紙の本
ときめきを忘れそうなあなたに・・・!
2007/12/11 20:05
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
19歳の専門学校生オレと39歳の美術教師ユリの歳の離れたふたりの危うい恋を綴った恋愛短編小説。第41回文藝賞を受賞している。小説の題名から受けた印象と読後感がまったく異なる小説だ。セックスの過激な描写などひとつもない。
読み終えて、まず思うことは、男女の縁の不思議さ。 19歳のオレは、美人でもなく、スタイルも良くなく、美術教師でもあるのに才能も無く、家事も料理も下手なユリをこのうえもなく愛し、セックスを真剣に求めている。同年代の魅力的なえんちゃんという女の子を振ってまで、20歳も年上のユリを愛しているという不思議さ。
そして、心に残ったのが、19歳のオレの感慨。
「新しく好きな人ができたら楽になるのだろう、とも思うが、若いオレにはいつかはできるだろうことは予想できても、今はまったく、他の誰かを好きになれる能力が自分にあるような気がしない。 ーー途中略ーー 考えているうちに「いや、違う」と、思い始めた。寂しさというものは、ユリにも、他の女の子にも、埋めてもらうようなものじゃない。無理に解消しようとしないで、じっと抱きかかえて過ごしていこう。
この寂しさやストレスはかわいがってお供にする。一生ついてきたっていいよ。」
恋は、誰にも埋めようのない「寂しさ」や「孤独感」を一瞬忘れさせてくれる。そして、恋から醒めたとき、その「寂しさ」や「孤独感」が一層深まって押し寄せてくる。人を愛し続けるということは、自分の孤独感と向き合うことではないかと思う。この「寂しさ」や「孤独感」は、彼(彼女)がくれたものと思って、一生抱きしめてゆくという覚悟がないと人を愛し続けることはできないのではないだろうか。
19歳のオレの「この寂しさやストレスはかわいがってお供にする。一生ついてきたっていいよ。」という感慨がひどく切なく、また、いとおしく感じられた。 小一時間ほどで読める恋愛短編小説、ときめきを忘れそうなあなたにお薦めの一冊です。
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このタイトルを見たとき、心の中の自分でも気付かぬ部分を耳掻きでくすぐられたような気分になった。それに加えてこの人を食ったようなペンネーム。小学生でもいまどきあだ名にも使わないようなベタな名前をあえて使うところに底知れないセンスを感じた。19才のオレと39才のユリの恋愛物語なのだが、表現方法が斬新なのに嫌味っぽくなく、わかりやすい。特に主人公の描写は女性が書いたとは思えないほどリアルで共感できた。読んでいて心地よく、そして少し切ない一冊。ページ数が少ないので一気に読んでしまった。
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「奇跡も・・・」と対称。
電車中でカバー無しで読むには勇気がいる。センセーショナルなタイトルと桁外れなペンネーム。中味とのギャップがまた魅力か。買うのも本棚に飾るのもチョイうつむき加減に・・・。
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第132回芥川賞候補作。
第41回文藝賞受賞作。
題名から受けるイメージとは違って、とても切ない物語です。
いっきに読んでしまいました。
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Older woman, younger man. Doesn't dig all that deep, though.
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友達に貸したら、『内容ないくせにあるように見せかけてる』と言われて大ショック。
確かに一見してないようないんですが、読むうちに吸い込まれていきます。
ゆりちゃんという美術系専門学校教師とお洒落な名前の主人公の恋愛小説。
・・・って言ったら聞こえがいいですが、これはゆりちゃんの一方的な火遊び→終結。っていう感じもします。
主人公が考えることが伝わるっていう感じではなくて結局何が言いたいのかわたしにも分かりませんでしたが何回も読めば読むほど味が出るような作品です。
一緒に文藝賞受賞した『野ブタ』よりわたしはこっちを押します。
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内容:専門学校の生徒と先生の恋愛もの、ぐらいでいいのか?
感想:透明感のある文章は嫌いじゃない。が『スプートニクの恋人』を思い出させる空っぽ感。売れてる理由の半分はタイトルとペンネームでしょ、って感じ。
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ちょっと、せつないです。
作者の名前も作品のタイトルもインパクトが強いですが、読んでみると内容はすごく淡々としています。
妻ブキくんが、主人公の役とかやったら、きっとはまるだろうなぁ。
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タイトルと筆者の名前でおお?と思うけれど、内容はいたってさっぱりとした恋愛小説。ホントにさらりとしてて、ちょっとつかみ所がなかったかも。
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美術の専門学校に通う19歳の青年と40手前の女性講師との恋愛。ヒロインの夫や主人公の友人など含みを持たせた登場人物はたくさんいるが誰にも共感できず、心に残るエピソードも全くなかった。文章はうまい。ペンネームが一番面白かったかも。
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磯貝みるめ君とサユリさんの、
古いごわごわしたセーターの匂いみたいな物語に
息が出来ないような気持ちになる。
そしてまた、心打たれながら電車に揺られる。
電車でゆきついた先は私を閉じ込める場所。
あっぷあっぷと溺れそうになりながら、
磯貝君とユリちゃんで、息を継ぐ。
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なおコーラ。
タイトルも著者名もなんか気に食わないけれど、センスは認める。すごくいいと思う。飴のような小説だと本人はコメントしていたけれど、確かにそうだ。
後に残るものがない。お腹にたまらない。
ただ、味だけ、なんとなく思い出す。
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「本やで立ち読みできる作品」という、唸るようなほめ言葉の置かれた短編。タイトルと作者名に惹かれて手にする人が多いと思うが、内容はどシリアスだ。すーっと煙のように人妻ゆりちゃんとの恋は始まり、彼女の旦那さんと一緒にも会って、そして彼女はまた彼の前からすーっと消えてしまう。何度連絡を取ろうとしても、繋がらないまま切なく。
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タイトルは強烈なんだけど、
それに反して綴られる言葉は詩的で繊細で
つらつらと読みやすかった。
おおげさでなく、世界は光ってる?と錯覚するような
あたりまえな日常の描写がきれい。
美術系専門学生19歳のオレと、
その学校で講師をしている39歳のユリ。
去ってしまったユリちゃんを
オレが回想するところからものがたりは始まる。
不倫の恋の話だけども、ほんのり切ない。
タイトルの意味は、最後にわかります。
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1ページ目
「カサカサになって破れかけた唇が‐‐それが不快の
ような、ある種快感のような。‐‐マフラーに唇を擦り付けた」が気に入って
そこからは食い入るように読んでしまった。