紙の本
最初から迫ってくる惨劇に耐えられますか??
2005/06/29 23:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語は福祉施設「星の子学園」の保育士であった美佐江とその教え
子であった稔との異色(?)な夫婦が、焼肉屋で食事をする場面か
ら始まる。さーてどんな物語?と思うやいなや登場した松島アイ子
という女が、彼女もまた「星の子学園」の出身であるというアイ子
が、この物語を引き締めてしまうかの如く読者を引き付ける!!!
世の中には自分達の生活レベルとははるかに異なる世界で生活する
人達がいるという事を再認識する様な物語だ。
ともすると、周囲も自分達と同様の考え方や行動をしていると思っ
てしまいがちであるが、虫の類を踏みつけるかの様に人間を殺す事
が出来る人もいる。またそうする事でしか自分の人生を切り開けな
い人もいるんだ。我々はそういう人達と一緒に生活しているんだ、
という事を改めて認識した。
ストーリーは、非情な描写もあるため表現としては適当ではないが、
とても「軽快」に流れていく。登場人物については丁寧に説明がさ
れているためとても読みやすい。
個人的にはラストに物足りなさを感じたが、この世の中を見つめ直
すという意味ではとても印象的な本でした。
紙の本
人間ってこんなに邪悪なものだろうか?読みながらずっと感じていた…
2005/01/18 20:56
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投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
巷では3部作と呼ばれているみたいだが、私的には他の2作とは根本的に違うような気がする。
たとえば前2作(『グロテスク』、『残虐記』はそれぞれの実話をモチーフにして語られている社会派作品である。
読後人生そのものについて考えることが出来る心に残る作品である。
本作は実話があるのかどうか定かじゃないが、内容的に重過ぎるし救いがなさすぎるのである。
確かにテンポ良く進むのであるが、読後感は決して良くはない。
いや、早く忘れ去りたいと思ったりしたが正直な気持ちである。
あまりにも容赦なく狂気が読者に迫ってくるので読者は身構える隙もない。
少なくとも、もっと普通の環境で生まれ育った人が変わっていく過程を描いて欲しかったと言うのが正直な気持ちである。
アイ子にはほとんど同情の余地はない。
悪意が無意識的に備わりすぎている。
『「アイ子はお母さんの写真もないんだぜ」と言ったのは上級生の男子だった。卒園してからそいつのアパートに行って、火を点けてやったが、大火傷をしながらも生きているって聞いたのは残念だった。火はあたしの大好きな味方だ。火を点けてしまえば何もかもが焼けてなくなる。』(引用)
もちろん、エンターテイメントとして割り切って読めばそこそこ楽しめるであろう。
凄くテンポが良くて登場人物も上手く繋がっている。
しかしながら、はたして読者がそこまで桐野氏の作品に対して切り替えが出来るであろうか。
エンターテイメントとして書くならば、もう少し楽しい話を書いて欲しいな。
個人的な意見であるが、前述したとおり、桐野氏にはもっと人生や世の中を考えさせられる作品を上梓してほしい。
社会派作品として読めば訴えられるものがほとんどなく、物足りないというのが正直な感想である。
本作を読みながら「早く捕まれ〜」とずっと思ってたのは私だけであろうか…
他の読者のご意見を聞きたいと言う点では必読作品と言えるかもしれない。
マイレコ
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桐野夏生のどろどろ系の作品は結構好きだ。大抵、業が深そうな中年の女性が出てくる。この作品もそう。売春宿で生まれた少女がその後、どういう人生をおくるのか。非常に、癖のあるカルマのたまってそうな人がいっぱい出てきて面白いのだが、作者が書き込んでいる登場人物それぞれのキャラクターを活かしきれないような、結末。広げた風呂敷が急激にしぼんでいくような結論はちょっと物足りない。まあ、普通に面白けど。次はこの作品の前に出た「残虐記」でも読もうかと思っている。
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久しぶり、の、桐野夏生作品。OUT以来かな。そこそこに面白かったのだけれど、では結局、どこの部分を言いたかったのか、私にはぼやけてしまってよくわからなかった。自分が突進していく進路に障害物があれば躊躇なく蹴散らかす。そんな奴が近くにいたら恐ろしいが、全くの絵空事としては思えなくなってしまった現代。そのところをよく突いている話だったと思う。でもこの話、かなり映像的なものを意識しているようなので、やっぱり映画化(ドラマ化)を視野に入れて書いたのかな? とちょっと意地悪な目で読んでしまった。
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≪かつて女であった怪物たちへ、そして、
