紙の本
すべての根っこは「命」を重んじること
2022/07/10 12:40
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
美しい絵で表現された物語。作者が実際に、奇跡的にホロコーストから生き残ったユダヤ人から聞いた話を基にして描かれている。
当時赤ちゃんだった「エリカ」。
彼女の命が今、ここにあり、夫がいて子どもがいて孫がいる。
それはなぜなのか。
ホロコーストがテーマだが、悲惨さを訴えたり、ナチスの非道さを訴える描写はない。
ごく短い話だが、「死」に向かう人間が賭けた「生」について考え、命の重みを認識する機会になる。
紙の本
命や平和の大切さについて・・・
2005/07/19 11:19
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:深雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めは挿絵の美しさに惹かれて購入しましたが、子供に読み聞かせている時思わず声が震えてしまいました。
絶望的な状況の中、エリカの両親が下した究極の選択に同じ子を持つ母として胸の潰れる思いです。
戦後60年たった今も日本を含め解決していない問題はたくさんあって、世界中のあちこちで争いの種が絶える事がないのはとても悲しい事ですし、誰もが平和な暮らしを望んでいると思います。
節目の年にあらためて命や平和の大切さを考えさせられる一冊です。
紙の本
実話を絵本に
2007/02/01 15:38
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
〜お母さまは、じぶんは「死」に向かいながら、
わたしを「生」にむかってなげたのです。〜
ユダヤ人強制収容所へ向かう貨物列車。
たくさんのユダヤ人をすし詰めにしたその貨物列車の小さな換気用窓から
赤ちゃんが外に投げられた。
貨物列車が強制収容所の門をくぐれば、
二度と生きては帰れないだろう。
その事実を知った母親が、
せめて我が子だけでも助かるのならと
祈る気持ちで赤ちゃんを外に投げた。
その赤ちゃんはひろいあげられ、心ある人に引き取られ、
誕生日を決めてもらい、エリカと名づけられ、
そして大切に育てられる。
エリカをくるむピンク色のおくるみだったり、
駅にポツンと置き去りにされた白い乳母車だったり、
胸につけらた黄色い星のマークだったり…。
暗い色調の絵の中で、おくるみや乳母車や星のマークが
ひときわ目立ち、胸を締めつけます。
そして一番最後の色彩豊かな日常風景が
どれほど幸せなことであるのかを雄弁に語ります。
実話を元に作られたこの絵本。
エリカさんは現在お孫さんもおり、元気に暮らしていらっしゃるそうです。
この絵本を通じて、命の大切さ、
一人ひとりの存在のかけがえのなさを
改めて、思い知りました。
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この本は絵本で柳田邦男さんの翻訳です。最近ではニュースで親の幼児虐待や少年犯罪が取りざたされています。赤ちゃんポストなども設置されたりしています。それはそれで意味があることと思います。私はこの本の中で『お母さまは、じぶんは「死」にむかいながら、わたしを「生」にむかってなげたのです。』のところで涙が出て止まりませんでした。自分は死ぬせめて我が子は・・・。というギリギリの決断だったんでしょう。最近は自分は遊びたい子供は二の次といった考えが見られます。ぜひ若いお母さんに読んでほしいです。もちろん子供さんに読み聞かせながら・・・。
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なんて美しい命への賛歌の絵本だろう。
ナチスによるユダヤ人大虐殺という人類にとって最も愚かな殺人行為の残虐さと歴史を、こんなにも美しい文章で表現することができるなんて、と泣きそうな思いで読みました。そして私自身も想像しました。
おそろしい戦争のことを、
そしてそれが再び起こらないための何かを。
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本を読み終わったとき、考えたり、感想を思いつくことが出来なかった。エリカ。一体どのような気持ちでこの話をしたのだろう。これは実話だろうか。一つ一つの言葉や、出来事の後ろに、とても大きなものがあるような気がした。圧倒させられた。エリカが良い結婚ができてよかったと思った。
