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CIA、則ち「アメリカ中央情報局」について、特にソヴィエト崩壊後の 15 年を概観した良書、だと思います(なんせ基礎知識が無いもので...
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失敗の研究というからには、それなりの筆者の見解というか、持論があるのだろうと思って購入したが、単に今までのCIA長官のダメっぷりさや、官僚政治のアホっぷり、政治との癒着などをまとめただけであった。CIAって、映画とかでは「孤高のスパイ」のイメージでスリリングな印象を持つのだが、まぁ実際は腐れきった政治団体だったということか。
まぁ、興味のある人はどうぞ、という感じです。
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CIA、正式名称「Central Intelligence Agency」。「中央諜報(情報)局」。第二次世界大戦直後の1947年、ソ連をそのターゲットに編成された、世界最強の諜報機関。本書では、このCIAが9.11同時多発テロを何故防げなかったのか、これを「失敗」と捉えてその原因について論じている。同時多発テロが勃発し多くの命が奪われたことは事実であり、国際テロがこのCIAの標的の一つであったことも事実であるから、あの忌まわしい事件はCIAにとって決して「成功」とは言えないだろうが、逆に組織の性格上、成功した案件は表に出ないものであり、いくつものテロを未然に防いでいた事実にも目を向ける必要があるだろう。(「失敗は喧伝され、成功は語られない」「諜報に成功はない。あるのは政治の成功と諜報の失敗である。」)
CIAは大統領直轄組織であり、国防総省に属する陸海空軍・海兵隊、司法省に属するFBIとは一線を画す。大統領は日曜を除く毎朝、「大統領報告日報」(Presidential Daily Brief)をCIAから受け取る(本書P4)。また、アメリカ合衆国には15の諜報機関があるが、CIAは唯一の大統領直轄組織であり、かつ他の組織をまとめる役割を担う。そのため、2004年まではCIA長官が諜報機関の長としての情報長官(Director of Center Intelligence)を兼任している。しかし、一方で、CIAを除く14の諜報機関はそれぞれ何らかの国家組織に属しており(DIA、NSA等/国防総省、FBI等/司法省、等)、これらとの‘組織間闘争’(セクショナリズム)が『失敗』の一つの大きな要因であった。
因みに、情報傍受を主な使命とするNSA(国家安全保障局、National Security Agency)は、日本でも青森県三沢基地に「象のオリ」と呼ばれるアンテナを持ち、三沢に1,800に人、日本全体では3,000人以上の要員を保持しているようである(本書P41)。
また、CIAの『失敗』の原因として、90年代、アメリカにとっての‘ターゲット’が「冷戦下のソ連や第三世界」から「テロリスト」に移行したにも関わらず、組織としてその変化に対応できなかったことがあげられている。そこには、歴史や経緯を重んじ、目の前の責務や状況を直視することなく、「自らが所属した組織(組織名や、組織立ての考え方までを含む)」や「自らが行ってきた過去の努力の延長線上にある、今(=過去を振り返って自らの努力を賞賛し続けてくれる後進)」を求める、旧態依然としたCIA内部の‘アンシャンレジーム’があった。このことを強烈に象徴するのは、1991年にソ連で発生した「8月革命」、ゴルバチョフ・エリツィンら改革派に対しヤナーエフ副大統領などの所謂「守旧派」の最後の抵抗となったクーデター事件(結果的に未遂に終わったが)の勃発を目の当たりにし、CIAソ連東欧部や作戦本部全体がやおら活気づいていた、というエピソードである。
日本軍の真珠湾攻撃(1941年12月8日)を教訓に設置されたCIAは、60年後の2001年9月11日、テロ組織・アルカイダによる同時多発テロを未然に防ぐことは、結果的に、できなかった。しかも、アルカイダやオサマ・ビンラディンの脅威やアメリカ本国へのテロの可能性について、複数の事前情報が存在したにも関わらず、だ。
この反省を踏まえ、アメリカでは複数の新たな諜報関連機関が発足している。その代表が国土安全保障省(U.S.Department of Homeland Security、DHS)であり、17万人のスタッフと370億ドルの予算という国防総省に次ぐ巨大な規模をもって「鳴り物入りで」2003年2月に発足した。ただ、本省には、分析チームは設置されず、FBI、CIAで分析された結果が伝えられるのみとなっており、しかも17万人のうち情報にたずさわる人員は1%に過ぎない。さらに、本省設立後に設置されたテロ脅威統合センター(TTIC、各機関の持つ情報を一元管理し、分析を行う)はCIAの下に組織され、さらにこれに対抗するようにテロリスト・スクーリング・センター(TSC、テロリストに関する情報を一元管理する)が司法省の下に置かれたとで、DHSの権限は大幅に制限されることになったのである。
教訓。
「変わる」ことを恐れてはならない。私欲を抑え、時代を正視しなければならない。
安易な組織立ては実効性を持たない。地に足ついた変革は、表面的な組織立てでは実現できない。
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[ 内容 ]
第二次大戦終結後、東西冷戦構造下で対ソ戦略の中核を担い、世界の情報戦争をリードしたアメリカ。
なかでもスパイ=人的諜報のイメージで広く知られたCIAは、その代表格だった。
だが冷戦の終焉とともにCIAは対テロ戦略という方向転換を時代に迫られたのだが、「9・11」の悲劇は起きた…。
「失われた十年」といわれる九〇年代、なぜCIAは堕ちていったのか?
