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都立美術館で行われた奇想の系譜企画展をきっかけに読みました!
江戸美術が広まったきっかけとなった著書。大変楽しく読ませてもらいました。
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それぞれの画家の個性と作品のもつパワーが、相互に作用しているのが感じられます。1968年の雑誌連載をまとめたものとのことですが、古さは全く感じられず、むしろ新鮮な力を持った文章だと思います。
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2/9からスタート!東京都美術館で「奇想の系譜展」
美術史家・辻惟雄さん『奇想の系譜』に基づく、
江戸時代の「奇想の絵画」決定版、展覧会開始!
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東京都美術館で企画化されたのに行き、おもしろかったのでこちらも読んでみた。
それぞれの画家の人生と、画風の特徴をわかりやすく解説している。勿論作品も掲載しているが、ほとんど全てが白黒なのが残念。実際の絵をみたほうが断然よい。
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初版が34年前に出版されている。この本の2004年に著者は72歳。解説は服部幸雄(当時千葉大学名誉教授)この本は読み継がれ再販され、傍流と思われていた画家たちを江戸時代の絵画史を彩る人気スターにした。
意表をつく構図、鮮烈な色、グロテスクなフォルム、ーー近代絵画史において長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、蘇我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら表現主義的傾向の画家たち、本書は奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタクティック)なイメージの表出を特徴とする彼らを「奇想」という言葉で定義して、「異端」ではなく「主流」の中での前衛と再評価する。刊行時、絵画史を書き換える画期的著作としてセンセーションを巻き起こし、若冲らの大規模な再評価の火付け役ともなった名著、待望の文庫化。大胆で斬新、度肝を抜かれる奇想画家の世界へようこそ!図版多数、解説服部幸雄
この裏表紙の言葉が、この本を見事に解説し語っている。
取り上げられている6人の画家たちは、子供時代から絵しか目に入らず、描くことにしか興味を示さず、家業を投げ出してでも大袈裟に言えば絵に命を捧げた。まずは慣習通り当時の一流と言われた流派に属し師匠の元で修行をしている。その力量を認められて重用される場合もあれば、才能が小さな組織に収まりきれ、ずまたは自己の要求するままに外に飛び出し、結果世間に受け入れられて成功するものもあれば、貧窮生活に喘ぎ、あるいは地方に流れて行き、そこで中央には認められないままに大衆の中で才能を開花させるものもいる。ただその先進ゆえか、奇矯さからか広く理解されず、今まで残っている作品が少ない。
今になって新たな視点から評価が高まってきた。そんな時に鑑賞に耐える作品がもっとあっただろうと思えるところに、保存状態が悪く、または散逸し、あるいは火災で焼けてしまったらしいということは、こんな素晴らしい研究書を読むと、著者でなくても残念に思われる。
その上、研究者にも画家の出自や足跡がわかりにくいそうで、おいおい発見されることもあるかもしれないという顧望も書き添えられている。
著者がおよそ50ページを割いて語っている岩佐又兵衛と、蘇我蕭白の章は一段と力が入り、図版に照らして解説を読むと、岩佐又兵衛の「山中常盤」や「牛若の盗賊退治」の血みどろなシーンも裏に潜む画家の意思の強さ、技術の高さが理解できる。
