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紙の本

駄洒落で謎を解明してきた冒険譚も、これにて完結。

2005/02/15 15:57

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ミステリのようでSFのようでホラーのようで学園ラブコメのようで……一体、どのジャンルに分けたらいいのか、なかなかに判別が難しいこのシリーズ。第三弾の本書で、いよいよ学園と古代史の謎が明らかになる。シリーズ完結巻。
 近年の田中啓文作品の特長として、良く言えば言葉遊び、悪く言えば駄洒落の多さがある。無理矢理に漢字をあてたり、読み方や語呂にこじつけたり、その多くは「そんな無茶な」と思わず口に出してしまうようなものだ。しかしながらその言葉遊びが、結局は解決に導いている。万葉集や古今和歌集などに選ばれている歌にも、韻を踏んだり掛詞といった遊びが多いことからも、一種の技法であることは周知の事実だ。たとえ寒い風が吹きそうな駄洒落であっても、やはり認めるべきなのであろう。
 シリーズ最終巻ということもあり、中盤からスピードアップする。前二作を含めてちりばめられた伏線を、片っ端から片付けていく。どちらかというとじれったさを感じたこれまでとは違い、爽快感すら感じるかもしれない。主人公の底無しの大食い同様、テンポが気持ちいいのだ。
 最終巻なので、もちろん学園の謎も解かれる。だが、どうだろう。素直に結末に納得出来たかと問われれば、「否」と答えるしかない。当初からの謎については一応の解決を見るものの、学園自体の謎の解明が中途半端だからだ。無理矢理、結構。こじつけ、結構。せっかく駄洒落で危機を切り抜けてきたのだ。最後まで貫いて欲しかった。

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2009/04/03 21:32

投稿元:ブクログ

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