紙の本
他の作家ならもっと“戦争もの”と言えば身構えて読まなければならないのであるが、荻原さんの作品だと容易に入っていけるのである。
2005/03/13 21:12
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投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争が終わって今年で60年となる。
昨年発売された本作は同じく“回天”を題材としてるところから横山秀夫氏の『出口のない海』とよく比較されるが、内容的には異質のものである。
横山さんの作品はまさしく“直球”まっしぐらな“熱き”作品であるが、本作は“チェンジアップ”満載の作品である。
両作家のそれぞれ持ち味が充分に発揮できている点が、読者に取っては嬉しい限りである。
未読の方は是非読み比べて欲しいな。
本作はいわゆる“タイムスリップ”ものの秀作に仕上がっている。
片や同時多発テロの起こった2001年から1944年にタイムスリップするフリーターの健太、もう一方は1944年から2001年にタイムスリップするお国の為に日々訓練に明け暮れていた飛行術練習生の吾一、どちらも同じ19歳である。
荻原さんの巧みな点は、どちらも現代(2001年)と過去(1944年)を象徴する“ある意味平凡なキャラの人物を起用”することによって、戦争を私たち読者に身近なものとして提示している点である。
あたかも読者が本の中に“タイムスリップ”したように…
読者は否応なしに、現代から過去にタイムスリップした健太と、過去から現代にタイムスリップした吾一との境遇を比べてしまう。
どちらも当然の如く驚愕の毎日を過ごすのであるが、もちらん現代にタイムスリップした吾一の方が平和で安全である。
あと、作中に出てくる恋人役のミナミも印象的だ。
恋愛&友情小説としての側面を本作で見出したのははたして私だけであろうか?
ラストにてミナミが身ごもっていることが明らかになる。
吾一の子なのであるが、健太が自分の子と同じように感じ育てていくであろうと読み取った。
お互いが入れ替わった2人が会ったこともないのに“確固たる友情”を築いた証だと受け取りたく思う。
いや、お互いがお互いの“分身”なのであろう…
『淡い青色の海に突進していくミナミの後を追いながら吾一は思った。
時代が違えば自分は健太だったかもしれない。健太は自分だったかもしれない。(本文より引用)』
そういった意味あいにおいては、回天のシーンなど感動的な側面においては横山さんの作品の方が上であるが、清々しさでは本作の方が上だと言えそうだ。
必然的に本作はいろんな読み取り方・感じ方が可能である。
それは荻原作品の醍醐味でもあるのであろう。
例えば、“自分さがし”的な読み方をしても面白いのかもしれない。
あるいは、恋人や配偶者に対する接し方などを考え直してもいいのかも。
少し余談であるが、もし同時多発テロが発生してなかったらこの作品は生まれていたのであろうか?
もういちど、私たちの今生きている平和な環境について考えて見たいと思ったりする。
マイレコ
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戦時中と現代の比較がとても上手いと思う。なんとういか、運命の理不尽さを感じた。それでいて感動でき、ユーモアまでも含まれているのだから!これはかなりオススメです。
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これって評価が分かれると思います・・・
わしはちょっとんん〜?てかんじで最後までのめりこめませんでした。
人間魚雷だっつうから読んだんですけど、ちょっと設定もとっぴすぎるし主人公も軽すぎる・・・。
全体としてうまくまとまってるな〜ってカンジですけど。
話はよくまとまっていて読みやすい。ただそれだけ・・・・?