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「死」へ向かって走る列車の窓から母親は赤ん坊を放り投げた
「生」に向かって。
第二次世界大戦下のユダヤ人大量虐殺
そのありさまを、その悲惨さを、
描いた作品は数多くある。
しかし、この作品は、極限の状況下で、ニンゲンが、殊に「母親」が
選択しうる究極なまでに気高い行いを描いた。
生き残る可能性を本能的に選び取り、とっさにわが子を「投げた」母親。
母の愛、母の勇気、というよりはむしろ、もっと根源的なもの、
「生き物としての生への執着」のような
あるいは「種を守ろうとするメスの本能」のような、
生き物の強さが感じられて強く心を打たれる。
そして、その子は生き延びた。
まさに
奇跡のいのち。
実話にもとづいた絵本です。
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1944年、ナチス占領下のヨーロッパ。死の収容所へ向かって走る貨車の中から、外へ投げ出された赤ん坊。誰かが幼い娘を救ってくれるかもしれないという可能性にかけた、母親の必死の行動でした。その赤ん坊は奇跡的に助けられて生きのびます。生きのびた女性自らが語る実話。
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アウシュビッツへ連れて行かれるぎゅうぎゅう詰めの列車の中で、ユダヤ人の夫婦が小さな命を助けるために速度の落ちた時を見計らって赤ん坊を小さな窓から外の草地へ放り出します。たまたまそれを見ていた心ある人が赤ん坊をひろいあげて、その子はエリカと名付けられてある家で家族同様に育てられます。どんな思いでこのユダヤ人の夫婦は、走る列車から赤ん坊を投げたのでしょう。命を絶たれた600万人ものユダヤ人1人一人にこうした悲しくつらいドラマがあるかと思うと、胸が痛いです。
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6年生に、こういう本もたまにはいいかなと思って読み聞かせてみました。
どうかな、ちゃんと受け止めてくれるかな、と不安に思いながら読みました。
案の定、読み終わった時はシーンとしていて、いつもの「質問!」みたいな元気な声がありませんでした。
戦争の本、というだけで、読むのをためらうことがあります。
クラスの雰囲気や先生の考え方がわからずに読みに行くので、
反応が読めないせいもあります。
戦争の話が楽しいわけがありませんから、読み終わったあとの
フォローも大事になってくるのです。
けれども、私はあえて戦争の絵本を読みたいと思っています。
高学年なら、特にです。
もちろん子供への読み聞かせは、なるべく明るく楽しい本を心がけていますが、
大事なことを伝えるには絵本でなくてはならない時もある、と私は思います。
この絵本が子ども達にどう受け止めてもらえたのか、とても気になります。
子どもだけではなくて、本当は大人にこそ読んでもらいたい絵本。
私は、何度読んでも涙が出てしまいます。
密かに何度も練習をして、読み聞かせの時に泣かないように頑張りました^^;
生きることの意味、そして命の大切さを感じずにはいられない本。
すべての人に、この絵本をオススメします。
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ルース・バンダー・ジー:著 柳田邦男:訳
<あらすじ>
第二次世界大戦中、ユダヤ人を乗せた貨物列車が強制収容所へと向かう。その貨物列車に乗せられていた母親は、自分の赤ちゃんを「生」の道へ送り出す。
<ひとこと>
赤ちゃんを貨物列車から投げたときの、母親の気持ちとは。貨物列車に乗っていれば確実に「死」がある。貨物列車から投げ出されても生きていないかもしれない。でも少しの「生」への望みに母親はかける。とてもとてもつらかっただろうな。子どもを手放したくない・・・・、でも死なせたくない・・・・。
なぜこんな思いをしなくてはいけないんだろう。
もう少し子どもが大きくなったら、一緒に読んで考えたいと思う。