又兵衛の解説で、1に奇矯な表現的性格。「一種の名状し難い気うとさ」「鈍重な物凄さ」2に古典的、伝統的なテーマを扱いながら、その内容を卑俗な、当世風なものにすり替えようとする、いわば「転合絵」とでもいうべき要素。3は人物の描写に共通する風変わりな特徴、、、クセの強い形と解説する。
このほとんどは6人の画家に共通するところがあると何か腑に落ちる気がした。
また
宗達が底抜けに明るいロマンティシズムを唄い上げる一方で、岩佐又兵衛や山雪(狩野)の偏執と奇想が横行した寛永という時代はなかなか一筋縄ではいかない時代だったようである。
幻想の博物誌ーー伊藤若冲
若冲は錦小路の青物問屋の長男���ったが弟に家業を譲り、隠遁生活を始めた。世俗には関心がなく、学問も文字にも疎く、作画三昧で暮らした。有名な鶏の絵のように動植物を主に描いた。写生主義を唱えた円山応挙に先行したとも言える。細密な美しい写実は今でも目にして驚嘆する。
虫や貝殻の様々な絵柄について
シュルレアリスムの作品を連想させるようなこの驚くべきイメージは全く若冲のオリジナリティに属するものなのだ。このような内的ヴィジョンは鶏の描写にも共通している。
73歳の折の大火で多くの、作品が消失した、気落ちした若冲はそれでもその後も独創的で個性を発揮した名作を生み出している。
晩年の、格天井の花の絵やナイーブな人形図などを見ると若冲から衒気と気屈さを取り除けば意外とアンリ・ルソーに似た純真な画家の眼がそこに発見されるのではないかという気がしてきた。
狂気の里の仙人たちーー蘇我蕭白
新しい画壇の風潮の中で才能や技量においては、
いずれにも引けを取らない蕭白が曽我派という前時代の遺物を何故にあえて担ぎ出したかについて、彼はもちろん何も言い残してはいない。ただ明らかなのは蛇足十世の厳しい肩書きが徹頭徹尾蕭白の人を食った自己表現の手段として利用されたことである。
生来の気屈な性格が世人の顰蹙を買い、時には狂人呼ばわりをされる一面は無論あっただろうが、一方でその痛快な生活態度と作画ぶりに、密かに快哉を叫ぶことも決して少なくなかったと思われる。
と著者は好意的で
彼の狂躁的な作風を代表する彩色「群仙図屏風」の人物を一例にとっても、衣服の文様など細部の仕上げに見られる恐ろしく入念で緻密な筆使いが「異常さ」の効果を演出する画家の冷めた意識を物語っているのだ。
確かに表紙にもなっている龍の顔や波や指の節のトゲだった様など、アクの強い特徴的な奇妙な表現を得意とした彼の作図が、今になると多くの絵画の進展に伴ってその力強さや奇矯さがあまり目立たなくなり、構図や薄気味悪い妖気にもさほど驚かなくなり、返って関心が高まっていることも納得できる。
超獣悪戯ーー長沢盧雪
まだ居た、奇人変人の応挙門下長沢盧雪。彼は応挙の代役として出向いた南紀で多くの作品を残した。
応挙に準じる墨絵のぼかしで立体感を作り出す手法は師を凌駕するほどで、数枚の図柄を見ても面白い。
晩年のクローズアップ手法や人物の描き方に気味の悪いものを感じるが、図版に上がっている「四睡図」などはユーモラスながら奇矯な感じもしつつ面白い。
幕末怪猫変化ーー歌川国芳
三十歳で当時流行っていた「水滸伝の豪傑」を描いた武者絵が大衆に認められる。
(図版の掲載がないので見てみたいとおもう。九紋龍史進、花和尚魯智深など五人が一枚刷りになっているという)。
これが大当たりで百八人全部書いているそうで、展覧会はないものだろうか。
その後絵の方向が変わり、北斎に倣ったというが、その不気味な想像力の産物はおどろおどろしい。
ヨーロッパの実証科学の成果が、幕末の浮世絵師荒唐無稽な怪奇表現に一役買ったとは皮肉な巡り合わせだが、彼らの新奇なものに寄せる並外れた好奇心と、たくましい想像力には感嘆させられる。
裸体で合成された顔や「写生百面叢」の面白さは筆者によると、目の覚めるような新鮮なアイデアに溢れているそうだ。
水野忠邦の言動・風俗取締りの元で、人物に不自然な紋所を入れたり、異形の幽霊に紋所をつけたり、時代に合わない武器を持たせたりして始末書を書かされたそうだ。
