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「彼を知りて己を知れば、百戦してあやうからず」と『孫子』(謀攻篇三)に書かれていますが、この本はそれをまさに地でいく感じの本です。これは、第二次大戦中に日本についてよくわからないアメリカ政府が日本について調べるために文化人類学者であったルース・ベネディクト(1887-1948)に調査を依頼し、その結果をまとめたのがこの本です。作者は生涯を通じて日本へ行ったことはありませんでしたが、日本に関する文献を熟読や日系移民の話などをもとに日本文化について詳細に調べ上げました。この本は文化人類学史上の日本文化論であり、とても日本に行ったことのない人間が書いたとは思えないくらいみごとに考察していると思います。出版されて60年近く経ちますが、その価値は今も失われていない名著の1冊だと思います。それと余談ですが、『忠臣蔵』をここまで理屈っぽく解明した本は後にも先にもきっとこの本くらいでしょう。
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日本人なら読んでおけ
といいつつまだ読み差しなんですが(死)
注釈も読むのをおすすめします。原書は未読。
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戦中戦後、アメリカ人ルーズ・ベネディクトは、日本人の恩や忠・孝・義理をどのように解釈したのか・・・。
西洋の「罪」に対する日本の「恥」文化の比較など、興味深いです。まぁ現代では日本人の羞恥心もほとんど消滅しつつありますが。
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大戦当時、日本研究のために研究され書かれた一冊。
驚くべきはこれだけの内容を現地に来たことも無く、聞き込みのみでかきあげたということ。
作者の分析力に脱帽である。
外国人という視点から、日本人の行動・思考の傾向を語っているため私たちにとっても新たな気づきがおおい。
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おもしろい。
しばらく本から遠ざかった生活をしていて一発目でこんな当りを引くとは嬉しい限り。
ところどころ大げさな解釈があるものの(例えば義理について「嫌々ながら」を強調しすぎている)、
驚くほど日本人の性質、生活を浮き彫りにしていると思う。
これは半世紀を経た今だからこそ正当に評価出来るとも思う。
是非日本人にこそ読んで欲しい一冊。
これほど優れた考察が出来るのは、
作者の他民族、他文化の理解への姿勢によるところが大きいと思う。
アメリカ人でありながら、優越意識のない著者のありようが反映されているように思われる。
だからこそ、日本人として素直にこの本の論じるところを受け止められるのである。
学術論文を読むと、独りよがりな論調やこじつけ、意味のない迂遠な表現などが見られて不快になることもあるが、
本書は先入観や予断なくテーマと相対する純粋な学究の内容であり、読者を引き込む。
同時収録されている解説の論評と比較するといかに優れているかがわかる。
別訳と比較して購入できれば尚よかったと思う。
印象に残るのは、刀と錆の関係、これは今では日本にあまり残らない認識であると思う。
あとは修練について(多少誤解がある)
特に軍隊、教育などにおける上級生によるゆえ無きいじめをなくせば
この国の精神のありようが変わるという考察がすごいと思えた。
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これが米国の日本研究ですか…
なるほど、と思う面もありましたがやっぱり納得のいかないところの方が多かったですw
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これも、野尻湖で読もうと持ち込んだ一冊
たまには、こういう人文学系もイイですね
奇麗な日本語に触れられる
ありそでなさそな「ニホン」
というアイデンティティ
レキシ的にもそれほど
「ニホンとは」的ギロンって少ないのでは
ソトを見ることが少ないからかナ
で、ソトから見たニホン
これが良く観察されている
(これを異国の地で行ったというから驚き)
ニホン社会の基本を
関係性(「位置」の社会学とでも言いましょうか)
に見いだした点がひじょーに興味深いし説得力がある
人と人がふさわしい「位置」にいること
その「位置」の構成単位が家族であり、2〜3世代の家系であり、ムラであり
、主従関係であったり、そして明治以降、その頂点に「天皇」が据えられて
その「位置」間で作用するのが「恩」や「義務」、『義理」
作用する要素が不十分だったり不具合が生じると
位置関係において「恥」が生じるワケで
その恥や汚名を注ぐ活動が起きる
(ハラキリだったり、仇討ちだったり)
その構造をベネディクトは
アメリカにおける経済関係をベースにした社会と比較して
自国向けに説明してる
「お金を借りると、利子を付けて返すでしょう?
