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紙の本

自由とは、民主主義とは何か、ルソーのラディカルな思索を読む

2010/04/07 00:03

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中堅 - この投稿者のレビュー一覧を見る

読者に先入観を植え付けているかもしれない、倫理の授業で習うルソーの思想の総括は、「自然にかえれ」だった思うが、訳者が冒頭の解説で述べてくれているように、これは全くの誤読である。ルソー自身そのようなディオゲネス的文章は書いていないし、森に入ってゴリラと共に暮らすことが幸福だとは述べていないのである。
それでは、ルソーはいったい何をいったのか? 雑感になるが下記に記す。

『人間不平等起原論(1755)』で用いられるルソー独特の用語である「自然状態」は、想像力により得られる概念である。ルソーは、前-文明状態の人間、つまり未開人の状態(=自然状態)を理念として立て、そこから文明社会を根本的に批判するのである。自然状態と比較した場合、文明化された人間は(自然的)自由を失い、弱くなり、(社会的)不平等も発生する、とされる。
この「自然状態」からの現実批判は、科学的ではないかもしれないが、かなり過激で、根本的であることは間違いない。
なぜなら、現代に生きる私たちにとっても、「不平等論」出版当時の社会にとっても、自分たちの街そのものが、文明の所産そのものであるだけでなく、人との繋がり、及び自己の評価、全て「文明」による規定を受けていないものは何も無いために、人間が作り出したもの全てが批判の対象となるからである。
『人間不平等起原論』は、「自然状態」から遠く離れてしまった人間、つまり「人工の人間」の登場に対する悲観主義に貫かれている。自分の根源の場所(=自然)から離れてしまった人間を嘆くルソーの嘆きは、宗教家が文明批評家となったような、かなり切迫した絶望感を読む人に与える。彼の書を「自然にかえれ」と、宗教的な標語として総括した人間は迫ってくるこの興奮にやられたのだと思う。しかし彼を単なる「厭世的な文明批評家」という概念に丸めこむことが間違いであることを証明するのが、『社会契約論(1762)』である。

『社会契約論(1762)』は、正しい文明(社会)の在り方を築くための方法を「社会契約」という形で提供する。人間が「自然状態」で孤立して生きることが困難になり、皆と協力する必要、つまり共同体を作る必要が生じた際に、自由でありながら、皆の力を合わせることのできる結合の方式として、「社会契約」を考えるのである。ルソーは、各人の利害に絡む特殊意思の最大公約数として、「一般意思」の概念を生み出し、その「一般意思」の行為として、法を考える。「自分の制定した法への服従が自由だからである(P.231)」というカントが影響を受けたであろう文章とともに、ルソーは「自由」についての概念をずらすことになる。つまり、自然的自由から社会的自由にである。「社会状態において得たものには、精神的自由を加えることができよう(P.231)」とルソーがいうとき、『人間不平等起源論』で語られた「自然状態」への憧憬は打ち消された訳ではなく、依然として彼の中に残っているのである。が、このずらしの意味を、私(評者)は、人間が奴隷のように自分の自由を売り渡すことが強要される君主制から脱し、かつ無政府主義に陥らずに共同体を維持するためのルソーの苦渋の策とみたい。文明の全否定からは何も生まれない。よって、否定に程度を持たせることで答え(=民主主義)を導くのである。
なお、「人間は生まれながらにして自由であるが、しかしいたるところで鉄鎖につながれている(P.207)」という『社会契約論』冒頭のルソーの言葉を引いて、彼があたかも『人間不平等起原論』での「自然状態」からこれを語っているのだと解釈する人は間違いを犯していると思われる。一方は受け取り、一方は奪われ続けるような、もはや人間の関係で無くなっている、君主と奴隷のような関係性のことを「鉄鎖」とルソーは言っており、だからこそ、社会契約により、(1).自然状態から脱し、かつ、もう誰からも支配されないために、(2).自分自身に法を与えよう(一般意思)としているのである。
しかし、「制度」を考えるとき、ルソーは急速に(現実性がないという意味で)観念的になってしまう。彼の考える「立法者」が、天下り的な導入に留まっていること等、『社会契約論』は「制度」としての検討が欠けていることは否めない。「一般意思」「主権」の概念を、いかに現実的な「法」とすることができるのか、という問題が如何にルソーを苦しめたか、文章の間から推し量れるようである。
……その思想を受け継いだ現代においても、同じ問題で多くの法律家/思想家が苦闘していることは、この問題の大きさを物語るものであるが。

------
『人間不平等起原論』『社会契約論』どちらも大変おもしろかった。この中公クラシックス版の翻訳された文章は非常に読みやすかったので、岩波文庫等、他の翻訳もあるが個人的にはこの本をお勧めしたい。文明批判者としても、政治思想家としても、非常に興味深いルソーの著作を是非、読んでみてください。

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紙の本

18世紀のフランスの哲学者ルソーの名著2冊を収めた書です!

2020/07/17 09:11

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、18世紀にフランス語圏ジュネーヴ共和国に生まれ、フランスで活躍した哲学者、政治哲学者、作曲家であるジャン=ジャック・ルソーの有名な著書です。同書には、ルソーの名著『人間不平等起源論』と『社会契約説』が収録されています。前者は、人間の社会における不平等の起源を探り、自然状態とは何か、自然人(野生の人)とはどのようなものかについて論じた上で、その不平等は自然法によって許容できるものかについて論じた書です。他方、後者は、社会における全ての構成員が各人の身体と財産を保護するためには、各人が持つ財産や身体などを含む権利の全てを共同体に譲渡することを論じた書で、人びとが権利を全面的譲渡することで、単一な人格とそれに由来する意思を持つ国家が出現すると考えられるという主張をした書です。実は、国家の意思をルソーは「一般意思」と呼んでおり、これは共同体の人民が市民として各人の合意で形成したものであり、直接民主制により主権が行使されるべきであると説いています。これらルソーの名著をぜひ、この機会に読んでみてください。

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2010/07/31 20:43

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2011/08/11 01:15

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2015/09/22 03:41

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2017/02/21 13:51

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2020/09/26 22:54

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