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紙の本
冒険の「動」の器の中に、ミステリの知的な「静」を盛り込んだ話の面白さを感じます。
2004/11/19 23:39
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投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
加藤元浩さんの別シリーズ「Q.E.D.」が本格ミステリの謎と謎解きをメインにした話とすれば、こちらのシリーズは、謀略小説風の冒険譚の中にミステリの要素を盛り込んだ話と言えるでしょうか。「Q.E.D.」シリーズも好きですが、こっちのシリーズもなかなか面白い。現在第9巻まで出ていますが、本書第6巻収録のふたつの事件のうち、後半の話がミステリとしてもかなり面白かったので、ここで読みさしにして、感想を寄せてみることにしました。
話の主人公は、中学生の水無 葉(みずなし よう)。Rと名乗る人物と出会ったことから始まり、まあ色々あって、(第6巻現在の今は)ある情報組織のエージェントをしています。そんな彼の良きパートナーが、同級生の長月弥生(ながつき やよい)。明るさと元気がウリの彼女が、葉をサポートしながら二人三脚、コンビを組んで世界各地の事件の謎を調査していく、そういうストーリーになっています。
で、本書では、ひとりの天才投資家の死をめぐる事件の謎を調査していく話(「賢者の石」〜「たった一兆」)と、「双子の弟を捜して欲しい」という兄の依頼に端を発する事件の謎を追う話(「人間そっくり」〜「分解された男」)が収められています。
話のタイトルがちょっといかしてます。翻訳SF作品がお好きな方なら、すぐにピンとくるはず。話の内容とからめて、海外SF作品からそのままタイトルを拝借してるのですよね。
それはさておき、本書の後半を占める双子の兄弟が関わる事件、その奇妙な話の展開と解決の付け方が面白かったな。よく出来たミステリの謎と謎解きの妙味、それをこの「人間そっくり」〜「分解された男」での事件に感じました。
しかし、シリーズの舞台からしばらく退場したままになっている“あの男”の行方が気になるなあ。と思って、次の第7巻の著者コメントを読んでみたら、ををっ! そこに次のような記述が。
>
やー、あいつが戻ってくるのかあ。それは楽しみ。期待しちゃおう。
といったところで、第7巻に向かいまーす。
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