ブックガイド〈心の科学〉を読む みんなのレビュー

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投稿者：銀の皿　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　哲学科教授、心理学者、言語学者、科学作家、など、10人の執筆者それぞれが＜心の科学＞につながる、と感じた本を紹介する。一つ一つのの文章にはきちんと「心の科学」を知るために読む本の紹介も入っているものもあるし、文章として興味深いものもある。
　しかし、最初の方の文章に、「さらにとはそもそも何であるか、が明確でなければ、＜心の科学＞のブックガイドの記述は先に進まないのではあるが、この点は措いておくことにして・・・」とあって、そこで私はかたまった。「心に関与している」と考えられる、ご自分の専門分野の紹介です、と堂々と書いておられる方もある。「科学」とは関係の無いように思える本も紹介されているなかにはり、「心を扱った科学の本」を、この本の中から探し出して読もうとすると少し戸惑う。 これはなんのブックガイドだったのか？？？
　執筆者の方々は「心の科学」をある程度追求した方であるから、それらの本が「心の科学」につながる内容であることが理解できるのだと思う。こういう部分はブックガイドというよりは、「心の科学の専門家」が、＜心の科学＞を読みとることができた本についてのエッセーといったほうがよいかもしれない。
　もちろん、きちんと親切にブックガイドをして下さっている執筆者もある。（人間の興味について、）ひとつ大切なことは、いま興味が持てないものでも切り捨てないということだ、という素敵な言葉を読ませてくれる執筆者もあるのである。
　結局、編集に不満を感じた部分が多かった。どんな本を紹介しているか、は各人の文章の最後にまとめてあるのだが、短くしか触れられていない本がそこには載っていなかったりする。心の科学の古典と言っていいデカルトや、最近の脳科学の著作などには複数の執筆者が言及している本もあるが、各々どのように触れているか、後で遡って読み合わせるようになっていない。せめて巻末に全体を通じて紹介された本の一覧でもあればまだよかったのに、と思う。編集者の編集意図や概観をまとめたような、あとがき、まえがきにあたるような文章が何もない、というのもどうだろうか。
　総合しては、編集部さん、ちょっと手抜きじゃないですか、の一言。ほんと、しつこいようですが、個々の執筆者のお話はそれなりに面白いのですから。