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紙の本
「病は気の持ちようだから」という非科学的な、そして、病気の人を苦しめる言葉はやめましょう。
2010/02/15 12:08
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みどりのひかり - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は
こちらの
「わが家の母はビョーキです」に読みやすくておすすめな本として紹介されていました。
「統合失調症」この本のまえがきに、
「本書は患者さんとそのご家族が、統合失調症を正しく理解し、適切につき合って行くために知っておいてほしいことをまとめました」とあります。
言わば、ご家族と患者さんのための本なのですが、そうでない人も読んでほしいと思います。統合失調症を正しく理解してほしいのです。一般に、この病気に対する誤解、偏見があります。私もそうでした。治らない病気だと思っていました。しかし医学の進歩で少しずつ、この病気の本質的なことが判りつつあります。脳内の物理化学的なことについて、人類はあらたな知識が得られて来ています。
参考
単純な脳、複雑な「私」
※{単純な脳、複雑な「私」}について私“みどりのひかり”の書評があるのですが中味についてあまり詳しく紹介していません。他の方の書評を参考にして下さい。もっと詳しく書いておくべきだったと反省しております。“単純な脳、複雑な「私」”には、脳のことについて、物理、化学、数学、上の発見がたくさんあって、へえぇーというような驚かされるような、あるいは感心させられるようなことが沢山あります。ぜひ読んでみてください。
‐‐‐
それで統合失調症になった人も、今はかなりの割合で安定した生活をおくることができるようになって来ています。これから統合失調症患者の脳内における物理化学的知見もいろいろ得られるようになるでしょうから、やがて近い将来100%治る時代が来るような気がします。
この病気がどのようなものであるか、脳内で何がおこっているかがまず述べられています。
そしてそれによって引き起こされる症状のかずかずに対して、どう対処すべきか、あるいはどの対処法を選択したらよいか、まわりの人は患者さんにどのように接するべきか、あるいはやってはいけないこと、言ってはいけないことはどういうことかなどが、イラスト入りでわかりやすく書かれています。
どんな病気もそうですが医師の人柄によって患者の気持ちは楽になったり、いやな気分になったりします。この本を書かれた先生の言葉は愛情があります。
“何気ないひと言がこころを刺すこともある”という項目のところに周囲の人は「薬に頼るべきではない」「病は気の持ちようだから」といったような不確かな発言は慎むべきです。ということが書かれていました。
まったくこのとおりだと思います。
「病は気から」とか「病は気の持ちようだから」という言葉は病気で苦しんでいる人をさらに精神的に苦しめます。根拠も無いのに。
「病は気から」と発言する人は、気の持ちよう、こころのあり方、精神のあり方が、どのような経路を経てその病気を引き起こしていると考えているのでしょうか。気持ち、こころ、精神、を形成している脳内や体内を流れる微小電流が、身体のどこに、どの臓器に、あるいは何に、どのような物理化学的変化をもたらし、その病気を引き起こしているのかそれの説明は一切なく「病は気から」とか「病は気の持ちようだから」と断言する根拠はどこにあるのでしょうか。ちゃんと途中の一連の物理化学変化を説明できるのでしょうか。私はそれを説明したものに、あるいは説明したかたにお目にかかったことがありません。
確かに、たとえば野球の監督が接戦の試合中、胃が痛くなるということは確かにあります。たぶん、脳で発生する電流が胃の痛みに影響しているのではないか、ということは言えるかも知れませんし、それは正しいかもしれません。(ですが調べたわけではないのでその物理化学的変化の道筋の確かなことは何もわかっておりません。)そして、大事なことは仮にそれが正しいと物理化学的に証明されたとしても、その胃の痛みは長くは続きません。一週間も十日も続くわけではありません。一時的な痛みです。痛みがなくなるのは原因物質(化学反応による生成物)の分散によるもの、あるいは何か他の物質へ分解されたかなどによるでしょう。そこにはエントロピーの増大ということが必ずあります。そこには痛みへの恒久的なエネルギー供給回路はありません。
病気で苦しんでいる人は、何ヶ月も、何年も苦しんでいます。
1日で治る痛みとか、数日で治る病気とは本質的に質が異なります。化学反応の病気の回路が形成され、その回路への恒久的なエネルギーの供給がなされているはずです。
※エントロピーに関する参考書
こちら
と
こちら
脳で発生した体内の電流による化学変化も、分散ということを考えておかなくてはいけませんし、エネルギーの収支、エネルギーの保存の法則も頭にいれておかなくてはいけません。この世界は、この宇宙は、体内であれ体外であれ、熱力学の第一法則と第二法則は常に成り立っています。
「病は気から」という言葉はこの二つの法則を共に無視しております。言わばあなたが病気になったのは「あなたの家のお墓の位置が悪いから」といった理由づけと変りません。
かつて、ピロリ菌が胃潰瘍の原因と発見されるまでは、胃潰瘍はまさに「病は気から」の典型的な病気のように言われていました。でもそんなことを信用せず、物理化学的反応を頭に入れてその原因を突き止めようとしていた研究者もいました。医師や研究者がみんな「病は気から」と考えていたらピロリ菌の発見は無かったでしょう。
脳で消費されているエネルギーは1日に約400キロカロリーです。仕事率で言えば約20ワット。カロリーで表現すれば4.63[cal/秒]です。このうち何割が基礎代謝をコントロールするためのエネルギーとして使われているか私は知りませんが、20ワットがまるまる思考のために使われているわけでは無いでしょう。
これについてあまり詳しく書いていくと書評の域を脱してしまうのでやめますが、「病は気から」という前に、その言葉が根拠のないことだということを熱力学の第一法則と第二法則にかんがみて考えてほしいと思っております。
「病は気から」ということは「あなたの精神の持ち方が悪いから」、つまりあなたは「自分の考え方をうまくコントロールできない人」、言わばあなたは「ばかだから病気になる」と言っているに等しい。
だから、病気の人は只でさえ病気で苦しんでいるのに、さらにこの言葉に追い討ちをかけられるのです。病気自体よりももっとこの言葉に苦しめられるのです。
この本の著者はそのことへの反省を人々に喚起しているのでしょう。
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