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2004年発表。
2005年第10回
日本絵本賞・翻訳絵本賞受賞作。
お母さまは、
自分は『死』に向かいながら、
わたしを『生』に向かって投げたのです
第二次世界対戦中のドイツで
奇跡的に生き延びた
ひとりの女性エリカを描いた
実話に基づく絵本です。
とにかく写真と見間違うほどの
緻密でリアリティある絵に圧倒されました。
モノトーンで統一された絵に
ユダヤ人を表すバッジの黄色と
エリカがくるまれた毛布のピンク色だけに
色がつけられています。
ユダヤ人強制収容所行きの列車に乗り込む人々を描いた絵。
このまま列車に残っていては
確実に殺されてしまう。
藁をもすがる思いで
自らの赤ん坊を
収容所へ向かう走る列車から
投げ出す母親。
愛する我が子を、走る列車から投げなければならなかった、
母親の気持ちを考えると
胸が締め付けられ、
涙が止まらなくなります。
エリカはその後
奇跡的に生き延び
皮肉にも自分を殺そうとした
同じドイツ人の手によって育てられます。
誕生日も知らない娘に
つけた
エリカという名前。
自分自身が危険な目に合うのもかえりみず
エリカを育てたドイツ人の勇気にも
心を打たれました。
訳者の柳田邦男さんは言います。
例え生きられる確率は
1万分の1であっても
ゼロではない道を我が子のために選んだ母親の決意には
一筋の『生』の光を求める崇高なものとして、
人々の心を揺さぶらずにはおかないだろうと。
600万人もの
なんの罪もない人たちが、
ただユダヤ人だということだけで殺されていった事実。
この母親と同じように沢山の人たちが
生きたいと願い、
生かしたかったであろう命。
決して忘れてはならないし
悲惨な現実を
二度と繰り返さないためにも、
今の殺伐とした世の中で
命の意味を考える意味でも、
この絵本を読むことで
子供にも大人にも
語り継いでいかなきゃって思います。
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■私は子どもを生んだことありませんから、自分のおなかがうずくような共感ではないんですけど。
でも、わが娘を放り投げた母親の気持ちを思ったら、胸の底にずしんとくるものがありました。
■この母親(たぶん私よりもずっと若い母親だと思う)は、自分がものすごく理不尽な殺され方をするとたぶんわかっていて、それでも、放り投げた先の未来を全部「信じた」んですよね。
赤ちゃんがやわらかい草の上に落ちること、赤ちゃんが命にかかわる怪我をしないこと、誰かやさしい人が見つけてくれること、長じて幸せな娘になってくれること。
世の中を信じられなくなって当然の状況の中で、自分に残ってるぜんぶの「信じる」で娘をくるんで、このお母さんは投げたんだ…と思ったら、泣けてきちゃって。
■で、本当に赤ちゃんは草むらに落ちて、怪我せずにすんで、やさしい養父母に育てられて、幸せな結婚をして家族をつくるんですよ。
お母さんの祈りが全部がかなったけど、お母さんは生きてる間にその結果を知ることはなかった。お母さんは「信じた」ことで喜びを得たことを知らない、それってすごくせつない。
でも、娘はお母さんの苦しみごと理解して、死に向かう中で反対側へ自分を放り投げた勇気に感謝している。
「伝わる」とか「伝える」って、言葉だけじゃないし、見えなくても触れなくても聞こえなくても、記憶すら残って無くても、届くものってあるんだなと思ったら、ほろほろときちゃいました。
■それに。このお母さんは「子どもと一緒に最期までいる」ではない道をとっさに選んだんですよね。お母さんは、どんなことになっても、生きるほうがすばらしいって思う人だったんでしょうね。この状況でもそう思えるのか、ってところにもずしんときました。
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戦争を勉強した後の6年生に読みました。(10分)時間短縮のため、出会いのところは省略して説明だけ少ししました。あとがきも少し抜き出して読みました。
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死を直感した両親が、列車から一縷の望みを託して、強制収容所行きの列車の窓から我が子を投げ出した。多くを語らない絵本から、その思いが滲み出す...