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紙の本

未来の見える脱米入亜の提案

2005/08/05 15:45

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栄助 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書には、戦後日本がアメリカ依存を形成する過程、このまま依存を続ける危険性と打開策が示されている。
著者は穏健に「依存」と表現しているが、読めば実態はそんなに生易しくない。さしずめ、「従属経済」とか「屈服経済」の方が的確ではないだろうか。なにせ、日本は真っ当に働いて「安くていいもの」をつくって、アメリカに輸出して得た利益を、ドル買いでアメリカに献上している。工業製品を売る代わりに農業製品を買い、国民の生命・健康にかかわる食料自給を放棄している。現在は、金融・株式を手放し、国民をアメリカの投資家・株主のために働かそうとしている。
本書は、とくに金融に関する日本の従属ぶりを十分に知ることができるので、ところどころ首をかしげる部分もあるが、満足だった。

なぜ、アメリカ依存の経済になったのか。高度経済成長が完了した70年代、日本が「健全な」成長を目指すなら、高福祉・高賃金による内需拡大とアジア共同体による外需拡大という選択肢があったのに、さらなる公共事業による内需とアメリカへの輸出による外需の拡大で切り抜けようとした、と著者は語る。
日本がそのアメリカ依存を選んでしまったのには、冷戦構造による西側陣営の分業と日本が日米安保条約によってその体制に組み込まれたからに他ならない。分業とは、アメリカがソ連との軍事的対抗のため、軍事、IT、バイオ技術などに特化し、日本とドイツが消費財を生産して補完するというものだという。
この部分で著者は、冷戦構造のなかでは、憲法9条による「非武装中立」は不可能だったのではないか、という立場のようだ。専門的な検討も必要だが、確かに、「西側」に立つなら不可能だったろう。しかし、「非同盟」による「中立」なら、あり得たと思う。実際、非同盟諸国は国連加盟国の3分の2存在している。
そして、安保によって日本は「守られている」のではなく、軍事・外交政策と国土という主権の重要部分を押さえられている、と表現したほうが適切だろう。たとえば、公共事業についても、90年代の「無駄遣い」大型開発は、アメリカの要求ではじめたというのは有名だ。郵政民営化もアメリカの要求だった。このように、日本はアメリカに政治的に従属し、財政も金融政策も立てている。

アメリカが赤字を出し続けても何とかなるのは、ドルが基軸通貨だからに他ならない。それでも、このままではどこかで破綻するのは目に見えている。実際に、イラクのようにドルによる取引を拒否する動きも起こってくる。
日本は、ドル体制を支えるために、利益を放出してドルを買い支えるばかりか、イラク戦争のような軍事行動にも巻き込まれようとしていると著者は警告する。エネルギー政策もアメリカ追随から、環境破壊の石油依存と危険な原子力政策からも脱却できない。
現実の国際情勢を見れば、ユーロが新たな基軸通貨として機能しだし、アメリカのお膝元、中南米にもベネズエラのようにドルを拒否し、しかもアメリカの干渉でも潰れない国が現れ、日本に次いでドルを支えていた中国が通貨バスケット制の研究をはじめ、ドルとの直接リンクを外すかもしれない事態になっている。このままでは、アメリカと心中することになりかねない。

著者は、EUとドイツの関係を例にあげて、日本も「脱米入亜」を果たすべきだと論じている。
著者のEUへの評価やアジア共同体形成のステップには疑問点もあるが、紆余曲折はあっても、やはり日本はアジアの一員として地域に経済貢献しながら自らも発展する道を選ぶべきだろう。そして、そのためにはドイツのように、侵略の歴史にどう向き合い、アジアの安全保障を築くのかが重要になることも指摘している。
アメリカにとっても、日本が「従属」から「友好」へ関係を修正することが、破綻への道を切り替えるきっかけになるかもしれない。

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