国芳の性格については”弟子も多く、浮世絵界の大物であるにかかわらず、野卑な風体をしており、闊達な気性で版元からの注文が気に入れば賃金の多少にかかわらず引き受けるが、気が向かなければいくら好条件でも断ってしまう。欲には疎い方”と言っているそうだ。
愛猫家で猫をたくさん描いている。
あとがきや解説でも随分教えてもらったがあまり長くなるので、忘れないように紹介だけにした。
少し前に読んだが、おおかた忘れているので、東京の展覧会を羨みながら再読した。
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私は、美術作品を観る眼はないですが、それでも若冲には驚きました。そんな若冲などの再評価の火付け役となったのが本書とのこと。図版が多く、素人にも分かりやすいです。
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当方でさえというくらい、今やここに取り上げられている画家全員の名が知れ渡っていることを考えるに、この作品は日本美術史研究上の金字塔と言っても差し支えないんでしょう、多分ですけど。
絵そのものもそうですが、画家それぞれのエピソードがすごい面白い。印象派ではないですが、画家の人生に対する知識・理解が間違いなく絵画鑑賞の土台になってきます。そういう意味で、見る側の教養も問われとるんでしょう。あんまり下手なことをつらつらと書いてると、当方の凡庸さが浮き上がってしまうので、この辺で。
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いやーこの本、書かれたのは50年前ですか。今では江戸絵画の主流とも言える岩佐さんや若冲さん蕭白さんが非主流だったという時代に書かれた本です。しかし50年前まで江戸絵画を狩野派から見ていたのって、官(狩野派)と民(京都画壇)の対立のようですな。
それはともかく、この本が出てからの狩野派以外に対する再評価は目覚ましく、再評価後の時代に美術好きになれて得したと思いますわ。
そんな再評価後の今であっても、この本は古びた感じがしないのですから、すごいもんです。
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京博の「狩野山楽・山雪展」で観た、山雪の「雪汀水禽図屏風」を確認したくて再読。
狩野派の屏風か障壁画で波が高い海の岩の上にいる鳥が描かれたものを探して。
「ウルヴァリン:SAMURAI」にも「ぽい」のが登場してた。予告編にも映ってるのでもう一度観てみたけどやっぱり「ぽい」か。
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2009/11/09
☆☆☆☆
信楽のMIHO MUSEUMで開催中の「若冲ワンダーランド」の予習として。
2009 11 09 225556
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奇想と系譜。
奇想とはまるでバランスを取らないことのようで、系譜とは一方連続し連なっていくという様子を示すものだ。崩れようと崩してしまおうと意図した中に、これまでにない形を映し取る。不安定なほうへ不安になる様に自らを振り向けることによって、これまでの地平を塗り替える新たな世界が繰り広げられる。奇想という意味は、刷新したことによるのではなく、これまでの平穏を当然を、自らの中に居座る固定をどれだけ不定の様に近づけられるかという、ごく些細な些末な諦めを自らに課せることができるかという変化でしかないのかもしれない。奇想だとしても、まるで連想してくさまに、ひとが表現すること、表現しようとすることの理由が表れてくるようだ。
岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長澤蘆雪、歌川国芳。それぞれがそれぞれの奇想であるのと同時に、それぞれが同じ姿勢を貫き、同じ地平を目指しているように感じられることが、僕たちに肝心なことを示してくれている。
