紙の本
「原典水滸伝」をうわまわるあの天衣無縫の大活劇はすでになくなってきたような気はするが。
2005/02/04 15:20
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投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
第十五巻に引き続き、新たな激動への転換を予見させる踊り場にあって、宋国、梁山泊双方とも軍事力を養いつつにらみ合いの均衡が保たれている。講和工作も虚虚実実のところは滲むが本格化する次巻以降が楽しみだ。宋国中枢を牛耳ってきた影の勢力青蓮寺、その首領袁明に対する梁山泊特殊部隊の作戦が第十五巻の見せ場になっている。宋禁軍の元帥童貫が最強の部隊を率いていよいよ表舞台に現れる。ただし、個々の豪傑たちのエピソードに精彩がなくなった。豪傑たちばかりでなく、宋側にある異色の人物がみなその強烈だった個性が薄らいでいく。なかにあって女真族への浸透工作を任ぜられた愛すべき英雄、武松と李逵の活躍だけが光っているだけだ。梁山泊の大義・替天行道、それは読者をも魅了したものであったが、いまや風化しつつある。
これまで読者を楽しませてくれたところの「原典水滸伝」を下敷きにした英雄豪傑たちの波乱万丈はもはや期待できない。物語は北宋崩壊に向けた歴史的事実に限りなく近づいていくからだ。満州からモンゴル平原を支配する契丹族の中央集権国家・遼。北宋時代に国境侵犯を繰り返す最強の夷敵である。その遼にあって王朝の支配に反目する大部族女真。女真族と連携を深めようとする梁山泊。いよいよ武松と李逵の前に女真族の若者・阿骨打(あくだ)が登場する。大波乱の前兆を見た気がした。
宋国にとっても梁山泊にとっても最大の課題は「外交問題」となって風雲急を告げる。ここで私は興味津々として「原典水滸伝」よりも北宋末の史的事実と比較しながらこの大河小説の帰趨を見つめていきたいと思う。
世界史の年表にはこうある。
1115年:女真族の阿骨打が金を建国
1125年:金、遼を滅ぼす。
1126年:靖康の変、金が北宋を滅ぼす。
武松と李逵とがよしみを通じた若者はやがてこういう人物に成長するのだ。
北方謙三の創作した梁山泊という集団は女真族へと合流して北宋を滅ぼすのであろうか。尊皇攘夷の旗の下に改めて結集し、外敵に立ち向かい北宋と運命を共にするのだろうか。
いやいや北方のロマンはそんなものではないだろう。
視点は変わっても面白さは変わらない。ますます目が離せなくなってくる。
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禁軍の童貫元帥がついに腰を上げる。対する梁山泊は…。公孫勝と燕青が青蓮寺を襲う。男たちの熱い戦いは続く。
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禁軍元帥・童貫がついに出陣!
その鮮やかな用兵に翻弄される史進。
激戦の痛手から立ち直るため、時間をかせぐ必要に迫られた梁山泊は、朝廷に対して和平工作を開始。
愚帝・徽宗を懐柔するため、危険を犯して高俅に接近する間諜・侯健。
青蓮寺の暗殺者・史文恭の魔手がついに済州に食い込み、梁山泊の大黒柱ともいうべき男たちが狙われる!
しかし、公孫勝率いる致死軍も青蓮寺に反撃!
梁山泊・燕青と青蓮寺・洪清との対決は、武侠の世界でしたね(^O^)
そして長らく思い合っていた一丈青・扈三娘と矮脚虎・王英が結婚するも、幸福な時間は?賭けに勝ったのは誰でしょう?w
ニン、トン♪
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19巻にまとめて記載。
http://booklog.jp/users/osamu0919/archives/4087747824
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号泣だった。それぞれの生き様に涙が出てきて仕方がない。「水滸伝」は中国でもいじられること無く、ほぼ原形を保った状態で語りそして描かれている。先日読んだものもそんな感じで面白味などまるで感じない。
正直クライマックスは続編に来るような気もするのだが、やはりこの水滸伝はじわじわと近づいてくる禁軍最高の実力者の童貫との最終決戦であろう。
「女を守れない男だといわれたくない」
ような台詞を扈三娘に吐き己の命と引き換えに散った「林沖」やっぱり一番好きですね。6万の軍に包囲された林沖率いる黒騎兵の旗手であった郁保四と共に散る。
この黒騎兵と遊撃隊の中には重要人物である史進、索超、馬麟、扈三娘、徐寧、そして楊令いた。戦の中心はこの騎馬隊になってくるので、それぞれに思い入れは強いが、北方水滸伝が他の作品と違うのはすべての登場人物がタイトルロールであってそれぞれにドラマがある。
例えば軍の人選に当たっても細かな角度からそれぞれを眺め適材適所に振り分けられる。ただ指示がでてるのではなく、なぜかということまで書かれ読者を納得させてくれる。騎馬隊の華やかさに比べ歩兵の地味さはラグビーで言えばFWのように思える。彼らがいるから戦える。そんな思いを誰もが忘れず戦っているシーンはなんともいえない。本当に泣けるのだ、しかも人物に記憶がないと遡ってまた読んだりとそれを流して前に進むことの出来ない名作に感じる。
武人の物語、文人の物語、女性の物語もあれば、凄いのは職人の物語もある。それぞれに命を懸けた壮大な物語です。男なら読め!といった感じです。まさに北方ワールドの集大成のように感じられます!
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16巻読了
晁蓋を暗殺した史文恭は、柴進と裴宣をも暗殺し町から逃れられると思われていたところに、遂に劉唐が史文恭を見つけ殺害。
もう1つのみどころは、袁明と洪清を公孫勝と燕青が暗殺に成功。特に燕青と洪清との戦いの場面は読みごたえがあった。
残り3巻・・・楽しみだ。
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やっと童貫の戦いがみれて、ドキドキした。まさか袁明が死ぬとわ思わなかった。これからの展開がたのしみだ。
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武力と武力のぶつかりより、こういう頭脳戦みたいな方がドキドキして辛い。
孫ニ娘の旦那さんが2人とも殺されてることになってしまった。結構好きだった紫進も。
阮小七たちが酔っ払った顧大嫂と孫ニ娘に絡まれているシーンが面白かった。
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王英さんの三角関係修羅場おもしろすぎ。愛人関係切らんのかい!って思ったけど、なかなか切れないよねえ。ここがどう決着するのか、興味津々。
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主だった戦が終わり、青蓮寺と致死軍との闘いが激化する。洪清と燕青の体術での闘いはしびれた!宋はいよいよ童貫が出てき、史進が軽くあしらわれる。
あらすじは、柴進が兵站でどのように努力しているか、戦後の武器が不足している状況で、女真から船での武器の輸送を計画する。
青蓮寺と致死軍の闘いは戦後も続いていた。済州に潜り込んだ史文恭は商人を装い、孫二娘に近づき、柴進と裴宣を暗殺する。劉唐が史文恭を見つけ、仇をとる。
青蓮寺は童貫と協議し、今後梁山泊との戦は禁軍が受け持ち、地方軍は街の防衛に力を入れるということで一致した。
史進が童貫の誘いに乗り、童貫軍を襲撃するが、軽くあしらわれ、遂に童貫の実力が明らかになる。
開封府では、青蓮寺と致死軍、飛竜軍の暗闘が行われた。燕青は洪清を倒し、公孫勝が遂に袁明を倒し、青蓮寺の勢いを削ぐことに成功した。
青蓮寺は李富を首領にすることになり、李師師と組んで青蓮寺を率いることになる。