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売れない作家綿貫君の奇妙な日常in百年一昔。
身の回りのざわざわに、命を吹き込むとこんな風になってしまうのでしょう。梨木香歩は前から好きですが買ってみてよかった、と思わせる本。
家主?の高堂がヨイ。
「村田エフェンディ滞土録」の村田くんもご同窓だそうで、ひょっこり文中に名前が登場します。こういうのってちょっと嬉しい。
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文筆家の綿貫征四郎氏が「戸の開け閉てなどの面倒を見てほしい」と頼まれたのは、今は亡き親友の実家。独りの侘び住まいの筈が、件の親友や化け狸、河童や恋するサルスベリなど、淡々と、けれど当然のように訪ねてくるという、ちょっと不思議な物語。章題(モチーフ)が木槿に葛に南蛮ギセル、ヒツジグサにダァリヤなどなど、奥ゆかしく美しいのです。
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綺麗な話。ゆったりと流れる時間に、ゆったりと重なる世界。誰もが否定しなければ、異世界だって綺麗に存在できるのだな。
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大好き。こういった不思議なものたちっていなくなってしまったように思うけれど、きっとまだ近くにいると思う。私たちが忘れてしまっただけで。
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10/21購入。図書館で借りて読んだんだけど、気に入って手元に置いときたかったので、古本ネットで購入。
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世界観が素敵だし、一節一節が短いのでバスや電車の待ち時間にさらっとひとつ読めてしまうのです。
いんだけれども、その中に一つ一つ不思議が詰まっておりまして!
一気に読んでもいいし、じっくりちょっとずつ味わって読むのもよし、という感じです。
ああ、こういう物語を作れるのっていいなあ……。
とてもとても素敵で不思議な一冊でした。
手元においておいて、季節ごとに味わいたい。
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不思議な出来事を描いているのに、全然不思議じゃない。
普通の生活の中に少しこんなことがあってもいいんじゃないかしらん、
と思えてしまう。
のんびりできる一冊です。
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特に先を急いで読みたいと思ったり、先が気になって急かされたりする類の小説ではない。
なんだか何かが温かく落ち着いており、穏やかな話であった。
文体は何か少し昔の言葉のようで、それがまた話のないようにしっくり来る。
物の怪、というような者たちが出てくるのだが、それが全く驚きなく、何か日常が続いているような穏やかな文体であり話であった。
というのも、この主人公が、「桜鬼なんぞに律儀に挨拶されるような境涯にあって、超然としている」様な人物であるからであり、また、その隣に住む奥さんや後輩の山内君、和尚さんが彼らに付いて非常に良く知っており、また普通であることがその要因であるのだ。
彼らが優しく、何かおかしく、また可愛い、穏やかで平穏な生活を送っていることが、何か読者に心落ち着く快さを与えるのだろう。
物語は1つ4.5ページで構成されており、一つ一つに木々の題名が付けられている。
それぞれに魅力的な木々(彼らは時々感情を表したり、人間のような格好で出てくる。)や、鬼やタヌキが出てきて、優しい日常を紡ぐ。
主人公の作家(貧乏) 綿貫征四郎は、死んだ親友高堂の家に家守として住み始め、そこで物の怪の揉め事の仲介が上手い犬ゴローと暮らし、サルスベリに恋されたり、親友の高堂が時折掛け軸の中から現れるのを驚きも少なく受け止めながら暮らしていく。
その、カッパが庭にやってきたり、鬼とであったり、タヌキに化かされたりというエピソードが穏やかに淡々と流れる日常に組み込まれていると言う物語。
こんなところ(山があったり、川があったり、自然が一杯)にすみたいな、作家になりたいな、と、改めて思った。
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売れない作家?綿貫君の奇妙な日常in百年一昔前。身の回りのざわざわに、命を吹き込むとこんな風な世界になってしまうのでしょう。梨木香歩は以前から好きな作家ですが買ってよかったと思わせる本。そして日本人で良かったな、とも思う。家主?の高堂がヨイ。「村田エフェンディ滞在土録」の村田君とはご同窓だそうで、ひょっこり文中にお名前が登場します。こういうのってちょっと嬉しい。
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明治、大正あたりの話だろうか。
貧乏書生の綿貫が亡くなった友人の家を守ることとなり、そこでの生活の中で起きる不思議な出来事。
掛け軸の中から亡くなった友人が会いに来たり、庭のサルスベリに惚れられたり、タヌキに化かされたりと、こうして文字にすると荒唐無稽の話なのだが、作者のここちよい文体と細やかな情景描写が向こうの世界との距離をぐっと縮めてくれる。リアルに感じる。そしてついついその余韻に浸ってしまう。
植物の名前が題名となっているひとつひとつの物語は、だいたい5ページから7ページなので、気軽に入り込めるのもうれしい。
植物や動物との関係で四季を感じ、
自然が身近だったぎりぎりの時代。
この感覚を忘れちゃいけないんじゃないかなと読んでいて思った。
まだ私が小さかった頃、古いウチの磨りガラスの向こうに白い蛇が見えた。おばあちゃんは白蛇は神さまだからそっとしておこうと言う。怖かったけど、ちらっといることだけを確認して、みて見ないふりをした。寝ていると家鳴りがしたり、風邪をひいて寝込んだ時に天井の木目が鬼の形相に見えて怖かったこと、庭におばあちゃんが小さい頃に植えたという大きなトチの木をがあったことなどを思いだした。
ちょっと抜けてる主人公、そんな主人公を見守りつつ辛口でアドバイスをしにくる友人、ある意味ヒーロー的な飼い犬ゴロー、いろんなことに精通したお隣の奥様。登場人物もなかなか心憎い設定ですばらしいです。
漠然とラストを想像しながら読んでいたのですが、いい意味で裏切られる最終話もすてき。
そして、ヨーロッパに日本、児童書から怪談話に留学エッセイと、1冊1冊雰囲気を変えられる作者の技量はすごい。
今度はなんだろうとどきどきする。
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ついこのあいだ、ほんの百年すこしまえの物語。だそうである。
不可思議な世界に迷いこんだような心地になるが 人間界とその他の生き物の世界、あちらとこちら。そこには明確な隔たりなどないのではないかと思わされる。気にしないから気づかない。気づかないから目に映らないだけで 日常のそこここに あちらへとつながる道の入り口が開いているのではないか。気味が悪いと言い捨ててしまえばそれきりだが 自然界の一員として こんな毎日に抗わずに暮らすのも悪くはないのではないかと思ってみる。
川上弘美さんの不思議世界に通じるものがある。
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四季の移ろいに伴う木々・草花の変化。亡友がボートで現れ、河童・小鬼等々の触れ合い。やっぱり日本っていいな。大人の童話。
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失踪した友人の実家を”家守”する事になった主人公が書いた文章としてこの『家守綺譚』は語られている。失踪した友人が掛け軸から現れたり、サルスベリに懸想されたり。カラスウリが部屋の中に生えてしまう”カラスウリ”という章では夢の中で主人公が家守、つまりヤモリになってしまう。だんだんとこの家に住んでいるうちにそのような不思議な出来事が当たり前のようになっていき、物語は謎の失踪を遂げた友人の真意に気づき、終わる。薄くて読みやすいが、何度読んでもさわやかな読感が残る一作だと思う。
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味わい深い良い作品である。時は明治中期(おそらく20年代)。失踪した友人の家に留守居役(家守)として住み込んだ売れない文士である主人公の身の回りにおこる28編の怪異譚。現世と異世界が自然に共存する様が歳時記の趣で淡々と綴られる。移ろいゆく季節、情景に思いをいたしながらじっくりと読みたい。
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すごく好きな話だった。庭・池・電灯付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友。もうこの言葉の雰囲気だけでやられる感じ。
短編なので、一日1編、じっくり読んだ。
☆☆☆☆+