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ブッシュ大統領のスピーチや著作と、現実の政策を対比させながら、「アメリカでもっとも有名なモラリスト」の正体を暴いていく、というのが本書の筋。
「思いやりある保守主義」とかいいながら、実際にやってんのは、金持ち優遇のばらまき減税じゃんとか。テキサス州知事時代は「州の独立」とかいいながら、大統領になったらやってること違うじゃんとか。「正義の戦争」とかいいながら、証拠もナシに他国を侵略してるじゃんとか。まぁ、ジャイアンのほうがいくぶんマシなんじゃねぇの的「倫理」しか持ち合わせてねぇんだこの野郎は、ってんで。まぁそういうことを、いちいちこまかーく書いてあります。
しかし、そんなことは「今更言うまでもないこと」とは思わないっすか。ただブッシュの幼稚さ、一貫性のなさ、思いこみの激しさを確認するためだけにこの本を読むのはもったいない。そうじゃなくって、この「ブッシュ的な」考え方が、「アメリカのデモクラシー」観に根深く巣くっているらしいというのが問題なんだよね。だって、こないだの大統領選挙だってブッシュ勝っちゃったし。
著者はオーストラリアうまれということで、アメリカに対する相対化というか、突き放し方ができていて、うまいと思う。
いや、まぁ。くどくどしい本であることについては間違いないが。それでも、わりといい本だと思います。
(以上、2004年にmixiレビューに書いたことの転載)