江戸という時代の様々なときの、それぞれの様相を背後に抱え、その対立の結果としても、文化というものが表れてくる。それはまるで人という意思が、浮び上がり、想念となり、形態となって、その足跡として跡形が残されていく。
絵という表現の至高を目指しながら、その理想をときおり、投げ捨てるように、自らを否定し、不安定さのなかに、新しい可能性を見出していく。やめることをしない、留まることをしない、その生きる姿勢に僕らは何を教えられることができるだろうか。
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辻惟雄 「奇想の系譜」
岩佐又兵衛 に始まり、歌川国芳 に至る奇想絵師の系譜をまとめた本。
美意識とは何か考えさせられる。悪趣味にデフォルメされた美も、系譜の中で見ると。異端者の強烈なエネルギーであり、怪奇の中で美が強調されている
残念なのは、カラーが少ないこと。けばけばしい配色も魅力の一つなのに。
末尾にある画家年表がわかりやすい。さすが美術史家
*岩佐又兵衛は年表上、狩野永徳の晩年に生まれ、狩野山雪と同時代を生きている。長谷川等伯とも重なる時期がある
*伊東若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪の活動は重なる時期があるが、お互い意識したのだろうか
*若冲、蕭白、蘆雪が亡くなってすぐ、歌川国芳が生まれている
*北斎は長生き。蘆雪と同時期に生まれ、歌川国芳とも活動が重なる
衝撃的なのは 曾我蕭白 (しょうはく) の「群仙図屏風」「寒山拾得図」「富士三保図屏風」〜聖と賊は表裏一体なのかもしれない
蕭白と北斎に共通点を見出した著者の洞察力に驚く
*鉱物質というべき乾いた非情な想像力
*鬼面人を驚かす見世物精神
*怪奇な表現への偏執
*アクの強い卑俗さ
*背後にある民衆的支持
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【憂世と浮世 岩佐又兵衛】
【桃山の巨木の痙攣 狩野山雪】
父・狩野山楽
俵屋宗達が底抜けに明るいロマンティシズムを唄いあげる一方で、岩佐又兵衛や山雪の偏執と奇想が横行した寛永という時代は、なかなか一筋縄でゆかない時代だったようである。
〈↓京都奇想派の3名〉
【幻想の博物誌 伊藤若冲】
彩絵
アンリ・ルソー
プリミティフの巨匠の系譜に仲間入り
案外有効?
【狂気の里の仙人たち 曾我蕭白】
『群仙図屏風』
清の上官周『晩笑堂画伝』の影響の可能性?
曾我派
癇癪持ちで傲慢な点、同時代の上田秋成に似たところもあったようである。
雲龍図襖
【鳥獣悪画 長沢蘆雪】
【幕末怪猫変化 歌川国芳】
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これは面白い本だったなぁ・・・残念な点が、図版がモノクロだった点ぐらい。
伊藤若冲、曾我蕭白なんかは今では大人気。目の付け所が違ってたんだなぁ・・・
他にも、岩佐又兵衛、狩野山雪、長沢芦雪、歌川国芳なんかが載っています。
こういう風に、美術を自分で発掘して、それが有名に成るのってはすごく快感なんだろうな。
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『奇想の系譜』
辻惟雄
2004年
ちくま学芸文庫
著者である辻惟雄(つじ のぶお)の代表作。
当時1970年に刊行され、
その後新版が出され私がいま手にとっている
文庫版が出されたのが2004年である。
この長期間の間に本書で紹介された
エキセントリックな6人の画家の人気に
劇的な変化が起こったわけだが、
本書で紹介された「奇想」な6人、
岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、
曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳を紹介していく。
⬛︎岩佐又兵衛(いわさ またべえ)
1578〜1650年
摂津伊丹城主として織田信長に仕えた
荒木村重の妾腹(しょうふく)の子として生まれる。
