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紙の本
ぬいぐるみって、ゲームなのかなあ。プレイするっていうのとちょっと違うんじゃあないかなあ、でもね「ゲームの終わり/始まり」なんていいです
2004/12/04 19:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
近眼のせいか、遠目で見ていたときは単なる紫色の本だと思っていて、手にしてよく見て気持ちの悪さにゲッっときた。その装幀はCENTRAL67。
収められているのは4つの中篇で、それぞれにサブタイトルがつく。第一話「ぬいのファミリー ぬいぐるみ」というように。早速、その話から紹介しよう。主人公は球磨駿吾教授、外科医である。小説は手術室の場面で幕をあける。彼の手際に感動したのが。研修医である久藤美紀だが、話は教授の息抜き、秘密の生活のことになっていく。
第二話「蛇と梯子 ボードゲーム」の舞台は、かつて日本人がベナレスと呼んでいたインドの聖地、現在の正式名称はヴァーラースィー。ある朝起きたら、息子が猿になっていたという不条理というか無気味な幕開けをする。息子の名前は浩介、小学一年生。妻は千佳子。主人公は私、インド・シルクの生産工場の責任者である。浩介には姉がいて、名前は茜。彼女が言うには、…。
第三話「黄昏時に鬼たちは 隠れ鬼」では、大隈刑事が見ている物騒なシロモノ、ゴミバケツの中の死体で始まる。店舗の共同のゴミ置場に置かれた二つのポリバケツ。死体のポケットに入っていたケータイに電話がかかってきた。電話に出た刑事の耳に飛び込んできたのは、もしもし、オサル?
第四話「ゲームの終わり/始まり テレビゲーム」の舞台というか、始まりは秋葉原。そこで《ホーム・スウィート・ホーム》という歌を思い出しているのがM、主人公である。で、彼が待っているのがレイヴン姫で、落ち合った二人が出向くのが秋葉オタクたちのジャンク・マーケットで、そこで受け取るのがMだけのために作られたゲームである。
さて、私より先にこの本を読み終えた長女は、まあまあかな、読まなくても損しないよ、と仰る。で、今までも何度か彼女の意見と違った乾燥を抱いたことがある私は、ちょっと待てよ、未熟な女子高生の言より、自分の直感を信じるべきでは?と『イチロー革命』に伸びそうになった右手を我が左手で押さえ込み、読むことにしたわけ。
で、結果としては、いつもの山口雅也ほどに冴えや凄さは感じないけれど、十分に面白いぞとは思うのである。とくに「ぬいのファミリー ぬいぐるみ」と「ゲームの終わり/始まり テレビゲーム」に関しては、映像にすればかなりいけるぞ、と思う。その次は「黄昏時に鬼たちは 隠れ鬼」、空振りは「蛇と梯子 ボードゲーム」だろうか。
しかしなあ、サブタイトルがすべてゲームであれば、『プレイ』というのも分かるけど、「ぬいぐるみ」って本当にゲームなの? プレイっていうの? 違うんじゃない、と思ってしまうのだ。山口はここのところ、どう思っているのか聞きたいところではある。
紙の本
遊びにハマってさあ大変♪な人たちを描いた、奇妙な味のミステリー
2004/09/25 17:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
遊びをテーマにしたミステリー短編が四つ。ブラックユーモアのスパイスが利いた「奇妙な味」系の作品と言ったらいいだろうか。
遊びの虜になってそこから抜け出せなくなってしまった登場人物たち。妙な方向へと進んでいく話の展開。
ロアルド・ダールの短編に似たスリリングな話の妙味があって、面白かった。
「ぬいのファミリー」……ぬいぐるみをモチーフに、ある人物の奇妙な習癖が徐々に姿を現してくる。狂気の素顔が剥き出しになっていく過程に、ぞくりとさせられた。
「蛇と梯子」……仕事の都合でインドで暮らすことになった家族に、災厄が降りかかる話。作中で繰り広げられるボードゲームの成り行きがスリリングで、どうなるどうなる?と、わくわくさせられた。集中、一番面白かった作品がこれ。
「黄昏時に鬼たちは」……ネットで知り合った引きこもりの人物たちが、隠れ鬼の遊びをしている最中に起きた殺人事件。犯人はだれか? あっ と騙される驚きと、げっ!というブラックな怖さ。決してないとは言い切れないのでは、そう思った自分も怖い。
「ゲームの終わり/始まり」……テレビゲーム・オタクの中学生が、リアル感満点のゲームで、家族への鬱憤を晴らそうとする話。現実と虚構がない交ぜになり、どっちがどっちだか分からなくなってくるサスペンスの味わい。《ホーム・スウィート・ホミサイド》というゲーム名に、同じタイトルの海外ミステリーを思い出して、くすりとさせられた。話の雰囲気は、でも、全然違うんだけれど。
ゲーム(遊び)にハマった登場人物を通して、現代社会に生きる個人の疎外感があぶり出されていく感触もある。
趣向の利いたホラー風味のミステリー作品集として、予想以上に楽しむことができた一冊。
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