サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

書店風雲録 みんなのレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー12件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (8件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
12 件中 1 件~ 12 件を表示

紙の本

他人のノスタルジーを愉しむ(本屋さん編)

2004/02/16 22:22

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とりる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 渋谷の東急Bunkamuraの地下一階にあるNADiff modern(ナディッフモダン)は私のお気に入りの書店のひとつだが、表参道にある本店にはまだ行ったことがない。当然、その前身のアール・ヴィヴァンについては何も知らなかった。

 ミュージアムショップ「アール・ヴィヴァン」が池袋西武美術館(のちのセゾン美術館)とともに誕生したのは1975年のことだった。
 芦野公昭が語る開店準備の苦労話は痛快だ。業界関係者にはことごとく無茶だと言われながらも闇雲に仕入れをし、数週間で初回の仕入れ分のかなりが売れてしまったという。ロシア・アヴァンギャルドについての本を探しにでかけたスイスでのエピソード、さりげない瀧口修造の力添えなど、読みながらわくわくする話が続く。

 けれどそれは、「アール・ヴィヴァン」は今はもうないという郷愁がなせるわざなのではないか、とも思う。本書にはリブロをとりまく多くの人へのインタビューが組み込まれている。これが実に面白い。だが全体を通して、「池袋リブロ」の快進撃を振り返りつつもその「リブロ」はもはや過去のものなのだ、という寂しさが流れている。「池袋リブロ」だけではない。書店業界やそれに支えられている「本の文化」全体が滅びていく、という予感がひしひしと伝わってくる。これは著者の持つ危機感であろう。
 自分が生まれてもいない時代の「懐メロ」番組を見て「懐かしい…」と呟くように、私もまた『書店風雲録』を読んで「あの頃は良かった…」なんて感想を抱きそうになってしまう。そのままノスタルジーに浸っていたい、などと思う。

 読後、「本」のこれからについて、一抹の不安を感じた。たった、一抹である。一抹さえ感じない人もいるだろう。痛快な話の合間に、再販制度や消費税、万引きについての話も漏らさず言及されている。ときおり読者に向かって真正面から発せられる、「応援してあげてください」という著者のつぶやきは、重い。

 あとがきにもあるように、著者はそういった絶望的な状況に対してなお、「書店魂」の健在を願っている。実際には自由に「今泉棚」を作ることができなくても(経営方針だけでなく、本人の資質も要求される)、「書店の仕事って結構面白い」と思った書店員は現代を体現し未来へと続く「本屋さん」を営んでいってもらいたい。そして新しい書店の行く末に光がさしてきた頃、私は安心してこの本を開き、思う存分(他人の)ノスタルジーに浸るだろう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

車谷長吉みたいな書店員がいたら、お店の人も厭だろうけれど、お客も厭だよなあって思う。ま、団塊の世代の同窓会ってやつかな

2004/02/20 21:21

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

本の雑誌社のものにしては珍しく想定が山田英春。カバー画は記載されていないので、多分、山田が描いたのだろう。

田口久美子は、1973年東京八重洲口のキディランドで書店員としてのキャリアをスタートし、76年に西武百貨店書籍販売部門(のちのリブロ)入社、船橋、渋谷各店を経て池袋店長、現在はジュンク堂池袋本店の副店長で、この本は「WEB本の雑誌」に連載されたものをまとめたものだという。

田口が現在勤務する池袋のジュンク堂は、明治通りを挟んで彼女が元店長を勤めたリブロの前に存在する日本一の規模の書店だそうである。リブロに言ったことはあるが、ジュンク堂にはまだ入ったことがないので、そこの雰囲気はわからない。ただ、田口があげる書店には殆ど出入りしたし、多分、彼女の経歴にある船橋店では、時代的に僕が千葉に引っ越した時期と重なるので、きっとどこかで遭遇している。勿論、八重洲のキディランドもそうである。

