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山間のちいさな町に生きる人びとの日常に訪れる、あるかなきかのかすかな眩暈。淡々と描かれる日常、淡々と生きざるをえない(あるいはそれを選んだ)彼らの姿にほんの少し哀しみがにじむ気がする。いちばん好きな堀江さんの本。
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堀江さんの本で読んだ事のある本は「熊の敷石」しかなかったのだけど、この本を読んで好きになりそう。
透明感のある文章と少しづつ繋がっていく物語がいい。私好み。
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この小説を、懐古趣味の産物と切り捨ててしまうことも可能でしょう。「昔のよさ」をそこかしこで訴えてますから、そういった批判は、あながち間違いとは言えません。正直、僕もその訴えかけには、馴染めないものを感じました。世代の差もあるんでしょうが…むしろ、作品の舞台が自分の住む環境とダブってしまったからでしょう。どうしようもない田舎でありながらも、近代化の波が押し寄せてきて、変化せざるを得ない町と、そこで暮らす小市民。僕はそんな場所から逃げ出したいと、常々思っているのに対して、筆者はどちらかと言うと、肯定的に描こうとしている。つまり、姿勢が違うんです。どちらが正しいとか、ないと思います。生き方の問題ですから。ただ、田舎者の僕から見て、彼の情景描写は、違和感がなくて、的確だと感じました。特に「イラクサの庭」に出てくるオバさんは、田舎のイヤラシサを見事に体現していると思います。こんなオバサン、よくいます。
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図書館から本を借りると期日までに帰さなくちゃなりません。で、読むつもりで借りてはみたものの期日がきて読めずに返すこともあったり…。実はこの本も未読返却するところでした。でも短編集だから一編くらいは読んでみようと、読みはじめて、そのまま読了してしまいました。静かだけど豊かな世界があって心地よかったです。
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収録の「スタンス・ドット」が川端康成文学賞を受賞。山あいのひなびた町のボウリング場が、何ともいえない深い味わいを醸し出す。
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作家や業界すじの人たちから絶賛されている作家。春樹的というよりはレンモンド・カーヴァー的なシンプルで、ちょっといい話。
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淡々とした短編集。ちょっといい話な雰囲気が少しと、世俗から離れて独自の生活をする人達特有のちょっぴりかたくなな余裕が流れる。
いいなと思ったのは、「だから自分はこうなんだ。こういう理由でこうなんだ」といった自己アピールをしていないところ。そしてそのアピールしていない部分をさりげなくだけれど一貫して打ち出しているところ。
登場するキャラクター頼りなので、その点で「絹への道」が微笑ましかった。地味な作品だった。
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なんつーか淡々と。表題にあるように雪沼とその周辺に住む人たちの生活を描いた連作短編集。もう淡々っぷりは半端ねーっす。あー、こーゆー書き方あるよねって感じ。それを退屈とみるか、静かな感動とみるか。俺は前者かな。作者の意図があるのか、ただ書いているのかわかんないんだよね。しかしリアリティはある。いろいろな人がいるわけですよね。みんなそれぞれが平均80年生きて。そういうのは大事だと思いました。
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はじめはちょっと入りにくいかもしんないけど、騙されたと思って最後まで読んでみて欲しいです。
私はこの方の小説が本当に好きです。
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短編集なのだが、各話で少しづつリンクがある。ストーリー自体は田舎生活を題材としているのだが、リンクと描写が小説世界を広げている。自身の頭の中での情景がみえ、ほのぼのする小説だ。
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静かなる情熱の作家、堀江敏幸と初めて出会ったのがこの本でした。文章の美しさが弱い力を守ることに捧げられているところに心を動かされます。
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ありそうな話を淡々と綴ってる話だった。
凄い感動は無いけど不思議に悲しいような切ないような気持ちになる本。
細かい文字がずっーと並んでたから、私の中で読みにくかったけど場景は想像しやすかった!
雪沼に住む色々な人達の物語が書かれていました。
登場人物が自分の年齢が離れてたからそこまで人の気持ちは理解は出来なかったけど、将来自分はこんな風に年とってるかもっていうのはあった。
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取り立ててドラマティックな展開はないけど,静かにしっとりと読ませる。もっと年を取ってゆっくりと読み味わいたい1冊。まだ本当のこの本の魅力には行き着いてないと思う。
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堀江さん、ちょっと前に人に薦められていたので読んでみた。今読みたかったのはこういう小説だったんだ、とはたと気付かされた。ゆるやかな文章、行間から滲み出る哀愁のような何か。これは何なのだろう。既視感のような。懐かしいような。ひんやりとした文章。川上弘美のようでいて、川上弘美的な行間からのおぞましさのようなものはない。もっとやさしい。もっと包み込んでくれる。そんな印象。(07/7/16)
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2007.10. 雪沼、私も住んでみたい。静かに静かに語られる物語には、奥行きがあってそのまま人々の息遣いが感じられる。文章が静かで美しいのです。なんだか遠慮深い装丁もあいまって、とても良い雰囲気が漂っている。