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この頃本屋でよく平積みにされてる作家さんなので。
図書館で借りて見ました。表紙かっこいいですねえ。
途中まではものすっごい面白かった!ぐんぐんと物語に引き込まれて行き、色々な伏線がどのように終結するのか、と期待感がいやがおうにも高まります。ただちょっと終結がなあ… 生意気を言うようですが財団なら財団だけで、トルコとアルメニアならその歴史と対立で、ボスニア・クロアチアの問題ならそれだけで、もしくは武器商人との対決のお話ならそれだけで一冊にして欲しかった。それぞれもっと掘り下げたお話を読んでみたいなあ、なんて思いました。
トルコの歴史とアルメニアの歴史。旧ユーゴやソ連崩壊後の独立諸国の歴史。全然知らないなあ、と恥ずかしく思いました。今度きちんと調べよう。さまざまな歴史的事実があり、それをどちらの立場にたってみるのか。それだけで物の見方がまるっきり正反対になってしまう。不幸の連鎖と言うか。大学時代パレスチナ問題を扱った講義を受けたことがあるので自分はどうしてもパレスチナ寄りの立場になりますが民族と宗教、歴史と現在はどれも切っても切れない関係になるのだと思います。
民族や歴史、自己のアイデンティティを意識するのは自分と違う文化に接したときが殆どだろうなあ。自分と違う慣習・文化・宗教を受け入れることが出来るのか。その一言にかかっているとは思います。日本も将来移民が増えて単一民族なんていってられない状況になったとき私はどう思うのだろうか?容認できるのだろうか?他民族の日本での繁栄をねたむことなく受け入れることが出来るのか?
そう考えると重い問題だとは思います。
勿論、受け入れることの出来る自分でありたいとは思っていますけれども