今回は、同じ岩波でもジュニア文庫の角野栄子『ファンタジーが生まれるとき、と読み比べて見た。官と民、国立と私学の対決みたいで、軍配は勿論角野だったね
2005/07/03 21:42
26人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
脇についてはまったく知らない。私がこの本を手にしたのは、ひとえにタイトルと、吉田篤弘・吉田浩美の手になる小奇麗な装幀による。特に、カバーの小豆色を薄くした地色は、何だか私の大好きな小倉アイスを思わせて、おもわず手が伸びる。ちなみに、デザインをしている吉田コンビは、夏目房之介『マンガ学への挑戦 進化する批評地図』(NTT出版2004)でも、同じような選書スタイルの本に上品なカバーをつけている。
脇は1948年生まれ、東大卒で、現在、ノートルダム清心女子大学教授。「岡山子どもの本の会」代表、岡山県子ども読書活動推進会議会長であるという。
私は、いつものことで著者の経歴など気にせずに読み始め、途中から、何でこの人は公立図書館の司書さんみたいに型に嵌った本ばかり薦めるのだろうと思い、あわてて著者略歴に目を通して、ああなるほどな、と得心した。やはり人間にはその年齢や職業、その中での地位といったものから、嫌でも規定されてしまう部分があって、このひともそこから出ることはなかったなあ、という思いである。
斎藤美奈子や大森望、或は豊崎由美、岡野宏文といった反権威、いやむしろ反常識といったほうがいい切れのいい、読んでいて思わず相槌を打ちたくなるようなところがないのも、実は脇が読む立場からではなく、読ませる側から発言をしているからだ。
しかし、カバー折り返しにあるように、脇が現代における読書を、論ずるに難しいと感じることは文句無しに正しい。実際に、電車に乗っている人を見れば、女性の大半はしゃべくりに熱中し、男性は新聞組とおだを上げる組の二つに分かれ、学生は眠っているというのが今の日本で、森博嗣の講演会の言葉を借りれば、「現代日本の読書人口は、精々が30万人」というのが実情なのだ。そのなかで、読書人口が簡単に増えるようならば、出版不況などありえないことになる。
さて、なぜ本を読むことが必要かだが、歴史的に見る限り「立身出世」以外にないし、現在だって基本的にその構図は変わらない。無論、それを餌に国が富むということも同じである。それは「少子化」と基本的に同じところに根を持ち、所謂読者からの発想では決してない。読者というか受け手にとっては、読書であろうがゲームであろうが、結果的に楽しければ何でもいいので、その過程に立身出世を通過しようが、虚無に走ろうが勝手でしょ、ということになる。
私は、ある人のちょっとした発言からその人の全体像を妄想する癖があるけれど、多分、脇にとって教育は受けねばならないものだし、女性は結婚して子どもをもうけたほうがいいし、その数は多い方がよくて、都会に執着するより地方の生活も捨てたものじゃあないし、芸能でいけば歌舞伎は由緒ただしくて、大人が読むなら古典、女性は土俵に上がるべきではなくて、勿論天皇は偉い、はずだ。
だから、今流行りのファンタジーはいけなくて、読むなら昔の絵本、それも絵は稚拙で抽象的なものほど上で、緻密で丁寧な絵などが下の下だそうである。つまり、ある型があって、それ以外はダメ。勿論、ダイジェスト版はアウトといった原典主義。ただし、翻訳はいい。多読などはサイテーで、精読再読再々読こそ読書の王道、うーむ、私と正反対。
そういう型に嵌った読書が大嫌いで、ともかく外に出る時間が無い人にとって、TVほど軽薄ではなくて安価に長時間楽しむことができる読書が今のところ一番しっくり来る、そういう私や夫の姿を見ている娘たちは、勿論、読書を音楽同様に楽しんでいる。学校の成績はよくないけれど学校に行くのが大好きで、無論、部活もやる。それでいい。
ちなみに、同じ岩波から出ている角野栄子『ファンタジーが生まれるとき』を読みながら、角野の自由な生き方、読書の仕方に共感を覚えた。門野は早稲田大学出身。大学でこれほどにものの見方は変わる。
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なぜ読書は必要なのか・・・が分かりやすく書かれていた。とにかくたくさん読めばいいと思っていたので、想像力をはたらかせて読むことの必要性を感じた。
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この本は、絶対オススメです。図書館員はもちろん、親や教育者、いろんな人に読んでもらいたいですね。
私のこの本は、やたら附線がついています(^-^)
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【4/29】ある司書さんのサイトで紹介されてるのが気になって、近所の公共図書館で借りてきた。とっても読みやすい。読書とは、教育とは…かくあるべき。そう思い込んでる人たちにこそ読んでもらいたい一冊。伝承云々の視点は、新たな発見でした。
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この本は、読書の専門家である著者が、大学生に教鞭をとりながら、大学生の読書能力の低下を感じたことから分析し、本来読書がもたらす効果をより有効に発揮させるための正しい・良い読書の仕方について考察なさった本です。
多くの育児書には、「小さい時から本を読んであげましょう」「本をたくさん読ませましょう」などと、多くの本に触れさせることが推奨されています。しかしこの本を読むと、ただ単にたくさんの本に触れさせただけでは読書の効果は発揮されないことがわかります。
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読書は本当に大切か?大切です。
子供の頃に本を読んだからと言って幸せになれるかどうかはわかりませんが、読んでいない人は不幸です。