で、この本はまさにタイトルが表すように、1970年代から現在に至る、書店の栄枯盛衰を語るもので、同時代に本を買いあさっていた人間には、あ、あの店が、あの人が、出版社が、イベントがと思い出尽きないものであるだけでなく、彼女が勤務したリブロとは一体どんな書店だったのか、それに対して紀伊国屋、三省堂、芳林堂がどのような個性をもっていたのか。或は書店の実際、その姿勢の変遷、それに伴う出版社の意識の変化、或は一時期の書店を巻き込んだ組合闘争の結末、取次ぎのありかたなど、一応、本好きであれば知っておきたい情報(ま、役には立たないが)が満載である。ついこの間まで、なんで書店のレジはあんなに偉そうにしていたのか、といったあたりも、田口の友人たちの言葉を通じて明らかにされていく。

でもやっぱり面白いのは、田口が語るリブロを作り上げた人たちだろう。繰り返し出てくる、イベントの仕掛け人である今泉、ヤクザのような中村、部下を騙してまで自分のやり方を押し通そうとする社長の小川、彼らを支える西武百貨店社長堤清二、自分の本が置いていない、と因縁をつけてくる社員で直木賞作家でもある車谷長吉、その車谷を激怒させた?同じく社員で芥川賞作家の保坂和志。

で、意外と田口って古いなあって思うのが、再販制に対する姿勢。いや、正直言えば、この本を読んでいて思うのは、本当に斬新なアイデアを実現し、或いは失敗したのは今泉や小川をはじめとする男たちであって、田口はその目撃者に過ぎなかったのではないかという疑問である。勿論、それだけの人間が店長を勤めることが出来るとは思わないが、少なくとも再販制に対する姿勢に関して言えば、日本の出版文化が将来にわたってどうあるべきかという視点が全く見えてこない。

そういう意味で言えば、この本に欠けているのはユーモア(車谷長吉の部分は、車谷自身の凄さに負うところが大きいと思う)。どうも田口が自分で全共闘世代と名乗るように、その枠を超え切れてはいない気がしてならない。いつまでも1960年代の哲学趣味を引き擦って、あたかもそれが何様であるかのような発言が続くあたり、明らかに世代差を感じてしまう。特に、今泉、田口と言う同世代の人間が上げる書名や、本は読まれなくても売れればいいという彼らの発言を聞くと、もうあんたらの時代じゃないだろう、って言いたくなる。

書店の世界って意外とヤクザなんだな、という発見もあった、全共闘世代なら涙を流して読むような本なんだろうなあ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

リブロに思い入れはないけれども

2004/11/27 10:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る

 西武百貨店系の書店として誕生した書店「リブロ」の二十有余年にわたる歴史を綴った書です。書店の外にいたジャーナリストが取材したのではなく、その書店の中に身を置いていた社員自身が当時の仲間を訪ね歩いて記憶を掘り起こしながら綴っているので、現場の内側が見えて興味が尽きませんでした。

 実のところ私にとってリブロという書店はどうにもこうにも敷居が高かった記憶ばかりがあります。東京のような「マイノリティの絶対数が多い街」でなければおよそ成立しないようなスノッブな、いえ失礼、品格の高い品揃えの書店に、足を向ける機会はそれほどなかったのです。本書の中でも「売れる本」より「売りたい本」を置くべきだと語る当時の書店員の証言が出てきて、ちょっと鼻白みます。まさにリブロは、一般大衆向けの書店というよりは、一部の「知的水準の高い読者」と「知的水準の高い書店員」とが切り結ぶ場所というイメージが強かったのです。必定、私のような大衆的読者はきっとはじかれてしまうのではないかという恐懼の念を抱いていました。
 
 ですが本書には、こんな風にあの書店に対する思い入れがない私のような読者にとっても、興味をひく点が確かにあります。本書は消費税導入が書店業界にどういう影響を与えたのか、また日本独自の再販制度をめぐって流通業界や公取委がどういう鞘当てを演じていたのかなど、ひとりリブロに限らず、広く書籍の出版・流通をめぐる日本の動向について触れています。

 また80〜90年代に広く売れた書籍のタイトルが次々と登場してくるので、私にとって必ずしも読んだことがある本ばかりとはいきませんが、東京へ出てきたばかりの私にとって青い時代のあの懐かしいニオイを味わうことが出来たのも事実です。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

