- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |
紙の本
自分の世界ばかりでない他人の世界に向けて心を開こう
2005/11/06 08:07
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
韓国現代文学を代表する作家の自伝的小説。著者は「この作品は事実でもフィクションでもない、その中間くらいになったような気がする」という。しかし、自分を見つめ直すための作品であることは間違いない。
16歳から19歳の4年間を著者は語ることができなかった。産業体の夜間部に通っていたという劣等感、親しい人の死との関わり。著者の心の中に閉じ込められていた時間。この時間の解放なしに、著者の心の解放がなかったのだろう。
しかし、この作品を書くことによって、語れない時間ではなく、著者を育んだ時間の一部であったことに気づく。語れなかった時間に接した人々を想い出す。
「彼女たちが私の内面に広げてくれた、社会的な意志を忘れないだろう。私の本質を生み落としてくれたオムマのように、匿名の彼女たちが、私の内面の片方を生み落としてくれたことを・・・・・そこでわたしもまた、自分の言葉を通して彼女たちが胸を張って過ごせる居場所を、世の中に新たに生み落としてやらねばならないことを・・・・・」
1978年からの4年間、韓国は激動の社会。朴正熙大統領の射殺から全斗煥大統領就任。学生・市民による民主化運動とこれへの血塗られた弾圧、「浄化教育」を口実とした民衆の弾圧。
著者は、この時代に社会の変化や民衆の動きを見ているようで見ていなかった。同時に見ていなかったようで見ていた。
勤めた会社で結成された労働組合。夜学に行かしてもらうための組合脱退、ストライキに参加せず就労することに心を痛める。学生が民主化を求める政治活動に無関心に過ごした日々。
著者はこの時間を見つめることにより、自分を見つけることができた。
「この作品の中の愛と労働と希望と心の傷などが、みなさんの気持ちをいささかなりとも揺り動かすことができたらうれしく思います。揺り動かされることによって、自分でない他人の人生、自分の世界ばかりでない他人の世界に向けて心が開かれるならば、作家としてそれにも増して幸せなことではないでしょう」と「日本の読者のみなさんへ」で語っている。
自分の世界ばかりでない他人の世界。これは結局他人の世界ではない。自分を取り巻く現実の世界なんだ。そんな著者の訴えが伝わってくる。余韻多い小説である。
紙の本
新しい韓国文学
2016/03/28 15:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
年配の人が読むと個人主義が鼻につくかもしれない。しかし無縁社会が見落としがちな小さな人間同士のつながりが、この本の中に感じた。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |