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P7 メディアリテラシーに必要なものは、産業構造論的な視点、ジャーナリズム論的な視点、社会心理学・人間行動学的な視点、政治学的な視点だ。具体的には、次の4つの視点でメディア・リテラシーが構成されている。
? メディア業界の特徴と産業構造を知る。新聞やテレビはどのように成立し発展してきたのか、オーナーは誰であるか、メディア間でどのような関係があるのか、規制はどうなっているのか、などだ。
? メディア・コンテントの制作過程を知る。誰が、どのようにしてコンテントを作り出しているのかを知ることで、パターンが理解できる。
? メディア・コンテントに入り込む偏向の要因と情報操作について知る。「客観的」だと思われているニュースに入り込む主観、歪み、操作の実態を把握することによって、ニュースの判断と有効利用ができるようになる。
? メディア・コンテントがもたらす影響、効果について知る。これがメディア・リテラシーにとりもっとも重要なことだ。意識や価値観、それに態度や行動など人間個人への影響から、社会の動向や国際政治などへのメディアの影響について理解する。
P178 メディアの影響を全く受けない人など、この世に存在しない。メディアの影響というものは、人々が信じているほど単純でもなければ、狭い範囲に限定されたものでもない。影響が出てくるメカニズムは非常に複雑だ。
P180 メディアは天気に似ている。いつもそこにある。情報通信技術が社会基盤でもある現代文明社会では、目覚めてから寝るまで、そしてどこへ行こうとメディアからのメッセージがあふれており、環境そのものがメディアになっている。(中略)しかし、天気とメディアの影響には大きな違いがある。天気の影響は目に見える。(中略)メディアの影響はぼんやりしていては見過ごしてしまう。そもそも、メディアの影響について知らない人のほうが多い。
メディアのコンテントを自分の好きなように制御することは不可能だが、メディアの影響を予測し、影響を制御することは可能だ。これこそメディア・リテラシーの真骨頂である。
P198 ニュース報道は社会的な重要性を設定するだけではなく、問題の特質についての判断や解釈に影響を与えることもあることがわかってきた。これを、二次レベル・アジェンダ・セッティングという。1次レベルは「何が」という次元であるのに対し、2次レベルでは「どのように」という一段階進んだ効果だ。
P199 メディアの報道によって重要な問題を認識するのであれば、報道がされなくなったトピックはアジェンダではなくなり、(実態はともかく)人々はそのトピックが重要であるとは考えなくなる。(中略)非主流的な意見は、加速がついて沈黙へと向かう。この現象が繰り返し起こる効果を「沈黙の螺旋」という。
P202 アジェンダ・セッティングとともに多くのメディア学者によって検証されてきたメディア効果が培養効果(カルティベーション)だ。(中略)人間は現実社会でおきている現象を観察して一般化・普遍化している。一般化・普遍化というのは、あることが何度か起きたときに観察し、それぞれを結びつける共通したパターン��認識し、ほかのことにあてはめていく過程だ。この一般化・普遍化がテレビ視聴によるテレビの疑似世界の観察によっても起きている。→暴力社会・社会化・美意識や体型・物質主義・外国イメージ