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いうまでもなく、鏡というのはとっても不思議なものです。
見ている人の姿を真正面から受け止め、跳ね返してくる。
ただし、左右を反転して、上下はそのままで。
この本では、そんな鏡が生まれる前から、精度が悪く映りが良くないモノから、
品質が上がってくるまで、その流れに人、一族、国が巻き込まれていく
状況などを紐解いて解説してくれています。
財産目録から、鏡の保有状況などを推察するところや、
いろんな文献から、その当時の背景を含めて具体的に書かれているのは、
本当に、文化を追っているという印象。
一人一人の名前も、鏡自体の技術も細かく解説があり、
文体としては、いかにも「大学の教科書」然とした感じなので
読みにくい文章ですが、とっても、気持ちよく勉強させていただきました、
という感じ。
神や悪魔、宗教との対話などとの関連にも多くの解説が
なされている。鏡の奥の悪魔と、人々はどう対峙してきたか。
その時代に生きた人の気持ちが分かるような文章は、
本当にはまった。
鏡から生まれた、「ダンディー」という人々についての
まじめな解説にも楽しませてもらった。
ほんとにいい本でした。でも、ほんと読みにくい。
さらに、この本の解説本とか誰か書いてくれないだろうか。私には無理だけど。