投稿元:
レビューを見る
わたしの卒論のテーマは「占い」でした。この科学万能の世の中に、どの雑誌見ても必ず占いのコーナーがあり、神社仏閣に行けばついおみくじを買ってしまうのはなぜなんだろう、という疑問が出発点だったのですが、なにぶん参考となる文献が少なく、まして占いについて研究した、参考になりそうな著作がほとんどなくて、悪戦苦闘した記憶が……卒論のデキについては、きかないで下さい(汗)。この本を読んで、「そうそう、こういうことが書きたかったのよ〜!」と叫んでしまいました。もっと早くこの本が出てくれれば……あ、でも、その場合、わたしの卒論は成立しなかったわけか。ははは。
投稿元:
レビューを見る
占いをエントロピーを減少させるための人間の行為と定義づけているのは面白い。
占いそのものは信じていないので、作者がそれぞれの占いを事細かに分類し、ルーツにたどり着こうと言うところが面白かった。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
テレビをつければ「今日のラッキーアイテム」、雑誌を開けば「あなたの運命」―。
合理的、科学的な思惟が支配する時代だというのに、巷では相かわらず数々の「占い」が花ざかりだ。
占いほど、古くから、そして広く見られる人間の営みも少ないだろう。
なぜ人間は占わずにはいられないのか。
私たちは「占い」という行為によって何をしようとしているのか。
その根本的な意味を文化人類学の立場から省察する。
[ 目次 ]
第1章 何から何を占うのか
第2章 占いと科学
第3章 異常性と偶然性
第4章 対立と対句
第5章 相としてとらえる
第6章 占いは何をしているのか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
朝の民放のニュースを見ていると必ず出てくるのが今日の占い。これを見てから通勤、通学する人も多いと思う。モクモク羊も見るときがあり、今日は1位ですといわれると、フムフムと思い、反対に最下位と言われると、当たらぬも何とかと言うからなといって逃げの一手を打つ。
占いと名のつくものは、世にあふれている。書店を見ると占いの本が必ずある。血液型占い、星座占い、夢占い、手相、おみくじなど。それだけ需要がある証拠。著者は、「占いは、世界をある見方で見ようとするのだ」と言っている。例えば、血液型占いを見ると、たった4つの血液型しかないのにそこから何型の人は明るい性格だ、あの血液型は暗い性格だと言う。著書でも述べているが、よく明るい性格、暗い性格と言うのは時代によって評価が分かれている。今では暗い性格はマイナスイメージ一色になっているものの、数十年前の日本では明るいことが必ずしもプラスではなかった。「各血液型の意味づけは恣意的なのだ」と述べているように、血液型占いも1つの都市伝説にしても良いくらいのものだが、それでもしぶとく生き残っている。
占いは何をするためのものなのかという問いに対して、著書はこう述べている。「世界の秩序化である」。さまざまな出来事を偶然ではなく、必要があったから起こったと理解したい人間の心理を満たすためのものとして考えている。「秩序化」するためには、言葉で語られる必要があり、その家庭で「比喩と物語」を用いて、占いを説明する。最近、ビジネス書で良く商品を売るには物語が必要だという。占いは物語をうまく活用してマーケティング活動しているから今の時代に脈々と受け継がれている。占いこそ太古の時代から成功を収めている勝ち組マーケティングとも言える。(少し言いすぎかもしれないが)
著者の専門は文化人類学だ。文化人類学は、よくイメージされるようにアフリカのなんとか族について研究するのみならず、人間について研究する学問。この学問は、既得権益を持つ側からすると歓迎せざる領域だと感じる今日この頃。当たり前と思っていることに疑問を投げかけるのだから、追求される側はたまったものではない。しかし、常識と信じて疑わないことでも、ほんの数十年前までは、当たり前ではなかった事だっていくらでもある。
著者は、占いについて次のようにも言っている。「占いは、人間の行為であるから、積極的で人為的であるのは当然だ」。占いはおいしいところをつまみ食いするのが一番だ。ギャンブルのように熱を上げて、有り金をつぎ込むと危ないからなあ。占いとハサミは使いよう。
投稿元:
レビューを見る
久々に文化人類学の本を読んだから難しかった…けど面白かった。髭のあるモナリザあたりの話に、なるほどーと思った。世界を秩序付ける、という考え方に納得。