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紙の本
スペイン現代史の入門書としては良書といえる(ただし誤字多し)
2005/11/27 21:16
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
大戦前夜の共和制から苛烈な内戦時代へ。フランコ独裁時代から現在の民主化時代へ。スペインの20世紀史を概観できる簡易明瞭な一冊です。
ドイツのヒトラーやイタリアのムソリーニが大戦末期に歴史の舞台から姿を消した一方で、スペインのフランコは1975年まで政権を維持します。その長い独裁体制を、血を流すことなく民主化へと移行させていくことができたスペインは世界的にも稀有な国です。民主化の過程を知りたくて本書を手にしました。
フランコに後継者として育てられた現国王ホアン・カルロス、国王の法学インストラクターでもあった王国顧問会議議長タトー、そして国王の意中の人物であり欧州最年少首相として政治の表舞台に踊り出たアドルフォ・スアレス。この三者によってスペインの民主化は急速に進められていきます。守旧派の裏をかきながらスアレス首班指名にこぎつける過程を描いた章はなかなかスリリングです。一筋縄ではいかない政治の裏舞台を、知的興奮を覚えながら一気に読みました。
ただし、疑問も残りました。スアレスはそもそも「フランコを四〇年間支え続けた国民運動の青シャツ隊であった」(114頁)人物で、だからこそフランコ支持層は彼が首相となったことに当初は「胸を撫で下ろした」のです。
ではなぜフランコ派とみなされていたスアレスが、フランコ的政治と決別するに至ったのか。その政治思想の変遷が本書には書かれていないのです。
なお、出版元に宛てて最後に苦言を呈します。
ゲラの段階できちんと校閲をしてください。本書の誤字脱字の多さは尋常ではありません。また著者は「もっとも」という「接続詞」の使い方が過剰であり、また「〜に鑑みて」を「〜を鑑みて」と誤って書くクセがあります。編集者はそうしたクセを出版のプロとして著者にきちんと指摘し、推敲の手助けをするべきです。
良書であるだけに、改訂版を出す際には慎重であることを期待します。
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