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紙の本
神様からのプレゼント
2003/10/11 14:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:元高角三 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生まれてよかった。なんと、単純なタイトルなんだろうって、本を手にとって思った。そういえば、昔母親が『生まれてよかったかい?』なんて、幼いボクに聞いてきたことをふと思い出す。
そもそも、人間はこの世に生まれてきて本当に良かったのだろうか。その答えを問い詰めることは、いささか哲学的でもあるので、省略するが、ボクは、生まれてきたことは、間違いではなかったんじゃないかって思っている。それは、そこに幸福があるからだ。幸福がない人にはこの本のよさがわからないかもしれないが、そもそも、人間は、それもこの本にあるように助産師に自分が取り上げられる瞬間は、幸福なのだ。そういう意味で、しみじみ、ああいい本だなあって思える本は意外と世の中に少ない。
さて、内容を見てみると、なんてことはない生まれる瞬間の、または生まれるまでの母親や家族との写真がとりとめもなく続いていく。言葉も少なく、ただモノクロの写真が続く。なんだ、他人の出産風景を写してるだけかと最初は思うが、その連射的な写真群を見ていると、まるでこっちまで出産の風景に立ち会っているかのような錯覚を覚えるから不思議だ。
生まれるって言うことは、結局難しいようなことに思える。妊娠してからの女性は、おなかが大きくなるにつれて、精神的にも肉体的にも疲労のピークを迎えるわけだ。表現に問題があるかもしれないけど、父親にとっても自分の妻が、お腹が出たり、食欲旺盛になったり、付き合い始めたころの初々しい姿とはおおよそ、ほど遠くなっていくわけだし、見るに絶えないかもしれない。でも、それが報われる瞬間が出産の場面であり、そこには自分の分身がこの世に生を受けたという、神妙な気持ちが存在する。
どのページでもかまわないと思う。一枚一枚の写真をめくってみて欲しい。どの家族も皆いい顔をしている。本当に幸せを実感している顔だ。
ボクは、助産師ほど素晴らしい職業はないと考える。著者の一人、福岡光子さんは、御歳なんと81歳だという。信じられないことだが、ボクが生まれるずっと前から子供を取り上げてきたいう事実は、もはや伝説だろう。ボクは、もっともこの写真で輝いている女性はこの福岡さんだと思うし、この人はこれからも輝き続けることだろう。それが、命と命の瞬間に立ち会っている人に与えられた、神様からのプレゼントなのではないだろうか。
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