田口さん、続編を上梓して現在只今の書店風景を語って欲しい。

2003/12/20 03:28

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

1975年、池袋の西武百貨店内にリブロが誕生した。渋谷にパルコがオープンしたのは1973年である。堤清二、増田通二のパルコ戦略を単なる一企業の経営戦略としてでなく、都市作り、街作りまで越境した広告戦略の光と影を分析した北田暁大の『広告都市・東京』(広済堂)と通底するものがある。同じ時代風景を見据えている。勿論、著者は当事者として堤清二の夢の中に登場する一員であったかもしれないが、男たちと違ってズレた文脈の中で当事者でありながら、黙示の批評の矢を放っていると読解したのは穿ち過ぎか、この辺りの判断は続刊が刊行されるまで、判断保留しよう。

初出のWEB雑誌でロムした『池袋風雲録』と殆ど違いはないのであるが、ネット上でロムした人にも恐る恐るオススメする。思い切ってオススメ出来ないのは折角、単行本化したのであるから、本書で紹介された本の数々を巻末に索引として収載するか、発行年代別に目録を掲載するか、ネットと違う編集上の工夫をして欲しかった。まさに、バブルとして消え去った二十年の時空を記憶する目録として価値あるものと想像するからです。その減点が★を一つ消したので版元に対する小言です。

東浩紀の『動物化するポストモダン』(講談社)から引用して著者は書き起こす。ー(ポストモダニズムの思想は(略)八十年代の半ば、若い世代の流行思想としてむしろ大学の外でもてはやされ、そして時代とともに忘れ去られた。日本のポストモダニズムは、流行思想としては「ニューアカデミズム」と呼ばれることが多い)という記述があり、私の目は釘づけになった。まさしく「そこにリブロはいた」のだ。そう、リブロは時代の風潮とぴったりと併走したことで、「ある読者層」の記憶にとどまることになったのだ。ー
かような二十年を総括する本書は一書店の業界ネタ話に留まらず、著者自身も当事者であるけれど、フィードワークを重ねた見事な街場の都市文化論にもなっている。勿論、出版流通に関する提言も傾聴に値するが、そんなことに興味のない読者にとっても、長年仕込んだ有名、無名の人々の面白い挿話は結構、楽しめる。

著者の田口久美子はリブロ池袋店長であったが、現在、ジュンク堂の副店長である。三十年を越えるキャリアを持つ全共闘世代の池袋名物オバサンに間違いないが、知的ミーハーとして自分を相対化しながら、結構、クールな目で記述する。堤清二が社長に据えた典型的な戦後左翼知識人たる小川道明の文化戦略に乗った経営、現場で実際に独創的な棚作りに工夫を凝らして、街場のポストモダンのシーンを演出した「今泉棚」の今泉正光、著者自身など、登場人物は、やっぱし、索引が欲しくなる程、エピソードを携えて多数、登場する。勿論、池袋リブロだけでなく渋谷パルコをも射程に置いた本屋の店頭から見た現代思想のクロニクルとして読解しても面白い資料として価値がある。芥川賞作家保坂和志も八十年代を西武カルチャーセンターの一員として文化戦略の圏内にいたし、評論家永江朗も洋書を売っていた。直木賞作家車谷長吉もセゾングループの一員であった。堤清二すら、詩人、小説家として別の生を引きずっていたのだから、セゾン文化として都市文化を俯瞰することも可能なほど、映画、美術シーンにも知的ファッションとして、セゾン的なものが特化していたのは間違いない。でも、主役達は舞台から退いた。

堤清二が構築したものは単なる虚であったのか、しかし、登場人物たちはリアリティある生を遊び抜いたのであろう。そのことに関しては羨ましいと思い、著者を始め、現在進行中で本を売る楽しみから離れることの出来ない現場の人達にエールを贈りたい。1996年、小川は永眠した。葬儀の時、今泉は「小川社長にとって堤さんはほとんど趣味みたいなものだったからな」と言ったらしい。本当に堤清二は罪な人だ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2006/12/06 00:42

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/08/15 21:52

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/03/13 01:41

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/11/07 17:19

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/01/16 12:55

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/02/13 23:19

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2018/04/06 21:40

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2019/11/23 12:29

投稿元:ブクログ

レビューを見る

12 件中 1 件~ 12 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。