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紙の本
厚生省の実態を鋭くえぐる
2005/10/24 18:09
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:筑波太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『誰も書かなかった厚生省』水野肇著
草思社2005年7月7日
「改革をとめるな」聞き様によっては、何もかもが前進しているように感じ取れるが、高齢社会への移行が速すぎる現状では、改革が間に合っていると言えるだろうか? 改革すら見えない諸問題も山積みである。少子化、年金、医療・介護などの保険制度。どれをとっても改革などほど遠い道程である。この原因はいったい何処にあったのか鋭くメスを入れながら、曖昧な現状を生み出した要因の一つでもある「医療政策」を点検・検証し、厚生省(省庁改編で現厚生労働省)の知られざる実態を浮き彫りにしたのが本書である。
借金だらけの日本経済。政府が取った社会保障切り捨て政策、まさに弱いものいじめの代表的なものである。それもこれも社会保障問題を闇から闇に葬り去った小泉内閣の責任は重いと著者は指摘している。国民皆保険、国民皆年金が叫ばれだしてから久しいが、若者の年金未払いは実に4割を超えている。これも年金制度の実態が見えないからだ。さらに、高齢、少子化の進む度合をも計りきれなかった、政府の責任も問われなくてはならない。このままでは年金の破綻は目に見えている。健康保険の医療費も2割から3割に引き上げたが、高齢人口増加にともない破綻するのはそう時間がかからないだろう。果たして政府はこの窮地をどう乗り越えてゆくのか? 日本の生死が係っているのだ。
読むうちに厚生省の中身が赤裸にむかれた。医師と製薬会社が引き起こす薬害問題、厚生省と製薬企業の馴れ合い、見てみぬ振りを決め込んだ政府所管。社会保険庁の天下り人事、いたる所に悪の巣は蔓延っていたのである。極め付きはこの一言ではないか「いまの厚生省に国のために働いているという意識を持っているキャリアは少ない。一定のポスト以上の役人には国益を優先に考えている(中略)。若いキャリアからは<自分のために働いているという>雇われ根性で、彼らの頭の中を占めているのは金のことばかりである」。頻繁に起こった「乗ってもいない車の料金せしめる不心得者」の多さにも、あきれて言葉にならないという。まさに犯罪行為ではないか。
さて、これからの厚生労働省をどうするのか? どういう方向に舵を切って歩んでいくのか、改善案を提示していないのが少し残念。巻末に厚生省関連年表が載っているので少しは実態が把握できるだろう。
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