これから怪物になる女たちへ捧ぐ、衝撃の問題作! (帯より)≫
父も、母さえもわからずに娼館で育ったアイ子。戸籍さえなく、学齢になっても学校へやろうと考えてくれる人は誰もいなかった。
そんな彼女が辿った人生の恐ろしく悲しい物語である。
アイ子のしてきたことは 人の心を持たない悪魔のように恐ろしいことには違いないが、人の心を持てないようになってしまったのはアイ子のせいだけではないだろう。
親――特に生物としての繋がりが目に見える母親――の存在を確かに感じることは、人が人として生きてゆく上に欠くべからざるものなのだということを哀しいまでに思わせられる。
アイ子は悪魔のような加害者であると同時に、抵抗する術を持たない捨て猫のような被害者でもあるのだろう。
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桐野夏生を知るきっかけとなった本、近くの図書館でふと眼に止まって。アイ子を渦巻くグロテスクでエロチックな話。
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どうも桐野夏生は人間の嫌な部分をグロテスクに表現するのが好きですね。今回もアイ子を取り巻く女達の荒んだ心をいやな気分になるほどうまく出ていました。さらっと読めていいと思います。
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人はどこまで邪悪になれるのか。
児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と共に焼死した。事件の背景に盗み、殺人、逃亡を繰り返す女、アイ子の姿が見える時、更なる事件が引き起こされる。
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児童養護施設「星の子学園」で保育士をしていた美佐江は元園生のアイ子の放火で死亡する。
アイ子の周りで事件がおきる。どろどろの人間関係を引き連れてアイ子はマイペースで走る。
どうしようもなく醜悪な人生。
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人間の悪の部分をリアルに書く桐野作品。でもこれは悪の理由が本能的すぎてまったく共感できる余地がなかった。もっと心情を詳しく書いて欲しかった。
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一体どこにこんな強い感情がつまってるんだろ。作品自体が、著者のエネルギーの粗末なはけ口になっているようにも読めた。私はアイ子を肯定する。ただ、関わりたくないけどね。
タイトルのつけかたはダントツ好きかも。
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あたしは本の帯に書かれてある言葉にひかれてこの本を買った。でも、その言葉と本の中身がそれ程リンクしているとは思えない。ドロドロした話は好きだけど、簡単に人を殺してしまうところとか・・・その他いろいろ、現実的でない部分が多数あって、本の中に入り込めなかった。物語の進みかたも、たんたんとしていて「ここの場面は別になくてもいいんじゃないの?」というところが多かった気がする。
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桐野夏生の本は全部読んだつもりでいても、結構読み逃しはあるもので・・・
終りのところで、バタバタっとしている感はありますが、全体的に私は好きな作品です。
桐野さんの本を初めて読んだのが、ミロシリーズだったので、“ハードな感じなのに、妙に女性の心理描写がうまい作家だな”と勝手に“桐野夏生=男性”だと思い込んでいたのです。実際は、とても美しい方なのに・・・
それぐらい桐野さんの作品はハードボイルド(?)なモノが多いのですが、この作品は、ややハードレベルです。
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書きたかったのはたぶん「アイ子自身」なのだろうが、ちょっと入り込むには強烈過ぎる。その割にはひとつひとつの殺人に関しては結構さらりと流されているように感じた。
文体やストーリーの流れはとても読みやすくキャラクターの強烈な印象も強くさすが桐野作品だと感じたが最後はちょっとあっけなさ過ぎる終わりのような気が・・・
相対的には割りと楽しめる作品かなという感じで星3つかなぁ。
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人はどこまで邪悪になれるのか。
児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と共に焼死した。事件の背景に盗み、殺人、逃亡を繰り返す女、アイ子の姿が見える時、更なる事件が引き起こされる。