紙の本
京下りの官人
2022/06/13 19:39
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投稿者:mt - この投稿者のレビュー一覧を見る
鎌倉幕府草創期を支えた京下りの官人の評伝。将軍の最側近を堅持しつつ、幕府と朝廷、将軍と御家人の橋渡し役を務めるというなんとも緊張感あふれる立ち位置が印象に残る。「成人してから涙を流したことが無い」の逸話にも納得の胆力。また後鳥羽上皇から独自に官職を受け、頼朝の不興を買っていたのにも驚き。義経の先例があるだけに迂闊とも思えるが、もとは都の下級官人ゆえの下心があったのかも。他にも幕府での出世に、かつての主人の九条兼実が不快感を覚えているのも面白い。気にも留めなかった元部下と交渉するのは、確かに気まずいよね。
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[ 内容 ]
大江広元は鎌倉時代前期の政治家。
もとは朝廷の実務官人であったが、源頼朝に招かれ草創期の幕府の中心的存在となる。
政所別当として守護・地頭制の整備に関わり、朝廷・幕府間の交渉で卓越した政治手腕をふるった。
頼朝没後、将軍頼家・実朝を支えつつ、北条氏とも協調を図り武家政権の確立に貢献した文人政治家の実像を、新史料を駆使して浮き彫りにする。
[ 目次 ]
第1 朝廷の実務官人
第2 新天地鎌倉へ
第3 文治元年の政治情勢
第4 朝幕交渉における活躍
第5 建久年間の広元
第6 将軍頼家の時代
第7 将軍実朝と北条氏のはざまで
第8 連署の執権
第9 実朝暗殺と承久の乱―晩年の広元
第10 鎌倉御家人広元の周辺
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源頼朝の父は後白河に仕え、頼朝自身も後白河天皇准母→二条天皇に仕えた官人である
その繋がりで、鎌倉で小規模といえ自治区の長となった時に、行政事務が発生し、明治期の日本がお雇い外国人で文明化したのと相似的に、都の官人を招いた
元、官人だった繋がりから大江広元採用(/・ω・)/
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朝廷の実務官人から草創期鎌倉幕府の中心的存在にまでいたった文人官僚の伝記。生涯貫かれた将軍側近としての姿勢と、統治機構確立への多大な貢献が分かりやすく叙述されている。頼朝時代の在京活動中における任官問題が特に興味深かった。
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大江殿から見た #鎌倉殿の13人 総集編か(^^;
大江広元の生涯を描き、とても面白かった。
頼朝任官以前、京時代に、九条兼実の部下だったとは。頼朝右筆時代、頼朝名代として毎年上洛し、朝幕交渉に当たっているが、その時の兼実の戸惑いは如何ばかりであったか。
「広島」の由来が広元にある、といった小ネタが所々挟まれているのが、またいい。
彼は著作物や詩歌は遺さなかったという。ということは、公文書のみが遺されている訳だ。鎌倉幕府を立ち上げ、支えた、文人政治家・官僚として生涯を貫いた、とも言えようか。