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紙の本
昔も今も変わらないのは男性の美女好き。いやいや、そうじゃあない、という若者はどちらかというと自信がないだけで結局は美人がいいらしい、まったく男は変わらない
2005/01/01 16:14
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
相変わらず渋めで上品なカバーデザインは、スタジオ・ギブ(川島進)、そのデザインの核になる写真はブルース・デビッドソン。Magnum Photos Tokyo/amana imagesと注が入っている。
「豪華客船〈メガノート〉号、満員のサロンでは恒例のオークションが行われていた。スミス氏が最高値で落札しようかというそのとき、不意に室内が暗くなりはじめ、やがて闇に包まれた。そして銃声が響き渡る。
まもなく非常灯が部屋を照らすとスミス氏は胸を血に染めて倒れていた。ところが検視の結果、スミス氏が銃撃の直前に毒殺されていたことがわかり、謎は混迷を深めることになる。
ボンズ博士をはじめとする4人の心理学者たちがそれぞれに推論を重ねて探偵ぶりを発揮するのだが……。
巻末に「手がかり索引」を付した《オベリスト・シリーズ》第1作!」
ちなみに、この本が最初に出たのが、1932年、シリーズ第二作『鉄路のオベリスト』が1934年、第三作『空路のオベリスト』が1934年で、このことについては、巻末の森英俊の解説に詳しい。
第一章「食わせ物 行動(ビヘイヴィア)」、第二章「フランク・B・ヘイヴィア博士 条件づけ(コンディショニング)」、第三章「マルコム・プレッチス博士 劣等感(インフェリオリティズ)」、第四章「L・リース・ポンズ博士 支配(ドミナンス)」、第五章「ノット・コウ・ミトル教授 中立的立場(ミドル・グラウンディング)」、第六章「犯人 試行錯誤(トライアル・アンド・エラー)、それに「手がかり索引」、森英俊の解説がつく。
被害者は、色々噂の絶えない富豪のヴィクター・ティモシー・スミスと、その娘で美貌のコラリー。この小説では、基本的に人物の年齢が語られることはないが、一応参考に書いておけば、スミス親子の歳の差は35である。そして、コラリーを観光旅行中のノースンスに紹介したのがヤンハズバンドという出張中の若者で、四人は客船の悲劇の現場にいたことになる。
ヘイヴィア博士は行動心理学者、プレッチス博士は精神分析医、ポンズ博士は統合心理学、ミトルは特定の学派に属することを拒む。ちなみに、本に出ている人物紹介には、各々に、評判のよい、流行に敏感な、情熱的な、慎重な態度の、という形容詞がつく。
そして、硬派の上級船員には、マンスフィールド船長、ドレイク副船長、レイン航海士がいる。
この話の面白さは、あくまで4人の心理学者が見せる4者4様の犯人像と、その根拠となる犯人像なのだろうけれど、心理学を一種の文学的ロマンティシズムの発露としか考えない私には、やはり犯罪が見せる不可思議、面妖な様相こそが面白いということになる。その詳細は、本文で読んでもらうのが一番だけれど、この異常な謎にどのように合理的な解決をつけるかは、かなり楽しい。
ま、案外呆気ない部分はあるけれど、上級船員たちの活躍に免じて、許すことにしよう。それにしても、古今東西、美女に弱い男というのはひきもきらないもの、牡という生き物は古、古今東西少しも変わらない、これからも変化というものはないのだろうか。
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