わしだったら、主人公は特攻隊員という設定よりは整備兵とかにして、戦後生き延びて結婚しておじいちゃんになってから、平成のミナミに出会い、真相はつげずになにげない会話で去っていく・・・みたいなふうにしたな。(←ケチつけてます
でも、健太の性格設定に「バカ」というのがあるみたいなので、彼のこの生き方は自分の狭い目線なりに精一杯生きたのかなぁと思います。
一応「人のために」という意思はつたわってきますから。
うーん・・・タイムスリップは「ジパング」で読んでたし「戦国自衛隊」もあるしなー。この本を最初に読んでれば感想も違ったかも。
「人間魚雷の娯楽小説」といった感じですかね。主題もつかみにくい。だからって非戦をひたすら訴えられるのもあきあきですが。
あ〜残念です。この人、普段は面白い娯楽小説を書きそう。この作品だけ合わなかったということにしたいです。
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2001年9月12日。世界貿易センタービルに旅客機が突っ込んだ翌朝も尾島健太(19)は、テレビの臨時ニュースや新聞には目もくれず、一人サーフィンに出かけた。バイトをクビになりガールフレンドのミナミとも喧嘩中で会えないからだ。しかし、大波に呑まれた健太が目を覚ますと、そこは1944年だった!/1944年9月12日。霞ヶ浦飛行場から飛び立った石庭吾一(19)は、「海の若鷲」に憧れる飛行術練習生だ。しかし、操縦を誤って海に墜落してしまう。蘇生した吾一が目覚めたのは、なんと2001年だった……。
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時代を超えた入替わりモノ。
軽いタッチなので読みやすくて、戦争扱っていても話に入って行き易いのだけれど、ラスト……読み手に委ねたっていうより投げちゃった感がある;
私なりの想像はしたけど、こういうぼかしは好きくない。
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現代と戦時中の青年同士が入れ替わってしまうという、タイムスリップもの。
深刻な状況に放り込まれてもどこか飄々としたケンタはいいやつだし、どこまでもかたまじめな吾一はおもしろい。
どちらにも幸せになってほしい、と願いつつも、どちらかしか助からないのかと思わせる展開に、戦争のやりきれなさを痛感します。
二人のミナミへの愛にちょっと感動したり。
最後の最後まで目の離せない、良いお話でした。
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久々のヒットですわ、これ。ちょっと笑えて、ぐっとくるとこもあって。でも最後に戻ってきたのが健太だとしたら、ミナミのお腹の赤ちゃんは吾一の子なわけで。・・・あんま考えるのよそう。
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タイムスリップもの。でも入れ替わるのが現代と戦時中だから,考えさせられることが多い。でも健太のように,強靭にあの時代に自分なら耐えられないだろうな。海から出てきたのは健太だろうか。
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昭和の章と平成の章が交互に書かれていてその章数がそれぞれ漢数字と数字で表記されているのに51章(全61章中)で気づいた。
最後、どっちとも取れる終わり方にすこし複雑な気分。(2008/3/13)
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平成の世を生きるフリーターの小島健太。戦時中の空軍飛行術練習生の石庭吾一。サーフィンで大波に飲まれた健太と、飛行訓練中に操縦を誤り海に墜落した吾一は、入れ違いのようにタイムスリップする。上官の山口に疎まれ、精神注入棒(バッター)で殴られたり散々な健太だが、「根拠なしポジティブ」で戦時中の世を生き抜いていく。吾一は平成の世に落胆しつつも、健太の彼女であるミナミへの思いはどんどん強くなっていく…。入れ替わりタイムスリップという設定は、ちょっとありがちな感じで新鮮味に欠けるが、人物描写が面白く話に引き込まれる。体力的に楽な筈の吾一より、健太の方が生き生きとしているように感じる。健太と吾一の話がほぼ交互に繰り返されるのだが、一節が短めで、時に気をそがれることがあり、この形式は個人的にはあまり好きではない。映像化もされているようで、機会があったら観てみたい。SF青春小説。
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再読でした。
海難事故がきっかけで現代と戦時中で入れ替わってしまった二人の男の子を描いています。
なかなかおもしろかった。
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ドラマがなかなか面白かったので原作が気になり読んでみました。
ドラマとの違いはよく覚えていませんが
入れ代わってしまった二人の心の変化のようなものが
書かれていて面白かった。
荻原浩にはまったきっかけでもある。
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吾一が愛しい。話が荻原さんのイメージと少し違ってて新鮮だった。健太がだんだん性格が変わっていったり、吾一のしゃべり方が時代にあってきたりするのに悲しさを覚える。何もしなかったら運命は変わらないんだ。
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NYの貿易センタービルに飛行機が突っ込んだ日、良くも?悪くも今時の青年、健太と、昭和19年に19才だった、伍一が入れ代わってしまった。
同じ日本なのに、全く違う世界。
一方は、平和ボケの世界から叩き起こされ、一方は、こんな者たちの為に命をかけてきたのかと思う…。
でも、同じものだってある。家族、恋人、大切な人たちを守りたいという気持ち。
ブルーハーツの君のためという曲は知らなかったけれど、探してききながらラストを読みました。
ああ君のため 僕たちのがしてあげられることは それぐらいしか 今はできないけれど
ラスト、どちらが帰ってきたのかわからないけれど、それでよかったと思います。どちらだったとしても悲しいから。
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平成の世を生きるフリーターの小島健太。戦時中の空軍飛行術練習生の石庭吾一。
何故か見た目も体格もウリふたつの2人が、タイムスリップで入れ替わってしまう
自分たちが命を捨てて護ろうとした祖国の未来が、欲望と快楽の渦巻く世界であることに失望する吾一
人間魚雷の特攻隊に任命されてしまう健太
ふたりは無事に自分たちの世界に戻ることができるのだろうか。。
ラスト、結局帰ってきたのがどちらのケンタなのかわからないところが
もやもやするような、これでよかったような・・・
引きこまれました!