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本を読むことはなぜいいのか、いい本とは何か、とても分かりやすく解説されています。
なるほどと納得できる部分も多い反面、ほんとにそうなのかなって思ってしまう部分もあって、星5つに届きませんでした。
でもとても参考になる本です、おすすめ。
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「読む力は生きる力」、だとわたしも思う。ただ、だからといって本以外のメディアを否定し、それらをよく知りもせず一顧だにしないのは納得がいかない。こどもたちがマンガを読むこと自体が悪いことだとは決して思わない。著者が本に対して言うように、マンガや映画も「いいもの」を与えることが大切なのだ。しかし、なにがこどもたちにとって「いいもの」なのか。それが問題であり、難しいところなのだ。
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とても参考になりました。
子ども達に本を読んでほしいのは何故なのか、どんな本が子ども達にいいのか。よいヒントを頂きました。
「たくさん読みましょう」と、その量に重きをおきがちな読書指導に対して、著者の「ただ、たくさん読む、というよりは、いいものを想像力を働かせながらじっくりと読む」との言葉は、しっかりと覚えておきたいです。
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読書はなぜ必要か?その問いに答える。
思考力、想像力を培うことが現実の世界を生きていく術となる。
絵本と出会うことは奨励するけど、絵本から本へと移行する時期がうまくいっていない。
そこでただたくさん、とにかく読むこと、
読む力に応じた本を子どもたちに手渡すことができてないこと。
ファンタジーの世界、架空の世界をよりリアリティーのあるものに描いているのが、昔から愛されている児童文学。大人でも読みなれていないと、なかなか読み進めることは難しいのもある。それは文章から想像することに慣れてないからだったりする。
ものすごいよくわかるなぁ。
本がよくて、漫画、映像メディアがダメと本ばかりを奨励しているかのようにも見える。あくまでも、本のみに目を向けたとき、その作品世界があまりにも粗雑な本が多い、『子どもだまし』な本が多いという考えには共感できる。
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想像力は生きていくうえで欠かせないもの。
想像力は読書で養える。
子どもにとってよい本とは、
自分でイメージがつくれるような、読む力を育ててくれる本。
絵は地味めがよい。
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テレビ中心の生活をしてきた者にとって、ズキッと胸が痛くなる話もたくさん。メディアと関わりすぎた子育ての危険さなど、わかってはいたものの、ビデオやテレビに子守りさせていた自分をつくづく反省。でも、読んでみてよかった。娘になんでもいいから本を読めと言ってきたことが間違いかも知れないことなど、知れてよかった。娘の好きな本を尊重しつつ、これからは、私が感動できた、よい物語を薦める勇気も沸いてきた。絵本の読み聞かせでも、なるべく一人読みへの手助けになるような、物語性のあるものを選んでいきたい。
本を読むことによる、メタ認知能力、疑似体験、想像力、そういうものを培うことは、確かな生きる力になるにちがいない。
ついつい子供受けする本や絵本を選んでしまわないように、自分自信も勉強 していかなければ!
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岡山の大学で教鞭をとりながら「岡山こどもの本の会」代表をされている著者が子供になせ本を読むことが必要か、ただ本を読むだけでなく子供の想像力を膨らませたり、生きる力になる本はなにかとかを伝えた本。
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読み聞かせについて「子どもは、本を読んでくれる大人の価値観を、知らず知らずのうちに受け入れていくことになる」
本を読むことについて「肝心なのは、一文字一文字を読むことではなく、言葉をもとに想像力を働かせ、内容を理解し、物語の展開についていくこと」
本のおもしろさに(本の選び方)ついて「読むうちに人物や世界が見えてきて…期待や不安に胸をふるえはじめたとき…先を読まずにはいられなくなり、次々にページをめくっていきます」
さぁ、図書館へ行こう!そんな気持ちになります。読み語りについてのひとつの指針を示してくれました。
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ノートルダム清心女子大教授の脇明子さんが、子どもの読書について書いた本。
今の学生さんたちのなかで、書かれた文章を理解してレポート等を書き上げるだけの能力があるにも関わらず、物語の本を一冊読み通すことのできない人がいるそうです。このことについて、児童期によい本と巡りあってこなかったこと、本の質ではなくただ冊数を読ませる学校での読書指導があったのではないかと指摘されています。
またよい本は、自分で想像力を掻き立てる、物語を自分のなかで描きあげることにより、自分が主人公に同化すると同時に、俯瞰で物語全体を見渡すことができるものだそうです。
話し言葉のレベルでなく書き言葉とレベルの文章、抽象的な物事を理解し表現する能力は、よい物語を読み自分で物語の世界を想像することによって、伸びてゆくのではないかともいわれています。
自分の読書を振り返ってもいえることですが、脇さんがあげているような質のよい本に巡りあえていたらよかったなあと感じます。
今からでも遅くない、例えば「あしながおじさん」「宝島」「くまのテディ・ロビンソン」など、古典的な名作を、ダイジェストでない完訳で読んでみたいです。