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友人との待ち合わせの間に、ふと手にとって読んだ本。
気が付けば読了していました
数学という、何となく冷たいイメージのあるものを、他人同士のつながりが暖かいものに感じさせてくれるような美しく、静かな物語です。
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冷たい水のような小説だと思う。
全体的に透明で、さらりとしているが、
若干冷たい(寂しい)。
場面も登場人物も固定された、変化の無い空間の中で、
数式を媒介とした日常が展開され、
時折、良識的なメッセージが登場人物の口から発せられる
といった内容。
12月の夜、地下鉄の駅から外に出てきたときに出会う、
ぴんと張った冷たい空気。それは透明で、寂しくて、
弾んでいた心が心無しか、冷静になってちょっと縮む感じ。
そんな、12月にぴったりの冷たい水。
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数学がこの世の中で一番苦手な教科でしたが、この本と出会うのがもっと早かったら、数字の見方が変わっていたと思います。今からでも遅くはないけど。
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友人に薦めれて読みました。すごい、泣いた!一人で嗚咽まで漏らしてしまった。哀しいんじゃない、切ないんじゃない、淋しいんじゃない、あたたかさに泣いた。読むと、幸せになれます。本当に。
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小川洋子の『博士の愛した数式』を読み終える。文章は丁寧な印象を受けたんだけれど、何だか薄っぺらい感じがした。多分、数学の部分なのかもなぁ〜。こんな数学高校生でも知ってます。別に特別なわけじゃないしなぁ。大学に入って、ジョディ・フォスターが主演で映画にもなったカール・セーガンの『コンタクト』を読みましたが、あっちの方がなるほどという感じがしたなぁ。カール・セーガンは科学者ですから、当たり前ですが。
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ずっと読みたかったの。そして期待を裏切らないハートウォーミングストーリーでした。
そして理系への尊敬の念が強まりました。
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初めて小川洋子さんの本を読みました。
夏ぐらいからお姉ちゃんが凝っているようで、
実家に帰ったら小川さんの本がわんさかありました。
興味がなかったのだけど、
お母さんに薦められて借りて帰りました。
それが10月くらいの話で、
放ったらかしたまま月日は流れ…。
身辺も落ち着き読み始めたら一気に読めました。
事故で記憶が80分しか保たない数学の博士と
そこに派遣された未婚の母である家政婦さんと
その息子ルートのお話です。
みんなちょっと複雑な環境にいるけど、暗い話じゃありません。
教科書に載ってるような心温まるお話ってあったと思うのですが、そんな感じで久しぶりに素直に感動して泣きました。
何てことのない場面でも、
そこはかとない哀しさと静けさで涙が出ます。
数式には無限の可能性があるという博士のお話はロマンチックで、数学が嫌いだった私も主人公と同じように感激しました。
数字が宇宙に浮かんでるような感じです。
博士は80分経つと記憶がなくなるので、
家政婦さんの似顔絵を描いたメモを
ジャケットにクリップで留めます。
忘れては困ることをメモした紙まみれ。
博士が動くとカサカサ音をたてます。
哀しいけどかわいらしくてユーモアに溢れています。
大きくなったルートが、空に描いた放物線。
最後は涙が止めどなく溢れて、本を閉じて号泣しました。
いつの間にか、私も博士が大好きになっていたのです。
あえてわかりやすく紹介するとして、
『アルジャーノンに花束を』を思い出したけど、
正直15年前くらいに読んだから記憶が定かでありません。
しかも『アルジャーノン~』は当時悲しくて好きな作品ではなく、
似てるとは言えないけれど……。
実家に帰ったら、他の小川作品も借りようと思いました。
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なんていうか売れてますな…数学苦手アレルギー保持者としては難しかったけど、小説としては面白かった。しかし、微妙といえば微妙か。100%ぴったりはまるとは言いがたいので三ツ星。
