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グールド魚類画帖 十二の魚をめぐる小説 みんなのレビュー

2002年度英連邦作家賞 受賞作品

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みんなのレビュー18件

みんなの評価4.3

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  • 星 1 (0件)
18 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

世界はクソである

2005/08/05 10:21

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:こうめ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「すごい!」の一言に尽きる。悪夢のような、ときにふわふわととりとめなく流れ、ねじれる言葉で、流刑植民地タスマニアの成り立ちを語る。語り手は絵のうまい囚人グールド。彼の描く魚の絵が章立てになっていて、彼はその魚に身近な人間を忍ばせている(挿絵の魚の顔は確かにひどく人間的だ、いやそれは人間の傲慢かも。人間がそもそも魚的なのか)。
病んだ白人支配層に想像を絶した虐待を受ける囚人たち、現地人たち。物語はその底辺から世界を見る。切断される首、手足。滴る血。傷に蠢くウジ。腐肉。クソ。読んでいくうちにふと思う。そう、これはタスマニアだけを語っているのではない。この現世自体がクソなのだ。そして、物語を綴る囚人グールドは、クソみたいな世界を書くために実際にクソを使っているのである(ちゃんと、その部分は文字が茶色になっている!白水社さん、センスいい!)。
炸裂するイメージがとにかく素晴らしい。悪夢のラビリンスである。物語を綴るうちにグールドは、綴っている自分とその中で綴られている自分の区別も曖昧になり、現実がイメージに浸食される。読み終わっても、物語を読んだのか夢(絢爛たる汚辱にまみれたとびっきりの悪夢!)を見たのかよくわからないような、そんな本だ。
抑圧される側から見た物語ではあるが、支配者×被支配者のステレオタイプとは無縁。そんな単純な物語ではない。グールドは言う。これをおれたちにしたのはイギリス人じゃなくおれたち自身だ、囚人が囚人をむち打って黒人たちに小便をかけ互いを偵察し、黒人男が犬を手に入れるために黒人女を売り飛ばし脱走する囚人を槍で突き、白人のアザラシ漁師が黒人女を殺したり強姦したりして、黒人女ができた子供を殺した、これが事実だ、と。そして彼は「世界はとてつもなくおぞましい」という認識と「生きることは実にすばらしい」という感覚の折り合いをつけられなくて悩む。そう、この物語がかくもおぞましい出来事の羅列なのにも関わらず、陰惨な読後感ではなく、海のような広がりと明るさを持っているのは、この生きる力への肯定があるからかもしれない。
しかし、こんな悪夢のような文章をちゃんと日本語にしてくれた訳者はすごい!渡辺佐智江さんの訳されたものはいつもハズレがないが、この本はまさに渡辺さんの訳ならでは、です。ちなみにもうひとつ感心したのが、原書のペーパーバック(買ったはいいけど読みかねているうちに、白水社から渡辺さんの訳で出るという情報を得て、邦訳を待っていたのです)とページ数がなんと2ページしか違っていないということ。訳に無駄がないのだろうと思います。本当にすごい!

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紙の本

流刑地での驚きの物語

2006/01/21 19:26

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は説明するのが、ちょっと難しいのですが、ファン・ディーモンズ・ランドと呼ばれる島(現在のタスマニア)に流刑になった、グールドが、描いた魚類画帖(本書に従って、古い漢字使用)が、あるそうです。
 その絵から、自由に発想を得たリチャード・フラナガンが、その、グールドの一代記にあたるような、この流刑地での物語をつむぎだしました。

 十二枚の絵が、あるのですが、(オリジナルは何枚か知りませんが)
それが、各一章になっていて、話しが展開します。
なかには、強引にその魚と話を結び付けたなぁと、いうのも、ありますが、
中々よく出来ています。
 因みに、少し、話は、変わりますが、
U2というバンドの、「ラトル・アンド・ハム」というアルバムには、
”ヴァン・デイモンズ・ランド”と、いう歌が、あり、
本書と同じく、(読み方、若干違うだけ)流刑になる男の運命を
唄っています。
 閑話休題。
 本書を書くにあてった、フラナガンは、取り分け、リサーチはしなかった
と、語っています。
 国家による、犯罪にも近い、強引な流刑と殖民の上になりたつ、
タスマニアという地に住むことから、本書を描いたと、言っているだけあり、
 強烈なまでの、暴力と大げさにまで、誇張された、登場人物の異常性、
笑うには、度が過ぎていて、笑えない、シニカルさに全編包まれた、
大変変わった小説です。
 中盤までは、どんな風に本書を楽しめば、よいのか、判らなかったので結構
苦労しましたが、後半からは、二転三転の大展開になっていきます。
 正に冒険小説も顔負けの展開でした。
一風変わった、世界文学を読みたい方には、オススメの一冊です。

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2007/05/06 21:26

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2009/10/25 10:57

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2012/08/25 15:56

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2012/06/24 22:45

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2016/02/01 09:47

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