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新・地底旅行 みんなのレビュー

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みんなのレビュー6件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (2件)
  • 星 3 (2件)
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6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

最近は感涙を呼ぶ小説はおおいが、健全な笑える小説は思いのほか少ない。たまには大笑いしよう。

2004/02/22 19:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

小学生の頃、少年雑誌に連載されていた日本版ターザンの山川惣冶『少年王者』に夢中になったが、そのころ産経新聞(だったと思う)に同じ作者の『少年ケニア』も連載されていてこちらも記憶に残っている。むしろ『少年ケニア』は『少年王者』よりも低年齢向きであって、主人公が地底世界で恐竜(ティラノザウルス)と闘う怖い場面があった分、少年たちの間では人気が高かった。コナン・ドイルにも『失われた世界』があって、これは「地底」ではなく人跡未踏の高度をもった「台地」であるが、やはり恐竜が登場する。 ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』を読んだときも記憶に残っているのは恐竜に襲撃される場面である。さてヴェルヌ「地底旅行」の後日談は?
あのなつかしい夢と冒険の物語の続編を銘打つこの作品の時代は明治末期だ。「地球は丸い」ことは近所の石屋の洟垂れ小僧だって知っている。その証拠はと聞けば地球は地の球であってだから丸いと答える。しかし「私」の親父のようにそれならなんで人は地面からこぼれ落ちないのかと地球が丸いことと鉄船が水に浮かぶの死ぬまで信じられない頑固者もまだまだ多い。冒頭のこの語り口からも漱石作法をなぞった伝統的ユーモア精神のあふれる文芸作品であります。
本邦を代表する頭脳・稲峰理学博士とその美しい令嬢が地底旅行を記録したリンデンブルグ博士の旅行記と江戸時代の古文書「富士人穴胎内記」に導かれ、富士山麓の洞穴に失踪した。一方信玄公の財宝が埋蔵されているとの伝承があるその地にひかれる俗物は多い。
ふたりを追い地球の中心へとむかう四人。「私」挿絵画家・野々宮とこの地底探検を持ち込んだ資産家の息子・丙三郎は近代的知識人をおおいに気取っているのだがまぁ俗物中の俗物といったところでかく言う読者である私のようなただ生きているだけの大衆の代表だ。思索に没頭する時には飯に汁をかけ、納豆、干物、漬物を放り込み吸い込みながらでも帳面からは目を離さない奇人、これが帝大物理学教授・鶏月。
この登場人物たちの魅力ある個性に加え、出色の人物が令嬢を慕う稲峰家の女中・サトだ。何も知らない田舎モノにみえるが、ここぞというときのサバイバル、生活の知恵者で、腕力はもとより、したたかさ、しぶとさといったら科学的精神などどこ吹く風と、飄々として三人の男どもを圧倒する、そのおかしさはたまらない。
暗黒の洞穴、地底の激流、中心の高天原に広がる海、財宝目当ての悪党軍人の襲撃、おまちかねのティラノザウルスの猛攻、雷の嵐、有尾人との遭遇、そして海に開花する巨大ハスと龍の栖の中心にある宇宙オルガン。ラストはヴェルヌと同様の方法による帰還までファンタスティックな世界を見せてくれる。ただし、奥泉の『『我輩は猫である』殺人事件』、『鳥類学者のファンタジア』に続く同一モチーフの三部作としたこのストーリー展開は智にはたらいてやや角が立つのが難点といえば難点。
『新・地底旅行』はSFあるいは冒険小説ではなくユーモア小説である。そしてこのユーモア小説は登場人物たちの会話の面白さが真髄である。ここをじっくり味わおう。もちろん、稲峰親娘との出会いがあって、鶏月に輪をかけた奇人変人の大博士、あの『鳥類学者のファンタジア』に登場する女性主人公に似たおてんばの令嬢が加われば抱腹絶倒は頂点に達する。
『鳥類学者のファンタジア』は女性を中心とする冗舌であったのだが、この作品では野々宮と丙三郎のボケとツッコミの漫才風が大半を占める。ヤジキタ道中ではないが男同士の方がばかばかしい、滑稽なありようをかいまみせるが現実だと体験的に思うのだが、奥泉の作品ではなぜか女性のふるまいに爆笑する仕掛けがあるから、その意味で、『ファンタジア』のほうが笑えた。いずれにしろ、感涙を誘う小説が多い最近だけに健康な笑いを喚起するこうした作品はまた読む価値があると思うのです。