組織とリーダーの在り方の問題をも衝く、気鋭の意欲作。
[ 目次 ]
1章 アメリカ諜報機関の実像
2章 一九九〇年代のCIAと無力な長官たち
3章 敵を失った後の「失われた十年」
4章 CIAとアルカイダの「戦争」
5章 「罪なき者、石を投げよ―そして、誰もいなくなった」
6章 ブッシュの「改悪」
7章 CIAに革命が起きるとき
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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CIAの外国語能力が低いという話を聞き、イメージとの違いに驚きを覚えた。
しかし、基本的にはCIA長官や歴代大統領の批判に終始しており、物足りない。
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手軽に読めるCIAの通史です。本書を読むと政治家の思惑と内部にはびこるお役所主義が冷戦終結後のイノベーションを失敗させたことがよく分かります。
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自己の利益のみを追求し国益を顧みない、日本でよく言われる官僚組織への批判だが、これはアメリカでもまったく同じだということが良く分かる。
「CIAは何をしていたか?」でも書かれていたことだが、CIAがその一般的イメージとかけ離れた、国家諜報機関としての役割をなさない、ほぼ壊滅的状態であることに驚く。
911テロは起こるべくしておこってしまったとの印象を受ける。
FBIも政治家、各委員会、どこをとっても保身と自己利益の極大化しかない、、日本だけではないのね。。
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CIA、FBI日本人のわたしにとってはどちらもすごい組織、映画に良く出るくらいの知識しかなかったのですが、(すいません)実は国家のあり方すら支えているのかもしれない機能がある。大統領も滅多切り!アメリカに対する見方が変わる本
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そこそこ期待して手に取ったので、ちょっと物足りないというか、期待外れだったというか。序盤こそ、冷戦後に敵を見失ったCIAがテロ対策という新たなお題目を手に入れたにも関わらず、それに対応できる組織に生まれ変われなかったことがその後の失敗の要因であった、みたいな論があってそれなりに面白かったんだけど、中盤以降は単にCIA長官がダメ人間ばっかりだったということと、クリントン→ブッシュと外交オンチの大統領がいたおかげでいろんなトラブルが起きた、というところに終始してしまっていた感じ。
本が出たのが2005年なので、まだまだブッシュが元気に他国にケンカ売ってた時点の話で留まってます。そこから10年近く経った今、CIAは多少なりとも良い方向に変化しているのでしょうか?そこだけが気懸かりになりました。
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映画で見るCIAと現実のCIAは全く違うことがよくわかった。映画で見るようなスーパーマンはやはりいないようだ。むしろ日本の官僚みたいで、衝撃を受けた。
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CIAは①情報収集②分析③秘密作戦④防諜の4つが主な任務である。また「情報」と「諜報」の違いとして、前者が生のデータで、後者がそれを分析(加工、編集)したものを指す。
CIAは選抜されたエリート組織であるが、そんな凄腕集団でも失敗、とくに同時多発テロ事件で失態を食らった。この原因として、語学や外国文化の軽視ではないかという指摘があった。エリートで構成される組織であるからといって、万事うまくいくわけではない。