こんな愛情もあるのかな。自分だったらどうだろう。ちょっと不思議な物語。なんともいえない読後感。尻切れトンボ具合も恩田ワールド爆発。
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舞台は古き都 奈良。
絡み合う人間関係と現実と夢の間を行きつ戻りつしながら始まった旅。
旅の果てが終わりなのか始まりなのかは読後も尚 私の中で定かではない。
旅を始めるきっかけ それを続ける意思。様々な点で現実感を伴わないが
それこそが現実であるという風にも思える。
誰かの掌の中の水晶玉のその中に入り込み 外側から見守られているような錯覚を覚えさせる街。
時間の流れが少しだけ変わっているような太古の匂いのする街。
そんな街 奈良を舞台にしてこその 時間の隙間に入り込んだような感覚がなんとも心地好い。
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恩田陸さん好きなのですが、作品にはけっこう当り外れがあって……残念ながら私の中でこれは後者の分類なのでした。いまいち楽しめなかった。(読書日:2004/3)
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怖!と思った本。
「月の裏側」みたいなオカルト的な怖さじゃなくて、人間のどろっとした部分が垣間見える怖さ。(苦笑)
最後の終わり方は、中途半端だとは思うけど、確かに効果的な部分で終わってるなと思った。(でも、それが特に怖!という印象を後々まで残してる 笑)
いつか京都にこうやってぶらりと歩きまわる旅をしてみたいな〜・・。
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淡々と進むストーリー。最後はやっぱりと思ってしまうのが、残念ですがそれでも最後まで読ませる力はさすが。
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失踪した一人の男を捜して、奈良を度する二人の女。それぞれの過去と現在を手探りしながら続く奇妙な度の行きつく先とは?
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随所に散りばめられたセンスのいい表現に惹かれて読み進めましたが、伏線の張り方が中途半端。後で効果的に発揮されるはずなのに、やや消化不良。全体的にテンポも悪く、雰囲気もだるい感じでした。結末も「何じゃそりゃ!」と思わず突っ込んでしまいました。
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失踪した一人の男を探して、奈良を旅する二人の女。それぞれの過去と現在を手探りしながら続く、奇妙な旅の行き着く先は? 夢と現実が交錯する旅物語。『オール読物』連載を単行本化。
【感想】
http://plaza.rakuten.co.jp/tarotadasuke/diary/200505160000/
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私のブログ名にもなっている。(暴露)
本自体に深い執着はないけどもタイトルは好き。微妙なすれ違い恋愛があるのもいいところ。
遠目に見ると図書室の海と表紙がかぶるが私はこの表紙が大好き。
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恩田陸には珍しく、一人称一視点で語られる物語。章ごとのタイトルが素敵。
事件らしい事件は起こりませんが、各章ごとに用意されるどんでん返し。飽きさせません。
ゆったりと読める本。奈良に旅したくなった。
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すんまそん ほとんど 内容思い出すのに必死です。
いまいちだったんだよなあ
まさに 中年女性の理想ではあるが 無理があるなあとおもった。。
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最後に明かされる真相には単純に驚きました。ラストの描かれ方はなんとも言えないカンジ。自分は好きなほうですが。風景描写が良くて、奈良に行きたくなるかも。