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発売された直後ぐらいに、広告のキャッチフレーズに惹かれて読んだ記憶が。野球に詳しければもう少し楽しめたかも・・・。
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人を思いやることを切なく思わせる作品であり、人とそのつながりを数字や数式にあてはめたおもしろさと阪神などを効果的に巧みさも持っています。
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2004年に新設された第1回「本屋大賞」に選ばれた作品。そんな賞があるんだ・・・と手に取ったんだけど、とても大好きな本になった。
記憶の80分テープを持つ博士と、√と家政婦さん。三人がそろう夕暮れの情景がすごく心にぐっと来るいいお話でした。
小川洋子さんのその他の本はどうやら怖そうなので挑戦を迷ってるんだけど、この本は読後すごくさわやかで、でもちょっと切ないそんな気持ちになれる本でした。
ちょーっとだけ数字が好きになったかも。
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些細な日常の中にひっそりと潜むしあわせを見つけることは、難しいように見えるけれど、そうしたいという気持ちさえあればかなうということがわかりました。
(専門的な数式など出てきますが、わからなくても全く差し支えない内容なのでよかったです。)
どこか寂しさの漂う文章が印象的で、後半なんか何度泣いたことか。(笑)ひとり、陽の当たる部屋でゆっくり読むのがおすすめです。
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例えば、28というただの数字が、完全数という名の特別で輝かしいものに見えるようになること。
例えば、記憶に留められるものの儚さ・危うさに切なくなること。
きっと博士のお話を読んだからこそ、わたしに感じられることなのだろうな。
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これも同じ子に借りたもの。
80分しか記憶が持続しない数学者の「博士」と、彼の家に務めることになった家政婦さん、そして博士に「ルート」とあだなをつけられた家政婦さんの息子、3人の交流が描かれる話。
博士が語る数学の美しさや不思議さに、家政婦さん同様に引き込まれてしまいました。何気ない数字にもじつは秩序や法則が隠されていて、それを知ることでただの数字だったものに違った意味が生まれてくる、そこから新しい世界が見えてくる、という感じ。
別に大きな事件が起こると言うわけでもなく淡々と話は進むのですが、じわじわと心に沁みるような小説でした。ラストシーンにはついつい涙がこみあげてしまいましたよ(電車で読んでたせいで、心置きなく泣けませんでした)。最後の一文が残す余韻の響きがたまらなかった。 (2004/12/24)
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文章にけれん味はなく、徒に感情を操る技巧もない。しかし、設定は実に奇妙である。物語は終始一人の女性によって語られる。野球が大好きな10歳の息子を持つ未婚の母で、家政婦派遣会社に勤めている。ある時、彼女は一風変わった顧客の元に派遣される。彼は元大学教授。専攻は数学だった。17年前の事故の後遺症で、それ以降の記憶が80分しか保持できなくなっている。「頭の中に八十分のビデオテープが一本しかセットできない状態です。そこに重ね録りしてゆくと、以前の記憶はどんどん消えてゆきます。」彼女は彼を「博士」と呼ぶ。博士は彼女を80分ごとに忘れる。毎朝博士は彼女が家政婦であることを確認し、彼にとって唯一のコミュニケーション手段である「数字」の話をする。「君の靴のサイズはいくつかね」「24です」「ほお、実に潔い数字だ。4の階乗だ」ふとした偶然で、やがて10歳の息子が博士の家に来るようになる。博士は頭のてっぺんが平らな少年を「ルート」と呼ぶ。√記号のようだ、と言って。
日々成長する少年、毎日同じように家事をこなす母、そして80分ごとに記憶がリセットされる老人。三人は徐々に静かな友情を育むようになる。その様子を描く筆致は、淡々として乾いてはいるが、冷たくはない。何かを失うことでさえも、筆者の手にかかれば、特別に静かで美しい出来事のように語られる。
やがて、幾つかの事件が起こり、繰り返されていた日常は少しずつ変容していく。良い方へ?それとも逃れられぬ宿命の方へ?最後の一行で、堪らず涙した。悲しかったからじゃない。あまりに美しかったからだ。
読者であることを誇りたくなる……そんな一冊。すばらしい、すばらしい作品である。