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紙の本

地底旅行ってのに弱いんだな、わたしは。で、この本でも一番生き生きとしているのが稲峰家の女中のサトというのが、嬉しいね

2004/06/12 21:39

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

全二〇章、あとがきも含めれば500頁弱という、この手の冒険ものとしてはかなり大部のもの。朝日新聞の朝刊に2002年から2003年にわたって連載されたというものだが、反朝日を旗印とする我が家では、奥泉がこんな小説を書いているとは思いもよらなかったので、書店でこの本を見つけたときは、意外性に狂喜乱舞しあまりの狂態に書店員から、踊り踊るならちょいと東京で、とつまみ出される始末。

なぜか?実は秘境ものが好きなのである。私の読書体験のかなり中心にあるのが、ドイル『失われた世界』である。ゴジラのような怪獣が歩き回る世界、それだけでウハウハしてしまう。それが、ここではさらに地底である。私の大好きな映画の一つがヴェルヌ原作の『地底探検』、それから東宝の『海底軍艦』。小説なら横溝正史『八つ墓村』に久生十蘭『地底獣国』。いやあ、猫に鰹節、子どもにポテチ、みーちゃんに地底怪獣である。G・馬場に16文キックを喰らったようなもので、完全に降参なのだ。

で、この本、一目唸らせる装丁は菊地信義、そういえばこの間読んだばかりの沢木耕太郎『杯』も朝日新聞社の出版で、装丁も同じく菊地信義。朝日好みのデザイナーかもしれないが、出来としては今回のほうが圧倒的に上。で、その遠目には牛さんの模様かと思えるカバーに彩りを添える装画の担当は、ささめゆき。あれ、この人、どこかで見たような、そう思わせる懐かしさを抱かせる画風。

時代は明治、語り手は私。護国寺の下宿でうとうとしていた私をこの冒険に引きずり込んだ食わせ物というのが富永丙三郎、二人で東京英語大学を仲良く退校したという仲間だが、私は貧しさゆえ、丙三郎のほうは英語から見切りをつけられたというのが真相。その後、彼は早稲田を卒業というのだから、明治時代から大学なんてなぁいい加減なもの。でも、とりあえずは文筆業で食っているという。

彼が持ちかけてきたのは、富士山の青木が原の樹海にあるという洞窟を下ろうというもの。理学の分野では本邦を代表するといわれる稲峰博士の富士登山中の失踪、博士の令嬢、都美子も一緒に姿を消し、巷ではずいぶん騒がれた。それを都美子に想いを寄せる水島鶏月、東大で物理学を講じる教授の水島寒月の弟とともに探そうというのだが、どうしてどうして丙三郎、胸のうちに隠した狙いもある。そして、三人に同行を申し出たのが、稲峰家の女中で、博士たちを探し出したいと情熱に燃えるサトである。

その珍道中ぶりは、まさに奥泉の『坊ちゃん忍者幕末見聞録』を彷彿とさせる。ともかく、男がだらしない。その筆頭に上げられるのは、やはり丙三郎である。口先男とは、彼のためにあるといっていい。品性下劣、他人を思いやるどころか、状況を見る力すらないというところは、現在の官僚を髣髴とさせる。

ま、それに巻き込まれて、好きでもない旅に嫌々出かける主人公も、優柔不断、無知蒙昧、問題先送、付和雷同といった現在の政治家そのもの。水島鶏月の、学問以外は何も無いと言った視野狭窄、専門馬鹿、傍若無人ぶりは象牙の塔に篭って世の中を見る力を失った学者先生の典型である。

それに比べて、女性陣の素晴らしいこと。といっても、お嬢様都美子は殆ど出番が無いので、要するにサトだけが凄いということになるのだけれど、実は、サトこそ日本女性そのものといってもいいくらいの存在で、まさに我が家におけるミーちゃんそのものである、我田引水。え、これで終わっちゃうの?というのはこの本も書評も同じことで、やっぱり面白いものは我を忘れさせるのですよ、小林くん。

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2011/03/29 21:49

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2014/06/17 12:16

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2011/06/19 21:39

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2024/05/20 14:14

投稿元:ブクログ

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