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高校の教科書を見て、「歴史は何の役に立つのだろう」と思った人向けの本。
歴史学は過去の真実(史実)を明らかにする学問である。
そして、史実という事物の根源を知ることで、その問題に定義づけをすることができる。
物事を考える際には先ず問題を意識する必要があるが、その問題の定義づけをするのに歴史は非常に役立つのである。
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本書は「素人のための歴史学入門講座」(「内容紹介」より)と銘打っているように、歴史を専門的に学んだことのない人々-特に、歴史は“暗記”であり、社会の役に立たない“虚学”だと思っている人々に向けた一冊である。
筆者が強調するのは、歴史学における“プロセス”の重要性である。それは、歴史家に必要な資質を「疑い、ためらい、行ったり来たりすること」(p.151)だと規定していることからも分かるだろう。つまり、教科書の記述(解釈)を暗記することが重要なのではなく、むしろ、その解釈を疑い、史料を通じて「より正しい解釈」を導き出す営みこそが、歴史学の本髄であると指摘する。さらに言えば、与えられた前提を疑い、使えるデータを批判的に解釈し、他の人々とのコミュニケーションを通じて、新しい解釈を打ち出すという作業は、歴史学に限らず、社会一般に役立つスキルであるとも言えよう。
その他にも、本書では様々な視点から歴史学という学問を分析していく。入門書という位置づけ故に、その記述の一部には、楽観的過ぎたり、簡略化し過ぎたりする部分がないわけではない。しかし、分かりやすさという点も含めて、これから歴史を学ぼうとする人(あるいは、歴史が嫌いになってしまった人)が最初に手にするべき一冊としてオススメしたい。
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講義の参考図書で、最終レポートを書くのに読んだ。歴史を学ぶのって義務的だなと思ってたところがあったけど、ちょっと意識が変わったかも。またちゃんと歴史学ぼうと思った。
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他の新書に比べると平易な言葉と
口語表現によって論理展開がなされる本書は
とても理解しやすいものであった。
歴史学ってなんだ?
というタイトルからもあるように
歴史学の入門書として良書を探していた著者が
無いなら自分で書こうと至った作品
歴史学の入門書ということもあり
歴史学者が研究を行うプロセスを
より具体的に説明しようという姿勢が見て取れた。
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何回か読み直しましたが、その都度考える機会をあたえてくれる是非ともお勧めしたい書籍です。あまりしないことですが、知人に何冊かお配りしました。
かつて、大塚久雄、丸山眞男、内田義彦などが文化系大学入学者の登竜門でした。色々な著作を読み、ゼミなどで自分の専門分野を深めていくいくにつれて、これらの書かれた啓蒙書の意味などがわかってきたように思われます。本書はいきなり理解できます。
本書は、タイトルのように歴史学とはいったいどういうものであるのか、あらねばならないのかを解説しています。だが、深いですね。社会、人文科学というものは科学たりえるのかという考察をしています。言葉の定義づけもしっかりされていて、齟齬,破綻もみうけられません。
歴史学の仕事の重要な要素として認識と解釈をあげらています。とっかかりとして、小説と歴史書の違いから始まります。それにまつわる具体的な話と抽象的な話をうまく関連づけされていて非常にわかりやすく書かれています。
歴史を学びたいが、小説ではと思っている方、学術書では大変だなと思っている方は、本書をお読みになって自分の学ぶ道筋をつけるのには絶好だと思います。
構造主義やポストモダンをわかりやす説明されていているので不勉強な私にとっては大変助けになりました。
「大きな物語は終わった」ということを知りたかった私は、とても収穫がありました。
従軍慰安婦問題を通して坂本多加雄、吉見義明、上野千鶴子の論争の話がでてきますが、学問のありかた、論争の意味など内容もりだくさんです。
一つの問題を考えると、また新たな問題がでてきますね。それをどのように処理していくのか、又、問題はどのような姿勢で考えていくべきなのかという重要なヒントがいっぱい詰まっている新書ですね。
蛇足ですが、出版社は、このような啓蒙書を新書としてだして欲しいものですね。それが、自分達の生き残りにつながると思うのですが。
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歴史学は「社会の役に立つか」という問に対しては、割合さっくり「役に立つ」と言いきっているので、へぇ、と思い、ふと自分の専門を振り返ったりもしたが、「社会の役に立とうとするべきか否か」とは別問題だというのに、いろいろ感じるところがあった。
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歴史学入門兼ブックガイドでありつつ、史実を知ることは可能か、歴史学は社会の役に立つのか、という二つの問題を巡る論考でもあり。パラダイム論を用いた前者の議論はやや物足りない面もあるが、あとは自分で考えろ、ということか。
紹介されている本の中では『現代史を学ぶ』、『青きドナウの乱痴気』が気になる。
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高校(中学)時代、歴史の授業は好きだった。歴史学、歴史を科学するとは?