義経伝説に基づく物語絵巻
「山中常磐」(やまなかときわ)が紹介されるが
幕末から明治にかけて活躍した絵師、
月岡芳年の「血みどろ絵」の本家というべきかは
定かではないがおどろおどろしい
凄惨な「常盤殺し」や「首運びの行列」の描写は
思わず目を覆いたくなる。
⬛︎狩野山雪(かのう さんせつ)
1590〜1651年
狩野山雪の養父である狩野山楽は、
狩野永徳、長谷川等伯、
海北友松(かいほうゆうしょう)と共に、
桃山画壇の四巨匠の一人に数えられた画人。
狩野山楽は、
かの豊臣秀吉の小姓として仕えていた時、
その非凡な画才に眼をつけた秀吉が、
狩野派の代表的画人、
狩野永徳に弟子入りさせたのが
画家としての出発点と伝えられる。
そんな養父の跡継ぎとなったのが
狩野山雪である。
山雪が描いた作品の中で特筆すべきは、
白梅の巨大で躍動感溢れる幹が印象的な
「梅に山鳥図」や「老梅図』」
グロテスクでホラーな「寒山拾得図」だろう。
⬛︎伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)
1716〜1800年
詳しくは前々回投稿した
『よみがえる天才1 伊藤若冲』に譲るとして
本書でも若冲の代表作
「動植綵絵(どうしょくさいえ)」が
取り上げられており、
近年一気に人気が高まった画人だ。
⬛︎曾我蕭白(そが しょうはく)
1730〜1781年
代表作『郡仙図屏風』や
荒々しく豪快なまでの筆致はなにか
禍々しいものがその画に取り憑いているような
オーラを放っている。
本書で取り上げられた6人の内で
最もエキセントリックで「奇想」な
画力とキャラクターを持ちあわせていたのが
曾我蕭白だと感じる。
本書文庫版の表紙に蕭白の
代表作「龍雲図」を起用するあたり、
著者である辻惟雄は本書執筆のキーマンとして
蕭白を推したのではないかと推測する。
⬛︎長沢蘆雪(ながさわ ろせつ)
1754〜1799年
いわゆる「円山派」の祖である
円山応挙の弟子である蘆雪の代表作といえば
無量寺の「虎図」だろう。
決して荒々しくはないが獲物を狙ってるかよのうな
その姿は独特の存在感を漂わせている。
ちなみに現在、九州国立博物館で
特別展「生誕270年 長沢芦雪」が開催されている。
もちろん足を運ぶつもりだ。
⬛︎歌川国芳(うたがわ くによし)
1798〜1861年
風景画で有名な歌川広重とは同い年。
国芳の父の友人だった歌川豊国の弟子となり、
30歳の時に描いた「通俗水滸伝豪傑百八人之一人」が
デビュー作となる。
それがウケて「武者絵の国芳」として人気が高まる。
そんな国芳の画の中で本書が取り上げたのは
「讃岐院眷属(さぬきいんけんぞく)をして為朝(ためとも)をすくう図」など大迫力の画だ。
だが個人的には、
国芳と言えば巨大な餓者髑髏の妖術で知られる
『相馬の古内裏』や猫画である。
何を隠そう、
私が若冲や国芳、それに連なる月岡芳年を
好きになったのもこの国芳が描く
可愛らしい猫たちに惹かれたからだった。
以上、
6人のエキセントリックな画人たちを紹介してきた。
安土時代から江戸時代に
決して王道ではなく個性を爆発させた
「奇想」の画家たちは現在、
日本だけでなく海外からも注目されている。
その人気の高騰の一翼を担っているのが
本書『奇想の系譜』であるのは言うまでもない。
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⚫︎目次情報⚫︎
憂世と浮世──岩佐又兵衛
桃山の巨木の痙攣──狩野山雪
幻想の博物誌──伊藤若冲
狂気の里の仙人たち──曽我蕭白
鳥獣悪戯──長沢蘆雪
幕末怪猫変化──歌川国芳
あとがき
新版あとがき
文庫版あとがき
参考文献
図版一覧
年 表
解説(服部幸雄)
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若冲らを世に知らしめた何十年も前の歴史的名著ですが、ちゃんと読んだことはなかった。いま読んでも実に面白かった。
それにしても、若冲、蕭白、蘆雪がいたこの時代の京都に一度行ってみたい!