紙の本
セックスのことを笑われるのではないかとびくついているヒマがあるなら…、
2005/09/18 08:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
美術の専門学校に通う19歳のオレは、通学先の美術講師ユリとつき合っている。ユリは39歳で50代の夫がいる。そんなオレの危うい日々を描いた恋愛小説。
一連の報道によると二十歳前後の若い作家が最近様々な文学賞レースをにぎわせているということです。彼らは等身大の恋愛模様を、若者特有のケータイ・メール的ともいうべき感覚的かつ短い文体で描いてみせるのが共通した特徴です。本書「人のセックスを笑うな」はまさに今の出版界を席巻している作風を持つ作品のひとつといえます。
そして私はこの作品に大いに失望させられました。
細切れの文体は、私の目にはとても幼く、深みのかけらもないものに映ります。「オレ」という一人称で綴られる物語ですから、いやがおうにもこの青年の目線で世の中や友人やそして恋愛対象のユリを見ることになりますが、その物の見方の浅薄さにげんなりとさせられます。
この物語でユリという女性は主人公のオレにとっては恋愛の対象というよりもセックスのはけ口でしかなく、彼女を失った上でもなお彼はそのことに気づくことなく、メソメソシクシクしているばかりです。
主人公は「オレはユリとつき合って、絵だって、セックスだって、ぜんぜん上手くなっていない」(43頁)と苛立ちの言葉を口にします。物語を通じて彼は、自分のセックスの巧拙に拘泥し続けます。そもそもタイトルにも、セックスの技巧に関する他人の評価を気に病む主人公の心が反映されていますが、なぜそこまでこだわるのかと訝しく思うばかりです。
主人公のセックスを笑う気は毫もありませんが、笑われるのではないかと気にかけてばかりいる主人公の心そのものは私にとって失笑の対象でした。
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このタイトルを見たとき、心の中の自分でも気付かぬ部分を耳掻きでくすぐられたような気分になった。それに加えてこの人を食ったようなペンネーム。小学生でもいまどきあだ名にも使わないようなベタな名前をあえて使うところに底知れないセンスを感じた。19才のオレと39才のユリの恋愛物語なのだが、表現方法が斬新なのに嫌味っぽくなく、わかりやすい。特に主人公の描写は女性が書いたとは思えないほどリアルで共感できた。読んでいて心地よく、そして少し切ない一冊。ページ数が少ないので一気に読んでしまった。
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「奇跡も・・・」と対称。
電車中でカバー無しで読むには勇気がいる。センセーショナルなタイトルと桁外れなペンネーム。中味とのギャップがまた魅力か。買うのも本棚に飾るのもチョイうつむき加減に・・・。
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第132回芥川賞候補作。
第41回文藝賞受賞作。
題名から受けるイメージとは違って、とても切ない物語です。
いっきに読んでしまいました。
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Older woman, younger man. Doesn't dig all that deep, though.
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友達に貸したら、『内容ないくせにあるように見せかけてる』と言われて大ショック。
確かに一見してないようないんですが、読むうちに吸い込まれていきます。
ゆりちゃんという美術系専門学校教師とお洒落な名前の主人公の恋愛小説。
・・・って言ったら聞こえがいいですが、これはゆりちゃんの一方的な火遊び→終結。っていう感じもします。
主人公が考えることが伝わるっていう感じではなくて結局何が言いたいのかわたしにも分かりませんでしたが何回も読めば読むほど味が出るような作品です。
一緒に文藝賞受賞した『野ブタ』よりわたしはこっちを押します。
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内容:専門学校の生徒と先生の恋愛もの、ぐらいでいいのか?
感想:透明感のある文章は嫌いじゃない。が『スプートニクの恋人』を思い出させる空っぽ感。売れてる理由の半分はタイトルとペンネームでしょ、って感じ。
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ちょっと、せつないです。
作者の名前も作品のタイトルもインパクトが強いですが、読んでみると内容はすごく淡々としています。
妻ブキくんが、主人公の役とかやったら、きっとはまるだろうなぁ。
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タイトルと筆者の名前でおお?と思うけれど、内容はいたってさっぱりとした恋愛小説。ホントにさらりとしてて、ちょっとつかみ所がなかったかも。
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美術の専門学校に通う19歳の青年と40手前の女性講師との恋愛。ヒロインの夫や主人公の友人など含みを持たせた登場人物はたくさんいるが誰にも共感できず、心に残るエピソードも全くなかった。文章はうまい。ペンネームが一番面白かったかも。
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磯貝みるめ君とサユリさんの、
古いごわごわしたセーターの匂いみたいな物語に
息が出来ないような気持ちになる。
そしてまた、心打たれながら電車に揺られる。
電車でゆきついた先は私を閉じ込める場所。
あっぷあっぷと溺れそうになりながら、
磯貝君とユリちゃんで、息を継ぐ。
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なおコーラ。
タイトルも著者名もなんか気に食わないけれど、センスは認める。すごくいいと思う。飴のような小説だと本人はコメントしていたけれど、確かにそうだ。
後に残るものがない。お腹にたまらない。
ただ、味だけ、なんとなく思い出す。
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「本やで立ち読みできる作品」という、唸るようなほめ言葉の置かれた短編。タイトルと作者名に惹かれて手にする人が多いと思うが、内容はどシリアスだ。すーっと煙のように人妻ゆりちゃんとの恋は始まり、彼女の旦那さんと一緒にも会って、そして彼女はまた彼の前からすーっと消えてしまう。何度連絡を取ろうとしても、繋がらないまま切なく。
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タイトルは強烈なんだけど、
それに反して綴られる言葉は詩的で繊細で
つらつらと読みやすかった。
おおげさでなく、世界は光ってる?と錯覚するような
あたりまえな日常の描写がきれい。
美術系専門学生19歳のオレと、
その学校で講師をしている39歳のユリ。
去ってしまったユリちゃんを
オレが回想するところからものがたりは始まる。
不倫の恋の話だけども、ほんのり切ない。
タイトルの意味は、最後にわかります。
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1ページ目
「カサカサになって破れかけた唇が‐‐それが不快の
ような、ある種快感のような。‐‐マフラーに唇を擦り付けた」が気に入って
そこからは食い入るように読んでしまった。