サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

曹操注解孫子の兵法 みんなのレビュー

文庫

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー4件

みんなの評価4.4

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

孫子の兵法を知るための絶好の本

2008/02/24 00:21

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る

 かの有名な孫子の兵法だが、現代に残る孫子は曹操が注を付けたものである。その最も知られた言葉は恐らく”彼を知り己を知れば百戦して危うからず”。日本軍の大敗に重ね合わせて使われることが多いように思う。

 その曹操注の『孫子の兵法』を銀雀山出土資料でクロスチェックした上で全訳し、章ごとに解説と、解釈の根拠を示すことで孫子の兵法の全貌が分かるようになっている。

 孫子の兵法を知らない方のためにちょっとだけ説明する。実のところ、孫子は戦争を勧めていない。戦争を指揮する者として呉王に自分を売り込んだ男としては間違った姿勢のようにも感じられるが、逆にそこが孫子の計算であろう。戦争は国を疲弊させる、ぎりぎりまで使うなと随所で指摘するのが特長だ。

 ところが、一端戦争が始まったと為ると様相が一転し、勝つためには何を為すべきかが語られることになる。この温度差が不思議に感じられるかもしれない。しかし、春秋時代という不安定な時代に生きた孫子からすれば、平和が好ましいのは言うまでも無い事としても、何時起ころうか分からぬ戦争に備えないというのは愚の骨頂である、と言ったところだろう。

 では、戦争行動を前提としていないのかと言えばそうではない。呉にとっては地政学上、倶(とも)に天を戴くことの出来ないライバル、楚を攻めるための手段は詳述されている。どこを攻撃すべきか、逆にどこは攻撃してはいけないか。まず攻めるなといい、攻めるからにはどこを攻めろと指示するのに、孫子の中では矛盾は無いのだろう。

 従って戦端が開かれた後の話ともなれば極めて冷静に個々の事象を説明することになる。攻撃するべき(攻撃を避けるべき)地点、戦うべき(あるいは戦ってはいけない)地形、兵を率いる者の心得、そして兵站。春秋時代の戦争の、全てがそこにあると言って良いかもしれない。兵站については、過去に紹介した『補給戦』よろしく、後方から前線へ補給するともなると、糧食はたったの5%程度しか届かない。だから可能な限り現地調達せよ、という。この割合は少なすぎると思う向きもあるかもしれないが、『補給戦』でも全く同じ比率を挙げていたことは指摘しておこう。

 勿論、現代戦を想定すれば的外れな指摘も多々ある。主に技術の発達によって、戦場の有様は大きく変わった。だから、孫子の兵法がそのまま役に立つわけではなかろう。しかし、戦わずして目的を達成することの重要さ、情報戦がどれほどの影響を及ぼすか、指揮官の覚悟と兵士の士気を上げる重要さ、そして兵站の問題と、組織運営に必要な全てがあるように思う。

 意外だったのは、曹操の注の少なからずが再言及や噛み砕くのに使われていて、本文を読むのを阻害するということだ。曹操ほど戦場にあり続け、戦争の酸いも甘いも知り尽くしたインテリはいない。その知恵が加えられているのかと思ったのだが、そうでもないのが残念だ。まあ、ところどころに自慢としか思えない文章が挿んであるのは曹操の人間らしさを感じさせてくれて楽しいのだけど。

 もう一点意外なのは、春秋時代に書かれたはずの孫子に後の法家の思想と軌を一にする主張が見受けられること。勿論、法家の人々がこの頃からの思想を脈々と受け継いできたというのが筋で、その集大成が荀子であり韓非子であるのだろう。思想史上からも興味深い一冊だった。

 また、解釈において異論がある部分については、なぜ著者がこの読み方をするのか、解説してあるところはとても有難い。安易に現代ビジネスに結び付けない点といい、素晴らしい立場だと思う。孫子の兵法の初心者から詳しく知りたい人まで、幅広く読める好著だと思う。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2006/06/04 21:13

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/03/26 01:49

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2021/01/10 22:00

投稿元:ブクログ

レビューを見る

4 件中 1 件~ 4 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。