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やっぱりこれは面白い。田口さんという人は語り口で読ませるのかなあ。この人の文章って、全体としてまとまりに欠けるなあ、結局何が言いたいんだろ、って思うことが多いんだけど、でもドキリとするような着眼点や一言があって刺激的。こないだ出た本はポプラビーチの連載で毎回楽しみにしてたので買う気がしないのですが、いずれ古本市場に出回ったらこっちも回収しなきゃな。
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書店全盛期。その真っ只中、リブロ池袋店という新しい書店が生まれ、業界に波乱を巻き起こした。
書店不況の今に読むと「いやーそんなオオゲサな・・・」と思ってしまうかもしれないが、今と当時はまったく違ったのだ。こんなに出版がアツい時代があったなんて!!私はその時代に働けなくて本当に残念に思う。上司世代が語る「あのころ」がうらやましくなる一冊。出版業界に入ったばかりのヒト、書店の仕組みなどを知るためにも役立ちます。ぜひ読んでほしい。
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芳林堂にはすごい女性社員がいた。お客様に本はどこにあるのと聞かれ、即座に何番目の棚の何列目の何番目にあると答えられたそうだ。
リブロの看板店員
中村文孝・今泉正光
「常備」は常備寄託システムという。業界独自の流通形態である。出版社が書店にその在庫品を一年間貸し出し、一年後に生産するシステムのこと。
西武百貨店は大卒女子をかなり早くから採用した企業である。
昨今の小規模書店は雑誌で食べている。平均的な小型書店の雑誌売り上げ比率は全体の50-70%を占める。
雑誌は、書籍に比べ
1.売れ行きの足が速い
2.卸値が低い
3.毎月コンスタントに売れる
4.ベストセラーなどの話題所の入手が困難なのとは違い、きちんと入荷される
本を価格比較をしてより賢く買おうという対象になってほしくない。文庫という丸ごとディスカウント商品群がある。
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田口さんは現在ジュンク堂池袋本店の副店長。業界人なら誰でも知っている方だろう。当然リブロにおられるときからその名声は業界には響き渡っていて、彼女がジュンク堂に行く、って聞いたときには驚いたものである。その彼女が書いたリブロ池袋店の話である。面白いに決まっている。75年から95年頃まで、その中でも今泉さんが店長をされていたころの話が中心である。浅田彰「構造と力」なんかがベストセラーになった頃で、人文書が幸せな時代だった。86年から書籍の仕事を始めた僕の軌跡とまったく重なって、文中に出てくる本の一冊一冊に、そうだこの本はよく売れたとか、この本とこの本はこんな関係で、そうそうこの本の隣にはこんな本を置いて・・・なんていちいち懐かしいのであった。あの頃、リブロの今泉棚は僕ら人文書担当にもひとつの目標で、リブロ詣、今泉詣も盛んであった。僕も何回かその今泉棚を見に行ったし、今泉さんの話を聞いたりもした。感動して、何とか自分のお店でも表現できないかと、苦心した記憶がある。所詮僕には難しい話ではあったのだが。この本によると何しろ今泉さんの当時の交友関係がすごすぎる。吉本隆明はもとより埴谷雄高、中沢新一、山口昌男、今村仁司・・・こんな人たちに仕事が終わったら会いに行って、思想やその他もろもろの話をしていたのだ・・そりゃかなうはずがないのである。人文書といえばリブロという時代だった。そのリブロも今はもう、西武セゾンの手を離れ、大手取次の傘下に入ってしまった。
新刊書店として初めてリブロがバーゲン本フェアをやったことにいきさつをこの本で僕は知った。当時再販制度は風前の灯、という雰囲気だった。業界としては何としてでも再販制度を死守したい、でもどうすればいいのかわからない、といった状況だったと思う。バーゲン本フェアはそんな中で、再販制度の弾力運用ということで公取から、たぶん暗に強制(そういっては身も蓋もないか)・・・そういう雰囲気をいくつかの出版社が読み取って企画したものであったのだろう。それに当時の田口店長は乗った・・・。しかし、そこには書店組合や取次や出版社のいろんな思惑が交差して・・田口店長は大変な目にあったのだ。再販制度が撤廃されれはそれは田口のせいだ・・そこまでいわれる中でフェアは成功し、バーゲン本フェアは一般的になり、再販制度は結局当面維持されることになったのは、みんなの知るところである。それにしても、この最初のフェアを強烈に批判した大取次の傘下になってしまうとは・・。
この本に登場する何人かとは僕も話したことがあるし、飲んだこともある。そういう意味でも、この本は僕自身の書籍担当時代の物語でもあるのであった。やっぱり懐かしいのである。
そして、書店員とはこんなに楽しいのだ、ということを改めて思い出させてくれる。出版社や編集者、著者との関係、そして何より棚を通してのお客さんとの幸せな関係、書店員というのはこんなにも楽しいのである。
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バブルの時代に西武百貨店書籍部リブロの誕生期に入社し、リブロが百貨店から独立し自身はジュンク堂に転職した書店員の記録。 当時の西武百貨店は堤清二の主導により文化の発信地を標榜、美術館と西洋美術ショップ・詩の専門書店を持つ。普通書店も堤氏の許容範囲のうちにあれば自由に棚作りができたようだ。 書店員が棚作りをするという発想がなかったので(本屋さんはみんな同じと思っていた。コンビニだってそうでしょ?)、池袋と渋谷でコンセプトから違うのに驚く。 本屋に相性のいいのと悪いのとがあるのはわかっていたのに。 ジュンク堂を受けて入社しなかった私だが、先にこの本を読んでいたらどうなっていたかな?
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2012 2/13読了。つくば市立図書館で借りた。
西武池袋店を中心とする、リブロがしようとしたことについて、書店員への聞き取りに基づいて書かれた本。
ずっと読みたかったがなぜか筑波大の図書館になく、市立図書館に行ったときに0番台の棚を見たらふつうにあったので借りてしまった。
エッセイと書店本の間のような本で、書店経営に関することや人物譚や書棚への考え方や、が網の目のように語られていく。
当時のリブロがわからないとイメージがわきにくい部分があるのがちょっと辛い。
あと、まだ今ほどの出版不況のどまんなか、という風潮ではなかった頃に書かれたようで、人文書が売れなくなったことは語られても本が売れない、とは書かれない(著者が執筆時、ジュンク堂にいた影響もあるかもだけど・・・)。
1980-90年代頃の書店事情について考える材料になりそうな本。
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1975年に西武百貨店池袋店内に誕生した西武ブックセンター、85年にリブロブックセンターとして独立。97年オープンのジュンク堂池袋店に転職するまでのリブロの記録。
91年に上京した私はリブロ時代後半からしか知らないから、とっても楽しませて貰いました。まあ、2018現在は三省堂書店になってますが。
大きい本屋に行くと楽しいのはただ単に本が沢山あるからだけでなく、書店員さんの努力で魅力的な棚が作られているからなのね。PC普及前にはスリップを毎日、目検で分析していたとは!
しかし、堤清二ってスゴイ人だったんだ。「ミカドの肖像」には息子出てなかった気がするなあ。
昔の百貨店って、18時閉店だったんだねー、そう言われれば…。
「天理大学にロシアアヴァンギャルドに詳しい亀山郁夫さんていう先生がいると聞いて」だって。
「再販制を維持するtsめのバーゲンブックフェア」を押し付けられて業界内で散々叩かれる話は気の毒…。
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70年代から、80年代の空気感が伝わってくる。サブカル文化が一気に花開いたその時代の一端を現場の生の声で伝えてくれる本。本屋から文化が生まれた時代の熱気がうらやましい。