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(1993.08.28読了)(1991.09.24購入)
副題「前九年・後三年の役の実像」
*本の帯より*
平安後期の東北を支配・席巻した安倍・清原氏の興亡の歴史
平安時代中期、陸奥の北上川中流域を席巻していた安倍氏と、出羽の山北地方一帯を押さえていた清原氏は、その勢力が最大に拡張したとき、国家権力の介入を招いて滅亡の災禍に見舞われる。前九年の役、後三年の役の両合戦である。古代東北史を語る上で不可欠の大事件にも拘らず、顛末を伝える資料に乏しく、検証も疎かにされてきた両合戦の実像を、厳密な史料批判のもと再検討し、蝦夷の末裔である安倍・清原両氏の興亡を描く。
【目次】
はじめに
第一章 平安時代の東北史〈その一〉
第二章 六郡支配への道程〈安倍氏の場合〉
第三章 山北支配への道程〈清原氏の場合〉
第四章 前九年の役を考える
第五章 平安時代の東北史〈その二〉
第六章 後三年の役を考える
おわりに
☆高橋崇さんの本(既読)
「蝦夷」高橋崇著、中公新書、1986.05.25
「坂上田村麻呂」高橋崇著、吉川弘文館、1986.07.01
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前九年の役・後三年の役に関する軍記物語を手がかりに、陸奥・出羽における安倍氏と清原氏の勢力伸長を史料から注意深く再構成し、その背景をもとに、二つの戦役の実像を再構成しようとする研究。源頼義・義家親子の行動を注意深く吟味していくと、必ずしも合理的とはいえない行動が目立つことなどを詳述していて、二人の神格化された像に疑問を突きつけているところなど、色々と面白い。
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平安時代中期、陸奥の北上川中流域を席巻していた安倍氏と、出羽の山北地方一帯を押さえていた清原氏は、その勢力が最大に拡張したとき、国家権力の介入を招いて滅亡の災禍に見舞われる。前九年の役、後三年の役の両合戦である。古代東北史を語る上で不可欠の大事件にも拘わらず、顛末を伝える史料に乏しく、検証も疎かにされてきた両合戦の実像を、厳密な史料批判のもと再検討し、蝦夷の末裔である安倍・清原氏の興亡を描く。
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1991年刊行。著者は岩手大学教授。北上川中流域を支配した安倍氏、秋田県中央部を支配した清原氏を軸に、平安時代中期以降の東北支配の実相と、前九年、後三年の役を解読する。まぁ、言っても詮無いが、文献記録が京都側で、東北側から見ようとしても実像はつかみにくいなぁというのが素直な感想。その中で、本書の丁寧な検討は好感。
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前九年と後三年の役について。蝦夷の末裔たる安倍氏と清原氏の出自に関する考察等。
両役の基本経過に関する解説が少なめなのと独自研究らしきものも含まれていたので評価は低め。
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中世東北史上最大の戦いである前九年の役・後三年の役を解説。陸奥話記の記述をなぞるだけでなく、同時代の史料を多く引用しながら東北情勢などの情報を多く盛り込んでいる。
畿内を中心とする朝廷からすれば辺境での戦いに過ぎない地味な出来事だけど、これによって奥州藤原氏が台頭する土台ができあがり、また、源氏が東国での影響力を築いたことを考えると、その後の影響という点ではかなり画期的な戦いだったんだなと思う。そしてその百年後、その奥州藤原氏が源氏に滅ぼされるというのも合わせるとさらに感慨深い。