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ブッダとそのダンマ みんなのレビュー
- B.R.アンベードカル (著), 山際 素男 (訳)
- 税込価格:1,100円(10pt)
- 出版社:光文社
- 発行年月:2004.8
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紙の本
仏教が身近に感じられる
2005/06/16 21:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小乗仏教/南伝仏教/初期仏教の教典を、集大成したような本である。
著者はインド独立運動や不可触民の解放運動に活動した、政治家であるらしい。インド独立にあたっては、憲法の起草や国旗の制定等に、主導的役割を果たしたとのこと。不可触民解放運動では、カースト制度を廃止するためには、ヒンドゥー教を放棄するしかないと決断、後に仏教に改宗。自己のカーストの成員を仏教に改宗させ、つづいて他の不可触民カーストの成員を、さらにはヒンドゥー全体を改宗させるという活動に着手した時点でなくなったという。
このような改宗活動のため、仏教の入門書として本書を著した。膨大なパーリ語教典(英訳)を渉猟し、重要と思われる文章を拾い出し、それを分類・整理し、解説を付するという手順が踏まれている。文字も読めないような人たちを対象としているため、分りやすい。仏教が、自由・平等・友愛に基づく、実践重視の合理的な宗教であることを、強調している。不可触民の地位向上を目的とした活動のため、このような強調がなされているのであろうが、この点で既成の仏教教団からは、仏教ではないとまで厳しい批判をうけたという。
しかし、真の仏教とは何か、釈尊の真の教えは何かを、真摯に追求した結果のように、素人目には受け取れる。仏教が身近に感じられる。
紙の本
仏教は〈私〉の中にある
2005/02/22 11:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:後藤和智 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宗教というと、なにやら神秘的で、あるいはスピリチュアル(霊的)で、近寄りがたいイメージがあるかもしれない。あるいは、何か聖典のようなものを信じて実行したりとか、礼拝などといった、人間と「神」との上下関係を重視したもの、というイメージがあるかもしれない。
私もそのような認識を持っていた一人であった。なので、本書を読んで大いに驚いた。我々が生きる時代よりもずっと昔に、こんなにも「科学的」で、「近代的」な宗教があったのか、と。
それは仏教である。皆様もご存知の通り、仏教は紀元前6世紀、仏陀(シッダールダ・ガウタマ)によって開祖された宗教である。また、これも有名な話であるが、仏陀は部族の王の子どもとして生まれ、出家する前は何不自由ない生活を送っていた。しかし、部族の議会で民族戦争に反対したりと、自らの意志を貫いて、家族や同族の猛烈な反対にもかかわらず出家した。
そもそも仏陀の生み出した仏教とは、当時のインドの上流階級の間で流行していたバラモン教やバラモン哲学に対する批判として生まれたもので、それらの依拠するところのものは徹底的に批判した。例えば仏教は神聖不可侵のものとしての身分制度(カースト制度)を批判した。また、霊魂の存在や、苦行、再生論(ちなみに再生論・創造論批判に関わる仏陀の物言いは、現在「エネルギー保存則」と言われているような考え方と極めて近い)なども批判し、さらに仏陀は自らに特別な位置づけ(例えばキリスト教であれば、イエス・キリストが自らを神の子と規定したこと)をしなかった。人類を「神の子」として規定することではなく、人間同士の愛と道徳こそが基本である、と仏陀は主張した。
仏陀は中道こそが最善である、と説いた。例えば、「不殺生」といっても、例えば食を得るためのやむをえない「殺生」は容認した。仏陀にとっての「殺生」とは、相手に殺意を覚えて相手を殺すことである。また、仏陀は人が財を蓄えることも容認した。しかし、それが悪行によって得られた財であってはならない。
仏教にとって何よりも大切なことは、進んで善行を行い悪行を行なわないことに尽きる。すなわち、人を殺したり、犯したり、あるいは物を盗んだりしないで、自分と他人が幸せになるように最善を尽くすこと。人には愛を持って尽くし、道徳を重視すること。こう考えてみると、仏教は〈神〉ではなく〈私〉の中にある宗教ではないか、といえるのかもしれない。事実、本書においては、仏教はあらゆるものの中心に「心」を置いたものである、と指摘されている。
一神教的な考え方による暴力が幅を利かせている現在の状況において、仏教の人間同士の秩序や愛を重点に置いた考え方は、もしかしたら世界平和への一助になるのではないか、と、本書を読んで錯覚してしまった。そこまで考えてしまう必要はないが、本書は、読者に自らの生き方を強く問う書であることは間違いない。初めのほうは少し退屈かもしれないが、仏陀の教えを解説したところから、本書は俄然面白くなる。多くの人が本書に触れて、魂ならぬ心が震える想いを感じてほしい。
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