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輝く断片 みんなのレビュー

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みんなのレビュー21件

みんなの評価3.9

評価内訳

21 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

人倫にもとる過失を犯した「彼」を、この世の誰が許さなくとも私だけは許そう。私だけが彼の誠意を理解したのだから…と信じ込まされる。脳に関する空想科学さえ到達できない不可能性だから、このように書いたのか。

2005/07/14 00:15

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

——人の死だけじゃない。どうしようもない愚かしさも僕を傷つける。
自分もその一員だから。しじゅう他人を押しのけようとする人間も僕を
傷つける。てっとり早く金を稼ぐことしか頭にない人間も僕を傷つける。(205P「ニュースの時間です」より)
 こう語った「彼」は、いったん社会生活から降りる。そして再び社会復帰を遂げるときに、自分のなかの社会性を降ろす真似をする。永遠に社会生活から降りる結果がおそらくは待っているのだろう。
 反社会的な異常心理と呼ばれる傾向のものを扱った短篇が4番目に所収「君微笑めば」から始まり、この5篇めの「ニュースの時間です」につづく。次の「マエストロを殺せ」は文字通り殺人の話なのだが、肉体を滅ぼしても滅びないものがあるという何とも皮肉な事実。それを、殺人事件後の展開で物語るというミステリー。滅びたはずの人間が滅びていないから、気が確かでなくなる「彼」が出てくる。
 7番目「ルウェリンの犯罪」は、人命には関わらない。どこかお茶目な犯罪ながら、事件がもたらす結果は廃人の「彼」をひとり生み出すに充分であった。そして最後の表題作「輝く断片」——異常心理を扱ったという点においては、これら一連の短篇のなかで、極めて分かり易いものだ。
 異常は通常のものではない。例えば「変わった人」には、誰もが人生においてそこそこの数、行き会うだろうし、かの人の変わり具合は複数の人間よって認知され得る。常軌を逸したいくつもの性質がその人に集中的に盛られて表面に露わだからこそ、「変わった人」のレッテルが貼られる。日常的に観察出来る資質だ。
 しかし、異常心理はある時、ある契機を境に、芽生える。これは厄介なことに滅多に他者に気づかれることはない。いけにえになった人間だけが魔の刻に「彼」の異常を認め恐怖する——そういう種類のものだ。
 宇宙空間に関する空想科学、地底や海底に関する空想科学、時や空間に関する空想科学などを射程に入れ、こことは異なる別世界に生きる他者の存在を問うことはSF作家には自然な営為であろう。友好か戦闘か、理解か拒絶か。想像力のすべてを消尽させ、魅力的で驚異的、且つ恐怖にもつながる他者を創造することは彼らの楽しい使命なのかな?
/スタージョンという作家は、そこにもうひとつの他者を仮想した。すなわち、個人のなかに眠れる「狂気」という他者である。「狂気」について、あるいは脳の中身については、先ほど紹介した作品が書かれた40年代・50年代から現在に至るまで、すっきり分析する科学を我々人類はいまだ持てずにいる。不可能性の領域である。電脳という概念ほかを用いて、脳をすっきり解析する科学を仮想した小説を書くことも可能だったろうが、どうもスタージョンの興味は、異常者である「彼」の頭の中がどうなっているかということより、99の誠意とわずか1分の異常を人はどう受け止めるべきかという点だったようである。愛と孤独という相反するはずのベクトルが、ふたつ並んで伸びていく先、歪められて生じる「狂気」というもの。
 「輝く断片」は、「大好きな小説だ」と書くのがはばかられるファウルズ『コレクター』に似ていた。後者は、監禁した女性と友だちになりたいと願う「彼」が、彼女の下品な言動にぷっちり切れて、取り返しのつかない行為に走る。どうしようもない愚かしさに傷つけられる哀れな犯罪者の純愛であった。どちらも泣ける。「彼」を守ってやれればよかったのに…と。「ニュースの時間です」は表題作より衝撃が強かった。閾を越えて書くとするなら、この文章の冒頭に挙げた絶望感は極めて親しいものに感じられる。たまたま自分には、「彼」に至らない表現や支えがあったというだけのことなのかもしれないと思えるから。

