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隠し剣孤影抄 新装版 みんなのレビュー

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みんなのレビュー82件

みんなの評価4.3

評価内訳

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82 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

個性的な主人公が放つ個性的な秘剣が魅力のエンターテインメント時代小説

2010/01/11 19:03

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

隠し剣シリーズの第一弾。全8編からなる短編小説集。
秘剣を伝授された主人公が、それぞれのタイトルになっている秘剣を最後に放つ、という共通する展開の物語が収録されており、剣闘の緊迫感と個性的な主人公たち、彼に秘剣を使わせる環境の変化が魅力のエンターテインメント性の強い作品。
収録されている『隠し剣鬼の爪』は映画化、『宿命剣鬼走り』はTVドラマ化されている。

特に気になった作品の感想をいくつか。

『臆病剣松風』
とても臆病な普請組の瓜生新兵衛は、地震が起きれば、妻や母を置いて寝巻のまま戸外へ逃げ出す始末で、妻・満江からは軽んじられている。
剣の奥義を伝授された人物という理由で、満江は縁談を決めたのだが、時間が経つにつれ、夫の臆病に気づき始めると夫を軽んじる気持が生まれ始めた。
満江は、藩内の政争により若殿の護衛に付くことになり本気で震えている新兵衛を見た。

臆病の新兵衛が放つ秘剣『松風』とはどんなものか、夫を軽んじていた満江の心の変化が母性本能をも描き、読みどころだった。

『女人剣さざ波』
姉が美しいというだけで妹の邦江と縁談を決めた浅見俊之助。
俊之助は邦江に冷たく当たり、邦江も自分の不器量をわきまえて夫との距離を置いていた。
あるとき藩庫から大金が消え、翌月には戻ってくるという事件が起こり、その裏に政敵の影を感じた筒井家老は、俊之助に事件の秘密を探るよう命じた。
剣才の無い俊之助に政敵の刺客の影が迫る。

『臆病風松風』とある意味対照的な物語。
妻の決死の行動が夫の心を溶かす様子は、余韻に浸れる読後感を残す。

『宿命剣鬼走り』
鬼走りを伝授された小関十太夫と、生涯の好敵手・伊部帯刀との宿命の物語。
読み手の期待を裏切り、ひたすら絶望を感じさせる内容に複雑な心境。
バッドエンドなので、こういうラストが嫌いな人は上記2作品を最後に読むといい。

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紙の本

秘剣は孤剣なり

2004/10/20 23:39

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「地震・雷・火事・おやじ」と恐いものの筆頭に挙げられているのだから、
江戸時代、男が地震に驚き家から飛び出しても、軽蔑されるほどではない。
しかしその男が、寝たきりの老母も妻も構わずに、裸足で庭に飛び出したとしたら、どうか。ましてや彼が秘剣「松風」を伝えられたほどの剣の使い手だったとしたら、「何だ、臆病な奴。」と途端に鼻白むのではなかろうか。

「隠し剣」シリーズは、冒頭に登場した瓜生新兵衛(「臆病剣松風」)をはじめとして、普段目立たない人、いや、むしろ軽んじられている人達が、いざという時豹変し、絶対不利に思われた戦いを、秘剣を振るって制す面白さが、当時人気だった。「普段はだらしなく見えても、いざという時は、やれるんだ。」という所を見せた剣客達に、自分を重ね合わせる読者が多かったのだろうか。しかし、彼等に羨望の眼差しで見られた秘剣の使い手達は、本当に幸せだっただろうか。

拮抗する実力に見せる、一瞬の隙をついた一瞬の動き。それが勝負を決め、生死をわける。実に明解な結果の出し方であり、一瞬の快感ももたらす。しかし秘剣がもたらすのは、それだけではない。