問題
1歴史学は歴史上の事実である「史実」にアクセスできるか。
2歴史を知ることは役に立つか、どんな時、どんな形で。
3そもそも歴史学とは何か。
27
歴史の資料を史実ととらえるか、作り話ととらえるかは作者(小説家、著者)の考え方次第、自分の信ずる通りの方法で良いだろう。史実を証明できるほど、人生は長くないだろう。
40
歴史学での定義、過去に本当にあった史実を明らかにすることを「認識」、認識した史実に意味を与え、連想させイメージを描く「解釈」
99
歴史学の対象は1つしかない「事実」ではなく各各の「現実」
170
既存の歴史学は「文書資料中心主義」「口承の歴史および口述証言」は用いない。
183
”自分の身近にあり,真偽を問わずとも役に立ちそうな過去は、「記憶」と呼ぶことができます”歴史は記憶である。
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名著級です。歴史を「学問」とするものは何か? 歴史学と歴史小説とはどこが違うのか? 歴史学は社会に何を貢献できるのか? そういう素朴にして巨大な疑問に正面から立ち向かった本。
そもそも「歴史学は史実を明らかに出来るか」という疑問がある。現在から過去を推し量ることはどこまで可能か? 本当に正しいことにたどり着けるのか? 本著は構造主義のインパクトも織り込んだ新しい解釈で、この疑問に立ち向かっている。
さらに、「歴史がなんの役に立つのか?」という疑問についても真摯に追究している。「従軍慰安婦論争」を例に取り、「新自由主義史観」の主張なども交えて、「役に立つってどういうことなのか」という課題にじょじょに迫る手際は、木訥とした味わいながら、非常に納得できるものだった。
歴史を学ぶ、ということは、実は非常に現代的な課題をクリアにしない限りできない営みである。「自虐的な歴史ばかり教えるな、日本人として誇りを持てる歴史こそが必要なんだ」という立場もあるだろう。「当事者の数だけ真実があるのだ」という立場もあるだろう。その中で、自分はどんな「歴史」を語れるのか。どうすれば、自分なりの問題を設定でき、自分なりの結論にたどりつけるのか。「歴史学」を学ぼうとする者は、常に揺れ動き、ひんぱんにつまずくのだ。この本は、初学者にとっての頼れる足場を提供してくれるだけでなく、歴史学に迷いさすらうときの灯台としても、必ず役に立ってくれることだろう。
壮大な課題に対して、きちんと考えるための枠組みを与えてくれるばかりか、希望を与えてくれる本は初めて。しかもわずか、200ページの新書でそれを達成しているところがすごい。歴史学の読書ガイドとしても素晴らしいので、すべての人におすすめ……としたいところだけど、せめて大学で歴史を学ぶ人は絶対必読。
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今月の1冊目。今年の88冊目。
歴史学の入門書。分かりやすかったし、文体もかたい感じではないので、歴史を学ぶことについて、その意味を考えたり、疑問を持ったりしている人は、読んでみた方がいいと思います。
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しゃべり口調で書かれているから、読みやすかったけど、内容は少し抽象的なことも多くて、とっつきにくい。
でも、歴史学に関して書いてある本を一度読みたかったから、所々なるほど!という文に出会えたかな。
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これはなかなかに興味深かった。学問としての歴史学を歴史小説から区別し、では如何に違うのかを紐解いていく。○○年に何があった、って授業で習うけど、果たしてそれは事実なのか、っていう疑問立てから学問が始まる。そこに至るまでに色々検証された結果が、現在一般に理解されている史実だろうから、それが簡単にひっくり返ることはまああまりないだろうけど、それを細かく調べて検証し直すっていう部分に向く興味は、歴史好きの自分にも理解できるものでした。
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歴史学が役に立つらしい、と理解できたものの、文体のせいなのか読みづらい。又、結局「歴史はどうして学ぶ必要があるのか」という問いかけに答えてないのでは…?
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「歴史学で本当に史実を明らかにできるのか?」「歴史学は本当に役に立つのか?」という、「なぜ歴史学を学ぶのか」を考えるにあたって出てくる疑問についてガッツリ書いてくださっている本。
また、歴史教科書に対する批判もあり、「おおこの人もか!」と思ってしまった。ただ、小田中氏の場合は、倉山氏とはちょっと違って、教科書と言うよりも、教科書にそういう書かせ方をするシステムが問題と言う言い方をされていて、私もむしろこっちが問題だろうなと思いました。
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再読です。授業を始めるにあたって、まさに「歴史学ってなんだ?」という確認がしたかったので、本棚から引っ張り出して来ました。著者は世界史が専門。いくつか具体例をあげながら、歴史を学び、伝えていく意義を模索します。答えは、①真実はわからないが、各自が真実だと思うことを持ち寄って、その納得点を見いだすこと ②①を踏まえて、個人の日常生活に役立つ知識を提供すること
だと言います。
再読なので飛ばし読みですが、そのままは使わずに、頭のなかでまとめ直して授業に臨みたいと思います。