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これなら、日本のエンタメ系大好き読者が喜ぶこと間違いなし。英語表記の名前を別にすれば、もう、そこにあるのは私たちの世界。スタージョンにSF作家の規定は邪魔だけかも

2005/09/19 09:25

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ショーティとマイクル夫妻に遺産相続のチャンスが転がり込んだ。条件は二人の子育ての様子が伯母さんを満足させること。ただし、二人には子供が、ない・・・「取り替え子」、フリッツは政府機関で要職に就くマッチョタイプの大男。妻のアルマは優秀な24歳の看護婦。二人が公園で出合ったのは、一人の男が八人のチンピラに乱暴されている場面だった「ミドリザルとの情事」、エージェントのクリスが手に入れた原稿は、どこの出版社も手に入れたいと願っているシグ・ワイスの原稿だった。ところがその内容ときたら「旅する巖」。
新聞の日曜版付録に特殊記事を書くようになっていた俺の前に姿を現したのは、いつも学校で俺のことを気に掛けていてくれたヘンリーだった。20年ぶりに再会した昔馴染みに相手が嫌がる酒を飲ませながら男の生き方を教える俺に「君微笑めば」、気さくなマライクルの趣味は新聞をしっかり読むこと。そのマライクルに変調が起きた。活字を認識できなくなった彼は「ニュースの時間です」。
おれはビッグになりかかっているバンドのヴォーカル。難点は容貌。だから、イケメンやろうのラッチを殺した。キーボード担当のフォーンはあいつが居なくなっても、いつまでもラッチ、ラッチと騒ぎまくる。だから「マエストロを殺せ」、病院の無料クリニックの事務手続きを19年も続けるルウェリンは、同棲をしているアイヴィーからは、ルルとよばれていた。その暮らしは秘密だった。世間のことを何も知らない「ルウェリンの犯罪」、今まで女を抱いたこともない彼が自分の部屋に持ち帰ったのは体中から血を流している重傷の女。女の身体を点検しているうちに、死にそうな気配を見つけた彼は「輝く断片」。
各編の位置づけは大森望の解説に譲りましょう。他社から出るであろうスタージョン作品集もふくめて、実に丁寧な紹介がなされていて、今更、素人が何かを言えるようなものではないようです。その大森の言を借りれば、この本はSF作家に分類されるスタージョンの犯罪小説を集めたもの、ということになります。
なかでも、大森は表題作と、「マエストロを殺せ」の二編を傑作と位置づけますが、私は、「君微笑めば」と「ニュースの時間」「ルウェリンの犯罪」が好きです。さほどに評価が分かれるのは、まさにスタージョンの真骨頂でしょう。で、大森がこの小説集を編纂するにあたって、真っ先に収録を決めたのが「輝く断片」。次が、それと表裏一体の関係にある「ルウェリンの犯罪」で、次が「ニュースの時間」だそうです。この三作は異常心理サスペンスらしい。うーん、私って異常好き?
次が「君微笑めば」で、次が「マエストロを殺せ」の順だったようです。「取り替え子」「旅する巖」「君微笑めば」が本邦初訳。で、収録作品の特徴は「真面目すぎるゆえに、正常と異常の境界線をどうしようもなく踏み越えてしまう主人公たち」にある、ということなのですが、そこは読んで味わってください。
大胆なタッチとやさしい色使いの装画 松尾たいこ、装丁 阿部聡です。

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2005/09/07 15:03

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2006/02/28 09:37

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2006/05/02 00:32

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2006/05/07 14:07

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2006/12/25 11:54

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2011/06/29 23:45

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2009/03/19 20:50

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2010/03/22 22:12

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2011/05/31 15:27

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2011/07/16 12:09

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2010/01/15 14:31

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