皆に知られてしまえば、秘剣ではない。だから一子相伝となり、師匠亡き後は、たった一人で剣技を磨く事になる。「これでいい。」とあいまいにすれば、たちまちに無敵の剣ではなくなる。自らに妥協を許さない、厳しい姿勢が必要となる。子供に継がせたいと思い、子供も願ったとしても、その力量がないとわかれば、親子の情を断ち切らなければならない。子供にも伝えないのだから、肝胆相照らす剣友にさえも、その詳細を明かせない。映画化された「隠し剣鬼の爪」などその悲劇の最たる例だ。片桐宗蔵と同門だった狭間は、宗蔵に伝えられた秘剣「鬼の爪」に取り憑かれ、牢を破り人質を取って小屋に立てこもる。そして討手にわざわざ宗蔵を指名してくる。事件は狭間だけでなく、彼を助けようと奔走する妻をも不幸にする。秘剣さえなければ、狭間は想像の中で膨らませていった秘剣にとらわれる事などなく、宗蔵との因縁は、ここまでこじれずに済んだはずである。「宿命剣鬼走り」の相対する初老の武士どうしも、同じ事が言える。秘剣を得た相手、得られなかった相手は、どこまでも悪しき縁で結ばれる。秘剣を持つ故に、彼等は不幸にして苛酷な運命に、巻き込まれていったとは見られないか。更に、必殺の剣である秘剣の持ち手はしばしば暗殺を命じられる(「暗殺剣虎ノ眼」) 。自分とは何の因縁もない相手と、お互い藩の御家騒動の末端同志として斬りあわねばならない。無事役目を終えたとしても、理不尽に追われる (「必死剣鳥刺し」)。

人の命を奪った刀は血の匂いをまといつかせ、己が人の命を奪った事を、長く忘れさせる事はない。無敵の秘剣を持つ者は、並々ならぬ孤独と苦しみ、そして逃れ得ぬ宿命と、常に戦って生きている。剣客を羨み、そうなりたいと想像する読者達の平穏な日常こそ、実は彼等が渇望してやまぬものであるかもしれない。

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隠された技、秘められた人間ドラマ

2011/07/04 10:52

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 名匠として、時代小説の歴史にその名を燦然と刻む藤沢周平。その匠の技と魅力とを手っ取り早く知ろうとするなら、この「隠し剣」を素材とするこの短編集はまさにうってつけではないか。そういえばここ数年、「隠し剣」のシリーズから何本か映画が作られたが、それも納得である。たしかに映画にしたくなるもの、かつ映画として成功するだけの理由が、ここにはあると思う。
 「隠し剣」というからには、日ごろは人に知られていない秘密の剣技である。なんといってもこの設定の着想が魅力だ。
 たとえば、かの有名な佐々木小次郎の「燕返し」であれば、世に鳴り響いた技であっただろうし、どのような技かについて、イメージぐらいは一般にあったであろう。実際には、その技の詳細を知ることは対戦相手にしか許されず、ということは知ることはそのまま死を意味したかもしれないにしてもだ。
 しかし「隠し剣」の場合、技の正体は不明であり、場合によってはその存在すら知られていない。というわけで、どのような技なのか、というのがまず謎としてあって、読者をひきつける。ミステリーなのである。
 だがミステリーというのなら、謎としてあるのは、剣の技もさることながら、それ以上にそれにからむ人間たちについてのものだ。秘技が生まれるには当然それなりの経緯がある。また、それが秘密のベールを破って使われるとなると、それ以上に人間のドラマがからむ。こうした事情を明らかにする中で浮かび上がる人間像、その心象風景こそが、つまるところこの短編集について真に魅力的な点だろう。それはまた、この作家の持ち味が最も発揮される点でもあると思われる。
 そう考えると、「隠し剣」という共通項のもとに、さまざまなタイプの技が描かれ、同時にそこに潜むさまざまな事情や人間模様が描かれる「連作短編集」という形式はもってこいである。バリエーションが実に楽しい。手元において、じっくり読み味わえる本だと思う。
 とはいえ気軽に読める話かといえば、必ずしもそうではない。若い頃はひたすら暗い作風だったというこの作家の物語は、ときに重い。描かれた真実が心に沁みるわけだが、重さを敬遠する読者があっても不思議はないだろう。そうなると好みの問題といわざるを得ないわけだが、それでも語りの巧みさは疑いようがないと思う。
 特に印象深かったのは、最近、豊川悦司の主演で映画になった「必死剣鳥刺し」。映画についてはほとんど知らないが、なるほど注目すべき作品なのはよくわかる。寝る前に読んだのが、翌朝まで深く深く心に残った。

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2005/07/28 00:00

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2005/11/12 18:28

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