紙の本
はじめに——小説愛好者のためのライトノベル攻略ガイド
2004/11/24 15:25
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投稿者:大森望 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ふだんまったく縁のない人がいきなり新刊書店の平台に並ぶライトノベルの山を見たら、なんじゃこれはと仰天するのも無理はないが、現在のライトノベルはなにも一夜にして誕生したわけじゃない。ここに至るまでの流れをざっと振り返ってみれば、年配の読者は今のライトノベルがもっと理解しやすくなるだろうし、若い現役読者は未知の事実をいろいろと発見できるかもしれない。
そこで本書では、草創期からのライトノベル史を対談で概観しつつ、時代を画した個々の作品についてはブックガイドで詳しく紹介するという二部構成を採用した。ま、「対談と書評で読むライトノベル30年史」ってことですね。
ブックガイドのパートでは、ライトノベルの代表作100タイトル(冊数にすると軽く1000冊を超える)をふたりで選び、大森と三村が分担して紹介した(内訳は、大森担当が43本、三村担当が57本)。
当初はライトノベル史的に重要な作品(ミリオンセラーを記録した人気シリーズ)すべてを網羅する予定だったが、人間のやれることには限界がある。それに、自分たちが面白いとは思えないものをお義理で紹介するのも失礼な話なので、作業の途中から、どうしても紹介したいものを優先する方針に転換した。
その結果、約4分の1は、一般的な《ライトノベルこの100冊》にはまず入らないないものが占めることになった。「なんでこんなものが?」と目を疑う作品が入ってたり、往年の大ヒット作が落ちたりしますが、まあそこは著者たちのライトノベル観の反映ということで。
ガイドの内容も、この種の本にありがちなあたりさわりのない内容紹介は避け、なるべく主観的な判断を下すよう心がけたうえで、文章、キャラクター、世界観、オリジナリティー(作家性)、物語性の五つの尺度から5段階で評価した。ライトノベル度判定は、後掲の「ライトノベル度診断表」に基づいて採点したもの。
また、巻末の作家一覧には、ブックガイドで作品を扱わなかった作家も収録し、簡易版のライトノベル作家ガイドとなるよう、生年、受賞歴、デビュー作、代表作などのデータを添えた。
というわけで、コンパクトな一冊ながら、ライトノベルの歴史と現状はほぼ概観できると思う。
ライトノベル読書のお役に立てばさいわいです。(本書「はじめに」の一部を抜粋・要約しました)
■著者紹介
大森望
1961年生まれ。SF翻訳家、評論家。訳書にコニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』など多数、編訳書にシオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』、共著に『文学賞メッタ斬り!』など。
三村美衣
1962年生まれ。書評家。〈ハヤカワ ハィ!〉〈LOGOUT〉〈SFマガジン〉〈活字倶楽部〉〈毎日中学生新聞〉〈本の雑誌増刊 おすすめ文庫王国〉などの媒体で、ライトノベル草創期から新刊時評を担当。
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正月からこの本読んでる私って一体。というのはともかく、カテゴリはまあ、ライトノベルだろう。うん(笑)。
って、それはともかく、アレですね。年寄りのラノベ読み向けの本つーか。わたしなんかは意外に頷ける意見も多々あり。特に大森氏の意見。三村氏の方は…うーん…どうかな? 今イチ趣味が合わない感じもします。ということで、そういう感じで読むべき本じゃないか、と。これを参考にラノベ読むって人は一定以上の年齢必須。多分。
まあ、でも今まで気になってたけどどうかなあ、なんて本を、見つけたら読んでみっかー、みたいに思ったやつもあったので、それは収穫かも。
しかし、誤植かうっかり間違いか判らないけど、固有名詞が時々違うのは再版からは治るのだろーか。アザリー→アザリンとかアレクラスト→アレクライトとか。
[2005/01/01読了]
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表紙がラノベ風でかわいいね。バイオリンを抱えた女の子。
内容はライトノベルの歴史変遷、代表的作品100数作の紹介。
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ライトノベルについての本。ダーティーペアとか新井素子とかそんな時代の本から始まっているのが好印象。ちょっと昔の本が多めです。無責任シリーズについても言及されている本。
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対談とレビュー。少女小説もライトノベルに含めて書かれているので、少女小説を読んでた人間として、嬉しい。
レビューを見ていると、ライトノベルってホントにたくさん出版されてるんだなーって思う。
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正直にいうと前半部分がほとんど分からず下の脚注を読みながらだったので長かったけど、会話自体は楽しく、面白そうなライトノベルを知れたので満足。今度探してみます。
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ジュブナイルとか、SFって、要するにラノベだったんですね。ラノベが読めないというお父さんに読ませたい。
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卒論対策として再読する。読みやすくていいです。思い入れのない大森さん、思い入れのある三村さんのバランスは絶妙です。この分野の創成期のコバルト、ソノラマを中高生のころ何冊か読んだことがあります。氷室さん、高千穂さんの本も読んでいます。しかし、途中で投げ出した記憶があります。では、ハードSFを読んだわけではありません。つまり、僕には、小説自体読む趣味がないのでしょう。気になったのは、「あかほりさとる」です。この人は、何者なんでしょう。
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完全に知っている人のための本
今となっては話題にもならないものが大量に出てくる
本文下の注釈はそのための親切心なんだろうけどページがずれてるからイライラさせられた
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ラノベに、特に90年代以前のファンタジーものについてはほとんど知識がないので為になります。オタ二人による個人の感情が多分に入っている解説が、正確さはともかく生々しくて面白い。こうして時系列でみると、ラノベってやはり若者の時代性を大きく反映させてると実感。発行が04年なのだけど、はたしてここから10年でラノベはどれだけ自身を更新できたのか?については、本書中でも言及されてる新城カズマがどうやらリサーチ中らしいので、本書の内容を忘れないうちに出してもらいたい。
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ライトノベルガイドブックとして俯瞰視したものというよりは、SF畑の2人によるライトノベル(とその周辺)の雑記といった感じ。しかし所謂若者向け娯楽小説の流れや流行がわかり、今後とも重宝しそうな1冊。読みたい本が増えてしまう~
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SFやライトノベルにくわしい著者二人がライトノベルの歴史を振り返る対談と、100シリーズに及ぶブック・ガイドが収められています。
本書が刊行されたのは2004年ですが、谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』(角川スニーカー文庫)、おかゆまさき『撲殺天使ドクロちゃん』(電撃文庫)などが登場し現在に至るライトノベルの流れが完全に確立された直後ということで、かなりタイムリーな出版時期だったのではないでしょうか。
ライトノベルの前史から90年代に至るまでの情報が簡潔にまとめられており、刊行から15年が経った現在の読者にとってライトノベルの歴史を知るためにも便利な手引きとして使えます。水野良『ロードス島戦記』(角川スニーカー文庫)、神坂一『スレイヤーズ!』、秋田禎信『魔術師オーフェンはぐれ旅』(ともに富士見ファンタジア文庫)など、ファンタジー全盛期のあと、90年代の半ばにファンタジーの衰退期があり、その後(『エヴァンゲリオン』やkeyの美少女ゲームの流行などを取り入れつつ)、ライトノベルの世界でまったく新しい文体を開拓した上遠野浩平『ブギーポップは笑わない』(電撃文庫)以降、「電撃文庫」がライトノベルのスターダムにのしあがって「セカイ系」と「萌え」の全盛に至る、という流れが明瞭に見通すことができます。