ニホンジンは恩を受けると、それを「返す」んですヨ
ソシテ 天皇・親から受けた恩の負債『忠」・「孝」は限リ無シなんでス
マタ その他に受けた「義理」は、等しい量だけ返すんでス」
「ニホンは大東亜において、「尊敬される国」という位置を真剣に求めたのデス
ダケドそんな「位置」のフレームワークは他国にとって普通じゃナイことに気づかなかったのデス
敗戦したニホンは今度は「尊敬される」敗戦国として、私たちガイジンからは信じられないくらいに行動を変えたのデス」
ニホンジンにとって
こういうマクロなしくみを考えるのは苦手なので
このおっきなフレームは参考になル
のび太のくせに生意気だ
今のニホンにも
「位置」の構造はソンゾクしてる
その位置と位置をつなぐリキガクが
つまり恩とか義理とか恥って要素が無くなった
なんとなくつながっていて
ふいに切ったりねじったりして
そしてふさぎこんじゃう
別に道徳とか倫理とか
そんな高邁な幹は無くてもいいと思うが
海のソトを眺め
ジブンの国の文化くらいは
説明できる
そんな「位置」を意識するのが
今のボクらに必要なのかナ
なんてちゃぷちゃぷ漂う野尻湖のほとりでおもったりシタのです
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タイトルが素晴らしい。
帯にある、「菊の優美と刀の殺伐」というフレーズは本当に気に入っています。
内容は納得の行くところもありますが、誤解も多いかと。それでも読んで損は無い一冊です。
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評判の日本分析本。ずっと気になっててようやく手を出せた。
読んでて思ったのが、相当現在の日本は西洋化したのだなということ。良くも悪くも…。ここに書いてあることもあまり当てはまらなくなっちゃったんじゃないかなあ。
これが戦中に書かれたということから思うに、日本の文化は大きな断絶(?)に二回直面している。明治維新と敗戦がそれ。敗戦によって残ってた部分がまた流されていっちゃったってことなのかなぁ……。和服とかさ。
それが本当に断絶なのかどうかは、これから考えてみなくちゃいけないことだろう。
しかしもっと翻訳考えてくれないかな。もろ英文の訳って感じですっごく読みづらい。
どうせやるならきっちり日本語に構築しなおしてくれ…。だから海外本は嫌なんだ。これなら候文の方がよっぽど読みやすい。
こういうの、学術系文書で多いよな。
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自分たちのことながら目から鱗と聞いてはいましたが、本当にそうでした。
恩についてアメリカの人にわかりやすく言うと借金だという件を読んだときにはびっくりしましたが、
でもまぁそうかぁと。
内容的には現代日本人には必ずしも当てはまらないし、
(いまどきここまで親の言う通りに会っても無い人と政略結婚的に結婚するのは
流石にそう多くはないでしょう、とか)
本当にこうかなぁと思うこともあったし、
実際筆者が勘違いして書いていることもあるのですが、
そうは言っても実際日本に来たことがないのにここまで分析しているのはとてもすごい。
是非一度来てもらいたかったものです。
戦争を通して気持ち悪いから嫌い、じゃなく、気持ち悪いから調べなさいっていうのがきっかけで
作られた本だとは知らなくて。それもまたすごいです。
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つまりは日本人がどう見られているかという本。
ルース・ベネディクトは日本に来たことが無かったらしい。
しかし、わりと当たっていると思われる。
日本人を考えるとき、この本は海外の人の有益な情報源となっていることと思う。相手にどう思われているかしるためにこの本を読むことは無益ではないと思う。
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なかなか、読み応えがあった。
一番は何と言っても外人なのにということ。時代背景が違うにしても、当の日本人が知らいないようなことを何でこんなに知っているのと関心というか、恥ずかしく感じました。
へ~そうなんだと、外人から日本文化を教えてもらった感じがしています。
まだ、勉強不足で理解仕切れないことが多々ありましたが、時間をおいて再読したいと思います。
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よそから見ると日本はどのように見えるのか??少し古い本ではあるけれども、外国人(特にアメリカ)がどう見ているか、その本質がわかるかな?と思い読み始めたのだが・・・・。
やはり少し内容が難しい。
読了するのがもう少しかかりそう。
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「菊の優美と刀の殺伐」なんとかっこいい帯だこと。
ゼミの先生が授業でさりげなくこの本に関して言及してたから手にとった。まだ最後の川島武宜の「評価と批判」は読んでないけど、それを読む前に自分なりの評価と批判をメモがてらに書いとこうかなと。
著者ベネディクトさんは日本に一度も来日せずにこの本を書き上げたことは脅威。著者の読書量に感服するというか。彼女の別の著作である「文化の型」に書いてあったが彼女は文化相対主義者であったらしい。なるほど、しかし頁をくくるにつれて日本文化への距離が縮まっていく印象を感じたのはおそらく僕だけなのか。まぁこれは文化人類学者の特徴であり、危険性でもあるのかな。彼女は日本文化を階層制度(政治・産業・軍部)、「忠」と「義理」・「義務」、「恥」の文化、これらの組み合わせでとらえているが、そこで映し出される日本人が現在とあまりにもかけ離れていることに興味がわいた。戦後日本には様々な文化が加速的に流入することでそれぞれの領域が雑種化していったためにこの感覚のギャップが生まれたのは当然。
ベネディクトが挙げる文化の型はとても興味深い。しかし、それから漏れる出来事やらがあるから何とも言えない部分もある。例えば首脳部は報恩を制度の中に巧妙に練り込むことにより国民を積極的に操作したのだが、その点からいえば彼らは、あるいは人の上に立つ人たちは天皇という象徴を利用したのであり、そこにはただ「忠」のみがあったとは考えにくい。やはり美濃部達吉のように機関として利用していた、つまり言葉にできぬが他の感情が含まれていたのではないか。しかし、国民一般への分析はやはり説得性があるのかな。当時の日本人が日本人をどう思ってたかも気になるところですな。
ゼミの先生は「ベネディクトはこの本を通じてアメリカ社会を眺めている。多くの人はそのようなことを感じないらしいが、僕からすればそれは深読みが足りない」とおっしゃっていたから、収支その点を意識していたが、なるほど、そう思えなくもない。かもしれない。つまり僕は深読みが足りないのです。でもアメリカ人に呼び掛けている印象は感じたのだけど…。
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国外から見た、日本人とはどういう生き物なのか、という事を
書き綴られた…論文、みたいなものでしょうか?
いや、最後まで読めば、よく観察してきたな、と思うのですが
エッセイというよりは確実に『論文』ものな感じなので
教科書を読んでいるかのようなというか何というか…。
生活の歴史、なので社会科、でしょうか??
観察されていた時代や、参考に聞いた日本人の話を考えると
確実に戦前戦後なのですが、いまだに頷ける部分が多いです。