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紙の本
やっぱり日本人なら琳派、でしょう。美術館の集客力も凄いですし、やはり時間を越えて現代美術と勝負して、圧倒的な勝ちを収められますもの。それを沢山の図版で心置きなく楽しめます。大型本でないのもいいです
2005/07/09 17:29
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「琳派芸術を大成した画家として知られる尾形光琳(1658〜1716)は、陶芸、蒔絵、染織の工芸分野にも大きな足跡を残した。光琳によって生み出された絵画様式や意匠図案は、江戸時代を通じて人気を博し光琳の弟子たちによって継承され、また工芸意匠としても重用された。本書は、現代にも通じる斬新な光琳の意匠性とその受容の様相を、「光琳デザイン」という新しい視点で通覧する。」
カバー:尾形光琳筆 国宝「紅白図屏風」(部分)MOA美術館蔵。ブックデザイン 吉野愛。
ちなみにカバーにある「現代にも通じる斬新な光琳の意匠性とその受容の様相を、「光琳デザイン」という新しい視点で通覧する。」は、巻頭のMOA美術館のことばによれば「本書の書名は、現代にも通じる斬新な意匠性から「光琳デザイン」と題することにした」とあるように、単に「琳派」のもつデザインの現代性を強調しただけで、とりわけ「新しい視点」などというものはありません。それなら、まだ橋本治『ひらがな日本美術史』のほうが斬新ですから、一応、断っておきます。
目次をみれば、全体の構成が分かりますので書いておけば、序「光琳デザインの展開」のあと、ほぼ本全体の半分を占める図版の部が第一章 光琳、第二章 乾山、第三章 光琳画風の展開、第四章 光琳意匠の再興、という形で続きます。図版の量、見せ方、印刷の質、どれをとっても文句はありません。
次が後半の論考の部分で、「光琳の絵の位相 燕子花のモティーフをめぐって」、「乾山焼の創造へのアプローチ」、「光琳模様の流行と背景」、「京焼における乾山・光琳意匠の継承と復興」、「『光琳百図』について」。そのあとコラム「紅白梅図屏風の科学調査」、「光琳百図とその周辺 雛形本の世界」、「乾山「聖護院窯」 京都大学病院内の発掘調査から」があり、最後に作家略伝、作品一覧で終ります。
図版だけが続く本というのがないせいで、私は第一章 光琳が終って、次は解説がくると思い、第二章 乾山になっても一向に文章が出てこないのに不審の念を抱き、第三章 光琳画風の展開になってやっと、この本の構成に気づくという鈍さで、我ながら自分がいやになったほどです。だから、繰り返しますが、この本は前半 図版、後半 文章と大きく分かれています。
近代美術館で開かれた「琳派」展にも出てこなかった作品が沢山載っていて、それこそ私の全く知らなかった下絵や図案も多くて、ためになりました。論考は様々な人が書いているので、特にどう、とはいえませんが、私が最近興味を持ち始めた焼物、乾山については得るところが多かったです。
ただし、「光琳の絵の位相」については、正直、字数や言葉こそ盛りだくさんだけれど何が言いたいのか全く分からず、論旨の立て方の下手な人だと思って読み、最後に筆者が大学の教授と知って納得しました。次の「乾山焼の創造へのアプローチ」と読み比べて欲しいのです。何が、とは言えないのがもどかしいのですが、机上の論と、実学との差、という感すらあります。
巻末の作家略伝も、知らなかった人の名前が多くためになります。ただし、抱一と基一の作品の関係は、ちょっと奇麗事に過ぎないのではないでしょうか。ここでは師の代筆を行った、と軽く書かれていますが、現在ではそれが抱一の創作態度、あるいは工房的な方針、抱一筆といわれるものの真贋など多くの問題を孕んでいるのは事実なのですから、それについても注くらいはあってもよかった気がします。
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